2021年、記憶に残るホテル 20選
ホテルに関わる仕事もしているので、今年もリサーチと言いつつ色んなところに泊まった。
そんな今年出向いたホテルの中で記憶に残る20箇所を、自分で撮影した各3枚の写真、場所と金額、短いテキストで記録する。(名前のリンクからホテル詳細に飛べます) 良いことも惜しいことも書いてます。
嵐山邸宅MAMA
この夏京都にオープンしたMAMAは、嵐山駅から徒歩3分、渡月橋からすぐの一軒家。全10室の部屋は全てデザインが異なる。私が泊まったのは広すぎるプライベートガーデン付きの部屋で、庭を眺める露天風呂が最高だった。ラグジュアリーとカジュアルの間。コストパフォーマンスがかなり良いホテル。
べにや無何有
開湯から約1300年の石川県 山代温泉にある。「無何有」とは荘子の言葉で「何もないこと」。派手なもてなしやコンテンツがなく日常と隔絶される宿。一方で、夜食として籠入りの細巻き寿司がさっと玄関に置かれていたりと非常に粋…。ロゴは原研哉氏のデザインで、同氏による水のアート作品「蹲(つくばい)方寸」も鑑賞することができる。
湯の山 素粋居
三重県、湯の山温泉に一年半ほど前にオープンした宿。全てデザインの異なる12棟のヴィラでは、全室に源泉掛け流しの露天風呂が楽しめる。 「自動運転モビリティ送迎」「チェックイン不要の顔認証」など非接触のサービスは、コロナ禍開業のホテルならではという感じ。内装は結構チープな印象。コスパは少し悪いかな。でもホスピタリティがよかったので満足。
輪の家
世界中の建築雑誌の表紙を飾る作品にAirbnbで泊まれるんだから嬉しい。TNA設計の一軒家貸切。名前の由来である壁面のストライプ状の「輪」は、風景を輪切りにするデザイン性と同時に、建物を支える構造的な役割も担うからすごい。水回りなどディティールはそこそこ劣化してるので、ピカピカは期待しない方がいい。大勢でわいわい泊まるのが楽しい宿だな。
SAYS FARM
富山の丘の上のワイナリーにある、1日単位で貸別荘のように過ごせる宿泊施設。ここで帰るワインのラベルがキュート。 私はレストランだけ行ったのだが、素敵だったので記録。次は泊まりたいな。「お金を儲けることではなく、また来たいと思ってもらえる場にできるかが大切。そして次に来た時には、また少し何かが良くなっている。」という創業者の想いはブランド作りの真髄だと思った。
ししいわハウス
坂茂設計の隠れ家リゾート。通常ホテル共用部の面積は全体の約2割だけど、ここでは「5割」だという。全10室の個室は3つのグループに分けられ、それぞれリビングを共有。不本意な交流は困るけど「ししいわに泊まる人」というソートがあるから成り立つのかな。私が泊まった時は貸切だったのか、誰とも出会わずゆったり過ごした。他人と共有したときは居心地がどうなのかは不明。
SANU Renovation Cabin
SANU は、⼈と⾃然が共⽣する社会の実現を⽬指すライフスタイルブランド。月額55,000円で自然の中の幾つもの家に泊まれるセカンドホーム・サブスクを展開している。ここは八ヶ岳南麓の、もともと建築設計事務所だった150平米の平屋をリノベーションしたキャビン。
香林居
部屋に余計な壁が一切ない潔い設計。この土地の名に由来する「光林坊」には、夢のお告げに従い調合した目薬で、前田利家の眼病を治したという逸話があるという。入口には、そんな目薬の製造方法に繋がる蒸留機が置かれていたりと、土地の歴史や文脈を熱烈に紐解いたホテルづくりには愛らしい狂気があった。プライベートサウナ(アイス付き)で街を眺めてととのい始まる一日は素晴らしかった。
ROKKONOMAD
森の中の、泊まれるシェアオフィス。海を見下ろして仕事して、朝は手作りスムージーがいただけて、昼の12時には集合して仲間とカレーを食べる。光回線でwifi早いし会議室も。夜はみんなでBBQ。まさに「大人の合宿」は気持ちが上がる。山の上にサテライト拠点がある生活は最高だった。
星のや京都
写真は「月橋」という一棟貸しの広い部屋。嵐峡の風景を一望でき、とんでもなく最高な部屋だった。「葉雫」という一番リーズナブルな部屋にも泊まったことがあったのだが、正直別のホテルかっていうくらい体験が違う。中途半端にひよって安い部屋に泊まるとホテルの真髄は理解できないなと体感した。
つきひの家
八十年の歳月を経た町家建築。昔ながらの地下防空壕から瞑想部屋まで、様々な部屋が出迎える。風呂釜は、陶芸家 高橋廣道氏作のオーダーメイド。ベッドも特注。朝食には、提携する京都銘店の焼き立てパンとスープが楽しめる。ステップフロアでかなり広い空間は、二人だとかなり優雅に過ごせた。
The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu
元々は、明治2年に開校した旧清水小学校の校舎。北川一成さんがアートディレクションしているだけあって、歴史ある校舎への調査と敬意が表出していた。屋上のルーフトップバーK36では、法観寺・八坂の塔を中心に京都の町を一望できるんだけど、ちょっとギラギラした人や賑やかな若者が多かった。
アマネム 伊勢志摩
三重県。国立公園内にある アマン初の温泉リゾート。英虞湾(あごわん)を眺めるインフィニティプールに、2,000㎡の屋外天然温泉を有するスパエリア。広すぎる敷地内はカートで移動。設計はオーストラリアの建築家ケリーヒル。随所に日本家屋の美学をとりいれている。
アマン東京
大手町タワーの33〜38階にある東京のアマンもケリーヒルが手がけている。外苑の森と東京の大パノラマが素晴らしいし、ホスピタリティもよく、アマンは本当にすばらしい。この日は幸運にもプールが独り占めできた。
MALDA
ヨーガンレールの美意識を凝縮したホテル。小石が浮き出つ洗い出しの床が素足に心地よかった。部屋に運ばれる朝食は京都や石垣島の自社農園の有機野菜。これが本当においしかった。アメニティは流石のオリジナル。真向かいにショップがあって、すぐ購入できる動線も良い。
L’évo
富山の山奥に佇むオーベルジュ。泊まれず食事だけしたので次は泊まりたい場所。 約45年前「消滅集落」となった人口500人の村で、食材から内装まで地産地消している。総工費6億円、7500㎡の敷地には宿泊棟のほか、フィンランド式の薪焚きサウナ、肉の熟成庫、パン小屋まである。前衛的地方料理の名店。
Izu Cliff House
国立公園内にあるガラス張りの別荘。デッキから望む海と夕日が本当に最高。66平米と写真で見るより狭いので、少人数で泊まるのがよい。wifiは遅くて仕事はできない。割り切って存分に休むべし。ちょっと劣化しているので、気になる人は事前に宿の説明をよく読むとよさそう。
由縁別邸
こんなに静かな旅館がまさかの下北沢駅から徒歩8分。箱根・芦ノ湖温泉の源泉を運んだ露天風呂、サウナ、スパまである。wifiも安定してたので茶寮に籠ってゆるく仕事した。都内でサクッと息抜きに最適。サウナに水風呂があればもっとよかったな。
BEB5軽井沢
星野リゾートのミレニアル世代向けホテル。スタッフは私服。チェックアウトはざっくりお昼頃。3人なら1人5000円強。共用部が売りだけど、人との繋がりは求めるが自分だけの安全圏が欲しい若者に『コミュニティの押し売り』をしない距離感がナイス過ぎ。系列の大浴場「とんぼの湯」に無料で入れるし、サクッと泊まるのに良い。かなりカジュアル。
森の離れ
TNA設計の、ほぼ全てガラス張りの平屋。軽井沢駅からタクシーで約5分なのに、森の中。空気も澄んでる。2600平米の敷地に佇む5棟の平家はそれぞれコンセプトが異なるらしい。キッチンが広いので近くのスーパーに買い出しに行って料理するなど楽しい。
長い、長すぎる…。冗長ですみません。
最後まで読んでくださったみなさま、ありがとうございました。
2022年もいろんなホテルに泊まりたいな。
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