見出し画像

スペイン2 「汗」までもが美しいと感じた町

旅にまつわる音楽を聞きながら、記事をお楽しみ下さい♪

明るく快活な町

南部スペインには魅力的な場所が多く、私達はグラナダからセビリアにも向かった。

「グラナダとかコルドバは神秘的な美しさだけど、セビリアは美しさの中にも明るさが際立ってるね」
「うん、それになんか真正面から訴えてくるものを感じるね」
私達は、まず訪れたスペイン広場でそう語り合った。
万国博覧会に向けて作られただけあって、とりわけ堂々とした佇まいだった。

オレンジ好きになる町

「オレンジも、日本より大きい!」
「日本のみかんより、大胆な感じ!」
私達は、セビリアでよく見かけたみかんの木にも注目した。
オレンジジュースは濃厚でとても美味しく、それまでジュースといえば、りんごジュースやぶどうジュースばかり飲んでいた私に、新たな選択肢を与えてくれた。

スケールの大きい町

ディズニー・グーフィーが出て来たDVDでみた闘牛場、イスラム文化が見事に活かされたアルカサル、世界で3番目に大きい大聖堂なども、どれも本当に美しい。
そしてセビリアを常に照らしていた太陽のように明るく、インパクトも大きい。


「写真に撮るのも、一苦労だね」
「広角レンズ、セビリアは必要だわ!」

写真の撮りがいがある美しい町での時間はあっという間に経ち、夜は、楽しみにしていたフラメンコショーだった。
スペインが「情熱の国」と言われる1つに、このフラメンコというダンスがあるように思っていた。

フラメンコが見られる町

まずは、リズミカルなカスタネットとギターの音色に合わせて、女性達がダイナミックな振りで私達を魅了してくれる。
「強そっ!ああいう人、敵には回したくないなぁ……」
2人で思わずそうつぶやいてしまう程、強く鋭い目を持つ女性がいて、その群舞の中でも彼女は際立っていた。
鋭い目だけではなく、手先や足先からもその情熱はほとばしり、気付けば釘付けになっていた。
それは、金髪がキュッと固められたお団子の髪すら、乱れるのではないかというほどだ。

カクテルが止まる舞

踊りは集中して見ることもゆったり見ることも出来るが、フラメンコは完全に前者だろう。
私達は、鋭い目をした女性が登場してから、カクテルが全く進まなくなってしまった。
曲が終わり拍手が沸き起こる時、私達は我に返ってカクテルを取った。
踊り子達も超人から普通の女性に戻り、お辞儀をしている時は柔らかい雰囲気だった。
鋭い目線の女性も、である。

「よかった。お辞儀の時は、笑ってくれるんだ」
「今なら、お友達になれそう」
次は少しアップテンポの音楽だ。
「あ、次は男性グループの踊りみたい」

群衆を見ているはずが……

男性グループの群衆は力強くも明るさがあり、カクテルを楽しみながら見ていたが、その中でもまた、際立ってエネルギーを全面に出す踊りをする人がいた。
ギターに合わせて、その男性は表情でも、喜びや悲しみなどを、見事に表現している。
ダークブラウンの髪に神秘的な大きな目からは、色々な色が発されているようだった。

やはりその団体の第一ダンサーだったのか、表情豊な男性はソロの舞も見られた。
あまりに熱っぽく踊りすぎているからか、途中からはミディアムの髪やグリーンの洒落たシャツから汗がほとばしり、それは鑑賞している私達でも分かる程だった。
私達は最前列でなく、真ん中辺りの席で鑑賞していたのにも関わらず……。

汗まで絵になる舞

「汗まで絵になる……」
「ほんと……この人も、踊りの神様に愛されてるね」
他のダンサー達も熱く踊り明かしているのに、私達はすっかり、鋭い目を持つ女性と、表情豊かで情熱的な男性の虜になった。
踊りで「表現」することの素晴らしさを、このフラメンコは真正面から語りかけてくれた気がする。

観光だけでなく、鑑賞を

セビリアが、明るく美しい町だというのは、ガイドブックなどで知っていた。
確かにそれは、期待以上の美しさだった。
でもまさか、汗までも美しいと感じる町だとは、思っていなかった。

南部きっての大都市、セビリアの素晴らしい建築物や美味しいオレンジも、もちろん懐かしく思い出せる。
でも、セビリアと聞いてまず一番に思い出すのは、汗までも美しいと感じられた、あのフラメンコショーなのだった。
セビリアまで行かれたら、どうか、観光だけでなくフラメンコも、生で堪能していただきたい。

#この街がすき #一度は行きたいあの場所 #エッセイ #旅エッセイ #音楽 #note #思い出  #海外旅行 #休日のすごし方 #ダンス #フラメンコ #海外 #セビリア #スペイン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?