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2023年8月の記事一覧
人のカタチ 二部 第一話
風が止み、薄い雲が月の輪郭を隠す。小間の提灯に、夏の初めの熱が闇の中からユラユラと近寄って来る。その光は靄となり、二人の足元を照らしていた。小間は立ち止まって、振り返った。
「どうしたんじゃ?」
「いえ。毒について何がわかったのかと思いまして」小間は相馬利直に尋ねた。怪訝な表情を浮かべ、相馬は小間に答える。
「可児の毒はの、人にしか効かん。すぐにどうにかなるもんではないがの、後々効いて、皮膚が爛
風が止み、薄い雲が月の輪郭を隠す。小間の提灯に、夏の初めの熱が闇の中からユラユラと近寄って来る。その光は靄となり、二人の足元を照らしていた。小間は立ち止まって、振り返った。
「どうしたんじゃ?」
「いえ。毒について何がわかったのかと思いまして」小間は相馬利直に尋ねた。怪訝な表情を浮かべ、相馬は小間に答える。
「可児の毒はの、人にしか効かん。すぐにどうにかなるもんではないがの、後々効いて、皮膚が爛