人間感覚を失ったあの夏(1) 〜非日常生活の始まり〜
○ まえがき昨年の夏。私は人間感覚を、半分失っていました。「今」という時間は、あの夏の延長線上に存在しています。誰にも言えない秘密を抱えながら。泣いてしまいそうなくらい戸惑い、1人もがいていた、あの夏。あの夏を堺に、私を取り巻く世界と、私の意識は、大きく変わりました。そして、今。行先を尋ねることも、よそ見をすることもせず。上が「行け!」と指示するその方向へと。ただ、この足を進め続けるのみ。
○ 非日常生活が始まるまであんなにも濃く、息つく間もなく、限界に近い苦しさを感じた、