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「コットンパール」 Ep.16

 冬休みも間近に迫り、テスト明けの生徒はどこか浮かれている様子だ。
「杏、放課後は例の作戦会議だよね? 場所どうするの?」
沙耶が笑顔で聞いてくる。
私たちは、今日の放課後、この間話した晴人のことをどうしたらいいのか、作戦会議をする事になっていた。私は、晴人とのことをどうにか前に進めたいと思うようになり、自分から沙耶に声をかけたのだ。
「場所は、生物室!」
私は、密かにいい考えが浮かんでいたので笑顔で答えた。
「生物室? 生物室なんて放課後使えるの?」
案の定、沙耶は疑問に思ったらしく聞いてくる。
「うん。それは大丈夫。」
沙耶は、腑に落ちない顔をしていたが納得したようだった。

 放課後になり、私と沙耶は生物室に向かう。生物室に近付くと、予定通り作戦会議に誘ったもう1人が既に生物室にいるみたいだった。
沙耶が生物室の扉を開けて、私より先に教室に入る。
「え? 相馬くん…?」
沙耶は驚き、私の方を振り返る。沙耶がすごく慌てていて少し面白い。
「そう。相馬くんも誘ったの。」
私は笑顔で答える。
「よろしくね。高田さん。」
相馬くんは、笑顔で沙耶に挨拶をした。
彼には、沙耶も来ることを伝えていたので、驚く沙耶を見て、相馬くんも少し笑っている。
「実はね、私と晴人のこと相馬くんも知ってて。それに、相馬くん私の中学の事も知ってるの。沙耶に相談するように背中を押してくれたのも相馬くんで。相馬くん晴人とも仲良いから、作戦会議に誘ってみた!」
沙耶に、笑顔で説明する。
「そ、そうなの?」
沙耶は、相変わらずビックリしたままで、状況を飲み込めていないようだったけど、相馬くんがいる事には喜んでるようだった。相馬くんを誘ってみて正解だ。

「じゃあ、作戦会議スタートな。」
相馬くんが話を切り出した。
「とりあえず、今の晴人と城山さんの状況はどんな感じなの? 遠目から見てる感じは、そんな気まずそうには見えないけど…。」
「気まずくはないかなぁ。それは晴人がそう努めてくれてるからなんだけど…。でも、すれ違ったら挨拶する程度かな…。」
相馬くんの質問に答える。
「LINEはしてないの?」
沙耶が聞いてくる。
「LINEは、告白されて以降はしてない。」
「そっかぁ。」「なるほどなー。」
沙耶と相馬くんが同時に相槌を打つ。
「2人は両想いなのになぁ〜。なんかもどかしいよ〜。」
沙耶が天を仰ぐ。
「両想いなんだから、今度は城山さんから告白したら?」
唐突に相馬くんが言う。
「こ、告白? 私から…。」
一度思考回路が停止する。
沙耶も、その手があるじゃん、っといった表情でこちらを見ている。
「ま、待って…! 言いたい事はわかるんだけど。 こ、告白はものすごーくハードルが高いよ?」
慌てて2人を説得する。
「まぁ、そうだよな〜。少しずつ色々乗り越えてきてる城山さんに、いきなり告白はハードルが高いよな〜。」
相馬くんも理解してくれたようだ。
「そうだよね〜。杏から告白されたら晴人は絶対喜ぶと思うけど、だいぶハードルがね〜。でもさ、晴人はその告白を杏にしたんだよね…。すごい勇気だよね…。」
沙耶も共感してくれたが、晴人の気持ちに思いを巡らしているようだった。
「本当だね…。なのに私は…。」
私も晴人の気持ちを考えたら、物凄く胸が苦しくなった。
「おいおい! 暗くなってどうすんのさ。じゃあさ、告白は無理でもLINEするのなら、城山さんからでも出来るんじゃない?」
「LINE…。そういえば、私から晴人にLINEってした事ないかも。」
私はこれまでの晴人とのLINEを思い返してみて、全て晴人から送ってきてくれていた事に気が付いた。
「それも私にとっては勇気がいる事だけど…、私からLINEしてみる!」
それなら私も出来そうだと思い、そう答えた。
「杏、それがいいよ。きっと晴人、喜ぶよ。」
「よし! じゃあ、次はそのLINEの内容だな。」
相馬くんは、すごく親身に相談に載ってくれて、しかも本当に上手に話を進めてくれている。

「久しぶりのLINEだから、重たくなく軽い感じがいいよね?」
沙耶が考えながら言う。
「軽い感じ…。」
自分から積極的に恋愛をした事がない私には、あまりいい案が浮かばない。
「一緒に帰ろうとか?」
沙耶が、閃いた、という表情をした。
「あいつ、放課後は部活だよ…。」少し間が空き「あ、でも終業式の後は、確かどこも部活ないよな? 終業式の後、一緒に帰ろうでいいんじゃね?」と相馬くんが付け加える。
「それいいじゃん! それなら軽い感じで誘えるし。」
沙耶も相馬くんのアイディアに同調する。
「そうだね。それならできるかも。」
私も、それくらいならなんとかできると思い同意した。
「よし! とりあえずはそう言う事だな。とにかくまずは、また距離を縮めていくところからだよな。 終業式まであんまり時間ないけど、LINEしたら報告しろよな?」
相馬くんが笑顔で言う。
「も、もちろん。 LINEしたら、ちゃんと相馬くんにも沙耶にも報告します!」
私は力強く返事をした。

 今日は解散する事になり、相馬くんは先に生物室を出て行った。
「もう、杏、相馬くんがいるからビックリしたじゃん!」
沙耶が、相馬くんがいなくなりさっきまで緊張していたようだったが、いつもの沙耶に戻った。
「えへ。ビックリさせたかったから。」
「えへっじゃないよ〜。 あ〜、緊張した〜。」続けて、沙耶は「でも、この頃、杏が前向きなのがよくわかるからすごく嬉しい。それに、杏、前より明るくなったし、可愛いくなった。」と言た。
「そうかな〜? でも、前よりずっと前向きに考えられるようになったのは確かかも。これも沙耶と相馬くんのおかげだね。」
私は2人に対して感謝の気持ちでいっぱいになった。

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海外在住。カリブ海の見える街でのんびりした海外生活を送っています。 人はいつの時代も、いくつになってもラブストリーに惹かれる。 【恋愛】をテーマに小説、雑文を書いています。

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