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商業出版する方法#86〜結局は「誰と組むか」が大事になる本づくり

元KADOKAWAの編集者でビジネス・実用書出版コンサルタントの渡邉です。

私の出版コンサルの事例から、商業出版への道筋をたどる内容をシェアします。

今回の本は
「悪条件サロンでも年商1000万円を実現する経営のルール」
(岩山ひろみ・著/合同フォレスト・刊)

です。

1)コンサルセッションで取材・お打ち合わせ→企画書を渡邉の方で1通作成→持ち込み活動

ビジネス書・実用書の領域で何よりも大事なのが「出版企画書」です。出版企画書がないと、今の時代出版社(の編集者)は、打ち合わせに応じることも不可能です。

でもビジネスってそういうもんだったりしませんか?
ただ「お話ししませんか〜」だと、双方にとって時間の無駄だったりします。生産性が非常に気になる時代です。もう昭和の時代のように「とりあえず会って本の話をざっくばらんにしたい」は、さすがにビジネスとしても今ひとつ良い行動とは言えないと思います。

またなんといっても、ベストセラー著者ほど「とりあえず会って」みたいなお話を避けたがる傾向も出てきています。その意味も含めて、せっかく時間使ってお話しするんだから、「楽しかった」「学びになりました」だけではなく、ちゃっちゃとビジネスの話を有意義にしたいもの。
だからこそ、出版企画書は「ポジティブな商談」を作る資料にもなるので、今や必須なわけです。

ただ出版企画書は、人によっては「自分で書いていく」ことにどうしても向き不向きがあったり、ましてや経営者の方はご自身の仕事を削りながら企画書を書かないといけない・・活動をしなければならない・・ってことがあると思います(出版塾などにいくと殆どがそうだと思います)。
実際岩山さんは、サロン経営者向けの塾やコンサルを展開していて、とても人気の高いそれでもあるので、お仕事の方に集中することが大切になる。また、私が岩山さんとお会いした時はご出産もされた直後であったことから、プライベートにおいても時間を割く必要はどうしても出てきます。

となると、なるほど「企画書を自分で書く」のは今ひとつ生産性が高まらない行動だ・・・ということがご理解いただけるのではないかな、と思います。
だからこそ、私のようなプロがいるわけで。
私は編集者だからこそ、出版企画書を書くのはもう得意なわけです。だから、コンサルのコースの中には「お話ししていただければ、渡邉が企画書を全部お作りしますよ〜」というサービスもありまして、岩山さんはそちらをチョイスいただき、渡邉が岩山さんに「取材する」という形をとって、1通の企画書を全部私の方で作らせていただきました。

岩山さんはお話しするだけ。そのお話を受けて、渡邉が出版社にオファーされやすい企画書を完成させる!というわけです。
実際、完成した企画書は1通。戦略的に1通作って、出版社への持ち込み活動を渡邉の方で行っていきました。


2)2社の出版社の編集長と打ち合わせ

数社送ったところ、色々な反応が寄せられました。出版社に企画書を送って大事なのは「合否連絡をもらう!」という以上に「編集者からの反応を観てみる」ことです。

企画書送っていきなり「出版が決まりました!」「企画が通過しました」という連絡は9割きません(笑。
”どこぞの学校の「合格通知」ではない”のですよね。

だいたい出版への道筋が開かれていく場合、合格通知なんかよりも重要なのは出版社の編集者から「企画書を見て興味を持ちました、一度打ち合わせさせてくれませんか?」という言葉です。
この言葉が出てくると、非常に出版への確率というか精度が上がってきます。

岩山さんの企画書に対する反応も返ってきまして、2社の出版社の編集長とお打ち合わせすることになりました。


3)結局は編集者との「相性」が、幸福な出版活動の決め手になる

2社との面談を行わせていただき、最終的に1社の方で出版が決定しました。で、この決定的要因は何かというと、今回出版となった出版社さんは「サロン経営」に関する本で売れている・増刷を重ねているものがあったのです。すなわち「会社として、実績本がある」という点がアドバンテージとなりました。
そして、編集長さんとのお話し合いも含め「人間的相性」もキーとなりました。
この編集者さん+この会社さんと、お付き合いしていきたいな・・・という著者候補サイドの納得感も大事だと思います。

私も幾度も経験はありますが、一度お打ち合わせをさせてもらったからといって、自分および自分が所属する出版社で必ずしも著者としてお迎えできないこともある、って話です。

商業出版は、自費的な出版物よりもどうしても出版社の意向が最優先されてしまいます。よって、著者サイドでも「合わない」ってことは全然あるわけです。

私も、KADOAWKA時代、私やKADOKAWAの条件がどうしても合わなくて、泣く泣く著者を取り逃したこともあります。その方達は他社で本を出されてベストセラーになっている。だからこそ、悔しいな〜との思いもありますが、これはもうどうしようもありません。

私でない方が+KADOKAWAでなかったからこそ、著者としても心地よいお付き合いができて、その中で本を出して売れた・ヒット作になったのですから、これはもうほんと「ご縁」というしかないでしょう。

というように、岩山さんにおいても「ご縁」を優先していただき、その結果発売された本は1ヶ月も経たずに増刷もしました。
結果的に、これで良かったのだと私も感じています。

商業出版はその意味でも「ご縁」がとても大切です。
出版活動をよく「婚活」に例えたりもしますが、まさにそうとも言えるのです。
でもこのご縁が、その後の著者のステージを爆発的にアップさせたり人生を変えたり、新たな道を切り拓いたりするきっかけになるので、とても不思議な世界なんだよなあ〜と、出版界の端くれにいるものとしても改めて思いを致すわけであります。


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