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「二十四の瞳」の想い出

子どもの予定は大人の都合によって左右される。「親ガチャ」という言葉が登場したことも、なるほどなと思う。親と一緒に行動しないといけないから、親の選択はすべて子供の体験となってくる。

一番下の子が今度中学生になる。自分の意志がはっきりあるし、どう行動したいかも本人が選択できる。そんな今になって、幼い無力な頃についてのインタビューする機会が昨日あった。

何も言わなかったけど、心の中ではそんな風に思っていたんだね。今になってこんな会話がいっぱいできることがとってもありがたいと思った。そんな思い本当はしていたんだね、ごめんね、自分のことばっかりで。ちゃんと思いを聞いてあげられなくてごめんね。いっぱいいっぱい、私は泣きながら彼女の話を聞いた。

子どもは親を選べない、とも言われるし、親を子どもは選んできている、とも言われている。どちらが正解、不正解はなく、どちらも、そうだと言える点がある。

親は(親としての私は)その時、その時を必死に一生懸命生きていた。それがベストだと思ってその選択をした。だけど、後から振り返ると、あの時ああすればよかったと思うことがいっぱいいっぱいある。親子といっても別の人格で、子どものために100%自分のエネルギーは使えない。自分のことも、自分のやりたいこともある。だから、どれだけ一生懸命でも、後悔0%にはならないんだろうなとも今思った。

思うことは、何を経験したとしても、自分にしかできない体験だったということ。それをどう活用するかは、体験した本人の、これもまたそこからの体験だということ。

無理やりそれをポジティブに向けようとするのは後で反動が来る。ありのままを、ただ思い出す。思い出して、そこから、自分の気持ちを探る。それが心地よかったか、不快だったか。どちらであっても、またそこから、深堀していく。心地よかったのは何が?なぜ?不快だったのは何がなぜ?

不快を深堀していくことには時には恐怖や怒りや憎しみ、収集つかない思いにぶち当たるかもしれない。それでも、そんな自分と対話してみる。

昨日は、娘とスッキリするまで対話した。

十分に自分の思いを言語化できなかった彼女と、タイムスリップをして、今現在、言語化できる彼女と過去を振り返った。

もう過ぎた時間は取り戻せない、後悔がいっぱいだと思っていたけれど、会話をして、思った。思いっきり、心をオープンにして、なんでも聞くよ~って両手を広げたら、過去の後悔も浄化できるってこと。この体験をしたら、未来もきっとそうだと思えて、今間違ってしまうかもしれないことも怖くなくなる。

過去は変えられない。だけど、未来に向かって、一緒に過去を振り返り、思い出を共有し、その時聞き取れなかった思いを言語化し合うことで、過去が変わっていくことを体感した娘との時間が本当にうれしかった。

その娘と、私の両親とで、小豆島に行く機会があった。

「二十四の瞳」という壺井栄さんの小説の舞台である。

この「二十四の瞳」には私の幼いころの想い出があった。切ない、自分の行動を選択できなかった幼い子どもだったからこその、想い出だった。

その日母から「二十四の瞳っていうアニメが今日あるから、帰ってきたら見ようね」と言われた。私はわくわくして、そのアニメを見れることを楽しみにしていた。親戚の家に行く用事があり、それから帰ったら見れる、と帰る時間を今か今かと待ち望んでいた。

大人同士の会話が終わらない。まるで長い長い退屈なクラシック音楽のように。同じフレーズが何度も繰り返されるように。やっと終わった!と思ったらまた始まる。

結局そのアニメは見れなかった。私は両親に泣きながら抗議した、と思う。(記憶は定かではない。が、とにかく、悲しかったし、悔しかったし、理不尽だと思ったし、約束を守ってくれなかったと思ったし、いろんな感情があふれ出したことだけははっきり覚えている)

今回、その小豆島に訪れる機会があり、偶然はないなと思った。

二十四の瞳のあらすじを知り、朗読してみたいなと思ったら、青空文庫で見つけられた。そして英語版も入手した。

戦争という子どもたちが選択して避けることのできない、(それは子どもに限ったことではないけれど)題材を取り扱ったこの作品と、幼いころの私の想い出、そして昨日の娘との会話。そのほかにもいろんなことが、この小豆島体験に凝縮されていた。

キラキラ輝く瞳を曇らせない。羽ばたく翼をへし折らない。
そんな大人でありたいから、私は出来るだけ、子どもたちの思いに耳を傾けたい。そして過ちを見つけたら、語り合うことで昇華させ、未来への糧としたい。

私は私の選択を恐れない。正解・不正解の世界から自分自身を解放する。私は私の心のセンサーに耳を研ぎ澄ます。自分の欲望や、不安や恐怖のために、聞こえてくる声をかき消さない。

そう自分に宣言する。自分が心から納得する人生を全うするために。

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