愛知芸術文化文センターで riluskyE 個展 ~ どこか光あふれる世界へⅡ
申請日に幸運の女神がいた
開催希望の前年2011年12月に、愛知県名古屋市栄にある愛知芸術文化センターの受付を訪れました。ここは窓口に来て直接申請をしなければならず、
希望者が多数の場合は後日に抽選会を開くというシステムになっていました。広く市民に利用してもらう「多目的アートスペース( 貸しギャラリー )」が9室ほどあります。
地下2階にあるアートプラザ内にある窓口に行き、来年度下半期の申請のことで担当の方と相談すると、申し込み締め切りの終わっている上半期の6月末に空きがあり、この場で希望することができますよと言われました。私はためらわずに申し込みました。持参していた作品サンプルや展示企画書も
手渡しました。
それから2週間ほどして、正式な許可書と手続き書類が郵送で届きました。使用できることになったのは、今思えば、あの時に空きがあることをちゃんと伝えてくれた窓口の女性のおかげではなかったかなと思うと、彼女は私にとって幸運の女神だったと思うのです。
搬送方法はどうしよう?
美術館で個展を行う段取りは、すでに福岡で経験済みなのでわかったつもりでした。が、今回は初めて他県で、しかも自家用車で作品を運ぶのは難しい距離の名古屋市です。専門業者に頼むしかありません。すぐに思いつくのは宅配便のヤマトや佐川です。ただ、美術館側の搬入と搬出は日時が決まっており、その指定時間には私が対応せねばなりません。
業者にいろいろ相談して、最終的には、美術品配送の専門会社で、時間指定のできる、ヤマトロジスティックスに依頼することになりました。ただし、
料金は当然ながら通常の宅配よりかなり割高となります。
参考までにちょっとお金のこと
以上、最低94,5000円、これに食費を加えても10万に収まる程度なのですが、これに、作品資材の往復運送料( 作業道具入り段ボール4個、A1~B2サイズ作品梱包材4箱 )が宿泊代ほどさらにかかり、総額およそ14万円ほどになりました。
しかしながら、地元福岡市の民営ギャラリーでの当時の貸し料相場は安くても15万、通常は20~30万はしましたので、スペースの広さや雰囲気、客層の違いなどの点では、私は美術館の方が圧倒的に好きであり、その後も美術館での個展を開き続けることとなったのです。
( ただし、公立美術館では作品販売禁止が基本なので、自分の絵を売りたい人には向かないでしょう )
名古屋は「田舎者の都会」
大阪の繁華街はちょっと雑多な感じ、東京都心部は大きすぎて逆に窮屈な圧迫感があるのですが、この名古屋市は、実際に滞在してみると、程よい広さと暮らしやすさを実感しました。タクシーの運転手さんと話していると、その方は熊本出身で、名古屋はその昔、九州からの移住者が多かった街で、名古屋は「田舎者の都会」だと言われていた、とのことでした。
展示室は地下2階のスペースX
さて、愛知芸術文化センターは、平成4年にオープンした愛知県美術館・愛知県芸術劇場・アートスペース、そして愛知県図書館により構成されています。名古屋市最大の繁華街である栄エリアに隣接しており、地上12階、地下5階の巨大な複合施設です。
アートスペースは12階と地下2階に分かれて9室ほどあり、私は地下2階に唯一あるスペースX と呼ばれる展示室になりました。来場者の方の何人かが、
12階には行ってもこの地下にまではなかなか人が来ないからね、と心配してくれました。
警備員とヘルメットのお世話になる
2012年6月26日午前10時に搬入開始、夕方まで準備を行いました。他の美術館にはない最大の特徴は、警備員一名がほぼ終日にわたり立ち会うこと、そして作業中はヘルメットの着用を義務付けされていることです。安全策としてはこれに勝る取り組みはないでしょう。
私が独りですべてを行っていたためでしょうか、二人いればやりやすいような状況などには、担当の警備員さんが補助してくれ、また親切な助言も頂き大変助かりました。
来場者数と充実度は必ずしも一致しない
初日は41人、翌日38人、あとは段々と減ってゆき、最終日の7月1日の日曜日は一番少なく、結局は、150人ほどの来場者数でした。ですが、訪れた方との交流という点においてはとても充実した日々を過ごさせていただきました。
自ら創作活動を行う人たち
来場された方々で、お話しする機会のあった方々のほとんどが創作活動をなされている方たちでした。画家としてすでに個展も何度か経験されている方、絵画教室も開いている方、日本画家として活躍されている方、写真家として定期的にグループ展を行っている方、広告業界に関わっておられる方など、さまざまなタイプの方から貴重な話をおうかがいすることができました。
ここに、その方々との会話のほんの一部を紹介しておきます;
( ただ、断片的な記憶と印象なので、実際の通りではありません )
会場内に置いた雑記帳のコトバ
昔、ある個展会場内の台の上にノートと鉛筆が置いてあり、いろんな人の一言感想を読んで面白かったので、私もそれをまねて置くことにしました。
以下に、その一部を紹介しておきます;
個展会場の使用情報
展示室利用者の視点での総合評価
県の威信をかけた文化事業とも言うべき、費用をかけた豪華な施設と行事企画の充実ぶりは、さすが人口230万の大都市、名古屋という印象。そのせいか、申請用窓口は人の出入りが多く、複数いる職員はやや事務的対応になりがちの印象。たまたま電話に出た係によっては食い違う返答、わかりにくい説明だと思うこともありました。要は、もっとも大事な点は「人」なんだとあらためて思いました。
九州からは遠すぎて自家用車で行く距離ではなく、資材運びは専門業者に依頼のため宿泊代より高額となり、将来また自費で行くことはないでしょう。
総合評: B