桐ヶ谷りこ

海外在住。カリブ海の見える街でのんびりした海外生活を送っています。 人はいつの時代も、…

桐ヶ谷りこ

海外在住。カリブ海の見える街でのんびりした海外生活を送っています。 人はいつの時代も、いくつになってもラブストリーに惹かれる。 【恋愛】をテーマに小説、雑文を書いています。

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  • 【恋愛小説】コットンパール

    高校生の純愛、青春ストーリーです。現在執筆中。

最近の記事

シスターコンプレックス

二歳年上の姉がいる。 物心ついた時からいつも一緒で、一度だけ大きな喧嘩をした事があったけどすぐに仲直りした。姉妹でお風呂に入るのは毎日の習慣で、私が二段ベッドの下で姉が上、だいたい同じ時間にベッドに入る。 友達と喧嘩した時、好きな人ができた時、一番最初に相談するのは姉だった。育った環境が同じ姉とは、思考も似ている。だから、相談したらいつも私が欲しい共感や答えをくれる。 私が高校2年生になった時、姉は上京し一人暮らしを始めた。 姉が上京すると知った当時は、姉が東京にいれ

    • 【恋愛小説・完結済】 「コットンパール」 番外編

      コットンパール 番外編 晴人と付き合った日から約3か月が過ぎた。季節は春を迎え、暖かな陽気の日が続いている。特に、今日は今年に入ってから一番温度が上がっている。きっと桜が咲くのももうすぐだ。  今日は、高校2年最後の終業式で、晴人と私は終業式後に一緒に帰る約束をしていた。晴人が教室に迎えに来てくれて昇降口まで一緒に来たが、急に彼が部室に忘れ物をした、と言って取りに行ってしまったので戻って来るのを昇降口で待っているところだ。  昇降口から出てくる生徒たちをなんとなく眺めてい

      • 【恋愛小説・最終話】「コットンパール」 Ep.19

         私は、無我夢中で走っていた。足を止めて、呼吸を整える。冷たい外気で吐く息が白い。夕方になりさらに冷え込み、少しの風でもすごく冷たいが、走ってきたので体は暖かい。  私は、初めて晴人と映画を観に行った日に待ち合わせた駅前の時計台に来ていた。 晴人からのLINEの返信はすぐにあった。 [わかった!今から行くね。] 私は、その返事を見てすぐに沙耶と相馬くんに、行ってくる、と伝えた。 彼らは笑顔で、「いってらっしゃい」、「がんばってきな」と言ってくれた。  晴人はまだ来てないみ

        • 「コットンパール」 Ep.18

           今日は、朝から一段と冷え込んでいて今年初の大寒波が来ると朝のニュースで言っていた。気だるい終業式の間中、私はずっと外を見ていた。いつ雪が降ってもおかしくないような曇り空だ。いつも寒い体育館がより一層冷え込んでいる。  「杏、行こー。いつものカフェでいいよね?」 「うん、いいよ。昇降口で相馬くん待ってるって。」 私は、終業式を終えた後、沙耶と相馬くんと出かける予定になっていた。  沙耶と私は、昇降口で相馬くんと合流し街にあるカフェへと向かった。私と沙耶は、ミルクティーとそ

        シスターコンプレックス

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        • 【恋愛小説】コットンパール
          21本

        記事

          「コットンパール」 Ep.17

           あれから数日経ったが、私は晴人へLINEが送れずにいた。 ただ、“終業式の後、一緒に帰ろう”とLINEをすればいいのだが、それがなかなか出来ない。  冬休み前の消化試合みたいな授業を受けながら、晴人へのLINEのことを考える。 私からいきなりLINEしたら、晴人はどう思うのかな? 私が告白を断ったのに、一緒に帰ろうなんて誘ったらいやに思うかなぁ? 最初は当たり障りのないLINEを送った方がいいのかな?でも、それってどんな…? ずっと頭で色々考えちゃって、勇気が出せない。

          「コットンパール」 Ep.17

          「コットンパール」 Ep.16

           冬休みも間近に迫り、テスト明けの生徒はどこか浮かれている様子だ。 「杏、放課後は例の作戦会議だよね? 場所どうするの?」 沙耶が笑顔で聞いてくる。 私たちは、今日の放課後、この間話した晴人のことをどうしたらいいのか、作戦会議をする事になっていた。私は、晴人とのことをどうにか前に進めたいと思うようになり、自分から沙耶に声をかけたのだ。 「場所は、生物室!」 私は、密かにいい考えが浮かんでいたので笑顔で答えた。 「生物室? 生物室なんて放課後使えるの?」 案の定、沙耶は疑問に思

          「コットンパール」 Ep.16

          「コットンパール」 Ep.15

           あれから私は、相馬くんに言われた事について時間をかけて考えた。彼は、晴人への気持ちを押し殺さなくてもいいと言ってくれたけど、それでもまだ少し怖い気持ちが残っていた。  それに、相馬くんから沙耶にも相談する事を勧められたけど、1度友達が離れていった恐怖を味わうと、また同じ事が起こるんじゃないかと思ってしまい、“本音で話す”と言う事が、本当に難しい。特に、中学の事があってから、人と距離を置く事が癖になってしまっていてなおさらだ。  それでも沙耶の優しさは誰よりも知っている。だ

          「コットンパール」 Ep.15

          「コットンパール」 Ep.14

           季節は冬に向かい、上着が必要な季節になってきた。数日後に期末テストが始まるので、私はいつも通り、放課後の図書室で勉強をしていた。今日は、テスト範囲がいつもより広い英語を勉強する事にした。とりあえず授業の復習をする。 「ねぇ、ねぇ、城山さん。」 集中していたので、急に声をかけられてビックリする。話かけてきたのは、相馬翔矢だ。 この人は、いつも急に話しかけてくる…。高まる不信感。 今回は、何の話だろ…? 「な、なに?」 「ちょっとゆっくり話したいから場所変えてもいいかな?」

          「コットンパール」 Ep.14

          「コットンパール」 Ep.13

           私は、誰もいない図書室で晴人を待つ事にした。 さっきの晴人、あんなに息切らしてたから、本当に慌てて追いかけて来てくれたんだろうなぁ。 なんかすごく嬉しい。 すごい暖かい気持ちになった事が自分でもわかった。その暖かさと同時に少し怖さを感じる。 30分程で、晴人が図書室に入ってきた。 「杏、待たせてごめんね。てか、電気付けないの?」 制服姿だけど、いつもよりラフな着こなしの晴人。いつもと違う晴人がまたかっこよく見えた。 「花火、暗い方が良く見えるんじゃない?」 「あ、そっか!

          「コットンパール」 Ep.13

          「コットンパール」 Ep.12

           私たちはそれから、他のクラスの模擬店を何店か回り、唐揚げや焼きそば、飲み物を買ってベンチで休憩する事にした。 「お化け屋敷、本当に怖かったー。」 「沙耶、途中少し泣いてたよね。」 私はからかうように沙耶に言う。 「わー、言わないでよ〜。超怖かったんだから。でもそのおかげで相馬くんに助けてもらっちゃったし、ラッキーかも! 相馬くん本当にかっこよかったぁ〜。」 沙耶にとっては、お化け屋敷の恐怖より相馬くんに助けてもらった事の方がインパクトが大きかったようだ。 「そうかなぁ…。」

          「コットンパール」 Ep.12

          「コットンパール」 Ep.11

           今日は、文化祭の2日目だ。昨日は、沙耶と私は自分のクラスで忙しかったので、今日はお昼のピークが過ぎた頃に、周りの女子が気を利かせて長めに休憩時間をくれた。  沙耶と私は、隣のクラスのおばけ屋敷が人気で、入るまでに並ぶと聞いていたので、すぐにおばけ屋敷に行く事にした。お化け屋敷は、隣の教室ではなく、別の広い教室を借りていたので、そちらに向かい列の最後尾に並ぶ。  晴人いるかな? おばけ屋敷の前にはいないみたい。 シフトとか聞いておけば良かったかも。 うん? でも聞いといてど

          「コットンパール」 Ep.11

          「コットンパール」 Ep.10

           テスト期間も終わりいよいよ2日間の文化祭が始まった。私たちのクラスのカフェでは、パンケーキ、クレープ、カップケーキの販売とコーヒーや紅茶などを提供する事になっている。私は、クラスの中心グループの人たちが決めた内容に従い動く。  服装も、彼らの意見でクラスみんなでお揃いのオリジナルTシャツを作った。Tシャツは、パステルピンクで、クラスで絵の上手い子が描いた絵やカフェの名前が、胸元や背中に描かれている。私は、制服のスカートの上にそのTシャツを合わせたスタイルで、ウェイターをやる

          「コットンパール」 Ep.10

          「コットンパール」 Ep.9

           もうすぐ中間テストが始まる。そして、中間テストが終わって少し経ったら文化祭だ。今はテスト前で、晴人と私は、2人で勉強をしに図書室に来ていた。向かいの席に晴人が座っている。ドキドキと緊張で、晴人の顔が見られない。  どうしてこうなったのかと言うと、昨日の夜晴人とのLINEで約束したからだ。私が、[明日は、放課後に図書室で勉強するよ]とLINEをしたら、晴人も部活がないから一緒に勉強をしたい、と言ってきたのだった。  私は、一緒に過ごせる嬉しさと同時に、晴人が居たら緊張で勉強

          「コットンパール」 Ep.9

          「コットンパール」 Ep.8

           夏休みも終わり、学校が始まってから数日が経った。徐々に夏休み明けの気怠さも抜け、みんながいつも通りの高校生活に戻りつつある。 晴人とは、映画に行った後も何回かLINEをした。晴人の部活の話や、夏休みの課題について。たわいもない話だったが、LINE出来ることが嬉しかった。  1時間目の授業が終わり、私は、教室前の廊下で沙耶と2人で話をしていた。晴人と映画に行った事については、夏休み中に沙耶にLINEで報告をした。楽しかった、と伝えたら、沙耶も嬉しそうだった。沙耶は、本当に優

          「コットンパール」 Ep.8

          「コットンパール」 Ep.7

           夏休みも終わりに近づいてきた8月末、矢崎くんと私は約束通り映画を観に行くことになった。11時に駅前の時計台で待ち合わせなので、10分前には着くように家を出る。駅に着き時計台に向かうと、矢崎くんが既に待っていた。  私服姿、初めて見た。 いつもは制服姿だから、私服の矢崎くんはとても新鮮だ。黒のスキニーパンツの裾を少しまくっているので、靴と裾の間から彼の細い足首と踝が見えている。白の半袖シャツと合わせていて、シンプルだが彼にとても似合っていた。 私の服装大丈夫かな。急に不安に

          「コットンパール」 Ep.7

          「コットンパール」 Ep.6

           テスト期間と終業式が終わり夏休みが始まった。夏休みと言っても、友達の多くない私はこれと言って特に予定もない。時々、沙耶と遊んだり、課題や勉強をしていたくらいで、気付けば夏休みも中盤になっていた。  そんな頃に、突然矢崎晴人からLINEがきた。 [元気にしてる?] たったこれだけのLINEだが、受け取った時には胸が高鳴った。 返信をする前に、矢崎晴人からのLINEの画面を何度も繰り返して見た。そのたびにドキドキした。すぐ返信するのもどうかと思い、数時間置いてから返信する事に

          「コットンパール」 Ep.6