見出し画像

「自分のポジショニングを正しく考える」アーティスト、齊藤翔さんへインタビュー。

「日本は5年、10年後にサウナ大国になると思う。」

インタビュー依頼の経緯を話す暇もなく、サウナ愛を熱く語り始めたOshoこと、齊藤翔。
2024年にオープン予定のサウナ事業を進めている真っ只中らしい。

多才で愉快なキャラクターである反面、繊細な一面を持っている印象。
日頃から世間話と思いきや物事の本質をつらつらと話すOshoに、改めて本人のことについて聴かせていただきました。


▼Oshoプロフィール

齊藤 翔(さいとう しょう)
・宿泊業オーナー、動画クリエイター
・インフルエンサーマネージメント・プロデュース
・サウナ運営

ー8年間の役者を経て、幅広い分野へと事業を広げている。

ーサウナを世界に広めたい?

“整う”という文化を違う言葉で外国へ伝えたい。
外国人がサウナ文化を体験しに日本に入ってきて、“合法的にぶっ飛ぶ”みたいな旅をする人が出てくるんじゃない。
全世界のうち、日本とフィンランドの1億人弱しかあのトリップを知らないからめちゃくちゃπ(パイ)が余ってる。

ーサウナ事業をしようと思ったのはいつ頃。

自身がサウナにハマったのは4年前。
サウナをアジアに向けて広げようと思ったのは2年前。

単に穴がある業界だし、宗教も人種も入り混じっている中で実現するのかっておもしろ味もあって。
例えばイスラム教の女性は肌を見せられないとはいうけど、フィットネスジムでは露出していたり。
ファッション・ウェルネスの文脈からも“整う”って文化ひとつで広く派生していけそうだなって思ったんだよね。

ー男女共通で楽しむといえば、岩盤浴ではなかった?

サウナを作る人間が言っていいのか、そもそも岩盤浴の方が断然健康にいいんだよね。(笑)
内臓から温めてじわじわと汗をかくという身体面で。
でも「毎日岩盤浴行きたいな」ってなかなか思わないでしょ。
サウナには中毒性があって、整うときに幸せホルモンが分泌されて快楽を得られる。

それに、本場フィンランドのサウナは男女が垣根なく利用して、コミュニケーションを取る場としてあるんだよね。
僕としても女性が“整う”をもっと実感していける仕組みづくりをしていきたい。

ーYoutubeが外国向けなのはなぜ。

個人でもコンテンツを作っているんだけど(現在休止中)、戦略的にコンビを組もうと言ってくれた友達がヒンディー圏で指示数を持ったYoutuberだった。
コンテンツのディレクションや、企業案件/PRをするようになったのが入り口かな。
日本人で海外向けにフォロワー100万人を超えるYoutuberって出始めだったから、周りも集まってきてくれた。
だから僕らは南アジア・東南アジアにローカライズされている。

ープロデュースやマネジメント業もしている?

クリエイターはマーケティングの仕組みに詳しくないから、サポートができたらなっていうのもある。
現状は東南アジアに進出するときの手伝いしかできないからそこが課題かな。
プロジェクトベースで海外進出したい人はまだたくさんいるから、その橋渡しができたらいいなと思う。

ー芸能のマーケティングを学ぼうとした理由は?

23歳頃まで役者を頑張っていたんだけど、実力がある者が残らない業界だな…って。

「凄くかっこいいな、なんでこんなに芝居上手いんだ」って痺れる人は“そこ”にはいないという事実がもどかしかった。
舞台には基本代役がいて、代役の演技がまさに「なんだこれ!」って思うくらいに上手いの。
舞台に近づくとメインキャストが入って徐々に形が仕上がる、という環境にいて、“出方って大事。ポジショニングって大事だ。”って思った。

ー実力を正しい位置で発揮するためにマーケティングを考え始めた?

ポジショニングをミスってダラダラ続けていると芽も出ない。
芽も出ずに踠く人たちの姿かっこよかったけど。

環境が悪いということにフォーカスを向けて、自分にできることがあるなと思って宿泊業を始めた。
マーケティングというか自他のポジショニングを正しく考えるようになった。

ークリエイターとしてポジショニングをどう考える?

クリエイションするうえで、実力を出すためなら世間の評価もいらないって思ってしばえばいいんだけど。
誰にでも伝わる表現って好きじゃないし。
ただやっぱり世間の評価に晒される人であるならば、そこを一度理解した上で、自分の実力を出せたほうが相乗効果的に良い。

その相乗効果で結果が出て、自分にも満足して安心したら誰かに評価される表現なんかしなくていいと思う。
僕はそっち派だから。
そうなった時にポジショニングが取れていることって前提で。
何もポジションがないのに「俺は!」って言っていても…ね。(笑)

ー人の面倒を見るのは好き?

そうだね。
形として既にインフルエンサーのマネジメントを業務提携でやっているけど、育成は考えていない。

インフルエンサーとタレント・役者はそもそもが違う。
インフルエンサーは自分が良しと思ったもので突っ走って、プレイヤーとしてもディレクターとしても能力が必要。
役者はディレクターがいるから、「操った時に何ができますか?」の能力を伸ばす必要がある。

ー役者もYoutuberも経験してこその観点だね。

だから役者からインフルエンサー・Youtuberにのし上がる人が少ない。
「プレイヤーしながらディレクション・ブランディングするのは苦手なんだ」と言って業界から身を引いてしまう。

自分という外見、性格、全てのパーソナリティを表現したときに、何が出来て何が出来ないかを見極めないといけない。
違う脳でもある気がするし、大きくまとめると表現だから同じなんだけど。

ーどんな子供時代だった?

7歳から野球をしていて、中学時代に怪我して半年以上運動ができなくなった。
めちゃくちゃ動いてたから急に動けないと眠れなくなるの。
成長期に睡眠薬や精神薬も飲んで、昼夜逆転して1年間不登校だった。

不登校の頃に通ったスクールが芸能系で軽く演技に触れて、高校は芸能系へ進学した。

ー演技に興味があったというより、タイミング?

タイミングだね、そんなに役者がしたかったわけでもない。

ー当時と今のマインドは違う?

根本は変わらないけどマインドは違う。

僕、世の中のことめっちゃシニカルに見てるからね。
めっちゃ生きたいと、めっちゃ死にたいが混在してる。

全ての人間が“陽”で人間が幸せな世の中ってクソみたいだなと思っていて、映画選びは同じテンションの作品が多い。

生粋の明るい人間が底を経験すると、両極端が見えてくる。
社会に出てビジネス的な観点も入ってきて、基本は陽でいないといけなくなった。
それだけじゃつまらないよなってのが節々に感じる。
「これが真実であり正解です!」みたいなのがバカみたいだなって。

ー組織に属するのは苦手?

2番手とかで属するのは向いていると思う。
アイデアは奇想天外なのが勝手にどんどん出ちゃうから、先頭に立つと疲れてしまう。(笑)
一つのタスクが終わったと思ったら、別の良いアイデア出てずっとぐるぐる回ってて、これっていう目標がないのかもしれない。

ー目標がないといえ、事業の目標はあるのでは。

もちろん数字的な目標はある。
着地点を妄想するのも少しずつ進めていくのも好き。
前述したように、固定概念でやり抜くみたいなスタイルが向いていないから、役員としてずっとそこに携わるポジショニングはしないほうがいいと思う。

外側から資金で誰かを助けたり、自己満足で誰にも響かないアートとかしているほうが絶対幸せだから。

ー自分の性格をどう思う?

複雑っ。(笑)

ー現在はどのような仕事がメイン?

基盤でいうと宿泊業、2番目がSNSディレクション。

ここ数ヶ月は宿泊施設の掃除も自分でしているよ。
午後からSNS周りを作業して、(サウナ事業の)融資関連のことをしているうちに夜になるみたいな感じかな。

ープレイヤーとしてのOshoはどのようなタイプだと思う?

僕はプレイヤーで何か達成したつもりはなくて、自分の表現が大衆に響かないタイプなのもわかっている。

音楽でいうと、オーケストラではなかったんだなと思う。
個人技だったりオーディションでの圧倒はできる。


オーケストラのように協調性を大事にしてと言われたら、それが得意ではなかったのかも。

ー2023年の前半と後半での変化。

半年間住んだ大型シェアハウスでの生活が大きかったんじゃないかな。
自分の自由って他人の不自由なんだと知った。
かといって離れてみると良いことの方が多かったし、学びもあった。

ちょうどシェアハウスを出た後に政治関係のYoutubeを見ていて重なった点がある。
僕は、世の中の風潮をじりじりと変えられる能力をつけないといけない。
一般社会で成立させるにはピースとピースのポイントを取って発言して、やっと政治的に変わるんだって。
感情やアイデアだけで生きているから、冷静さというかロジックが必要なんだろうなって勉強になった。

結局コミュニティっておもしろい。

「成功したい」とか「幸せ」って一体なんだろうなと思う。
僕は業界が近い人じゃないとその本意を話せない人間だから。
表向きの交流しかできない人と、踏み込んだ話ができる人にわかれていたり。
それが課題かといわれると全員に伝わる必要もない。みたいな。

ー成功や有名って受け取り方によると思う。

定義がむずかしいね。
例えば僕もインドではクリエイターとして名前が知られているけど、日本でメディアに出ようとするとお笑いの枠になってしまう。
“日本のエンタメ発でインドで有名になった”とプロモーションしていきたいから、お笑いとして扱われるのはちょっと違うんだよね。

歌やダンスは正しいカテゴライズで成立する可能性があるから、そこを強くしていきたい。

ー専門性、カテゴライズって大事だよね。

役者やアーティストの混在はむずかしい。
なぜカテゴライズが大事かというと、人の目に届く情報が増えすぎている。
人は、情報の多い発信者を選択肢から省いていくから。

ーOshoはカテゴライズとして何を取る?

表現の領域としてダンス、役者、歌(ラップ)かな。

ー将来に向けて力を入れていること。

まずサウナを来年8月にはオープンさせたいからコンテンツを充実させる。
そして5年以内にNetflixのドラマに出る。
移り変わりの早い時代だから、5年後にNetflixが存在すればね。(笑)

ーOsho、ありがとうございました!


友人としても仕事人としても尊敬できる部分がたくさんあり、本当に熱い話を聞けた時間でした。
バックグラウンドを初めて聞く機会になり、私自身も自分の在り方を正しく見つめ直すきっかけになりました。

サウナ施設の成功と表現者としての更なる飛躍を、楽しみにしています!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?