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つばき 【与太子話】

 自分は人間のかたちをした猫なのではないか、と思うほど毎日眠い。春眠。

 椿が咲いていた。『椿三十郎』を久しぶりに観たくなった。たしかあったはず、ビデオの山を探す。

 あった。


 ビデオデッキの電源コードを探すところから。テレビのうしろ、ホコリだらけ。掃除機かけてよ私。


 あったあった。


 ビデオデッキの電源を入れて、ビデオを入れて、再生ボタンを押すも映らない。あれれ、どうして映らないの。ビデオデッキはあまり使わないから勝手がわからない。テレビのうしろを覗きこむ。花粉症で弱った鼻にホコリがきて、くしゃみが出る。あー。

 
 なるほど、つながってない。

 
 ぐちゃぐちゃになっているコードの中から赤白黄の3色のコードを探し出して、テレビとビデオデッキをつなぐ。


 映った!


 わあ、若き日の加山雄三さんすてき。田中邦衛さんもわかい。


 印象に残った場面 ↓

椿三十郎:
「ツラを知られたんだ。たたき斬るほかねえな」

家老睦田の奥方:
「いけませんよ、そんな。あとの見張りの人を斬ったのもあなたでしょう」

椿三十郎:
「あんたがたを助け出すには、斬るほかなかったんでね」

奥方:
「でも、助けられてこんなことを言うのはなんですけど、すぐ人を斬るのは悪いくせですよ」

椿三十郎:
「・・・」

奥方:
「あなたは、なんだかギラギラしすぎてますね」

椿三十郎:
「ギラギラ?」

奥方:
「そう。抜き身みたいに」

椿三十郎:
「抜き身?」

奥方:
「(うなづく)。あなたは鞘のない刀みたいな人。よく切れます。でも、本当にいい刀は、鞘に入っているもんですよ」

椿三十郎:
「・・・」

(『椿三十郎』、0:28らへん)


 はてな、ビデオデッキのリモコンが見つからないのだ。どこにしまったのか思い出せない。

清水や音羽の滝は尽くるとも失せたる物の出ぬはずはなし



 見つからない。

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