FAR1-3 9.Bonds

〇社債の定義
→長期資金調達のために企業が発行する有価証券のこと。

(長期で多くの資金を低金利で借りることができる)
発行企業は償還期日(maturity date)に額面価格(face amount)+定期的に利息(interests)を支払う義務がある

〇社債の分類
①担保設定の有無による分類
  ・担保付社債(secured bonds)
  ・無担保社債(unsecured bonds/debenture bonds)
②償還方法による分類
  ・満期一括償還債(term bonds)
    →元本を償還日に一括返済
  ・連続償還債(serial bonds)
    →元本を順次返済していく

〇利率の種類
表面利率(stated interest rate、クーポンレート(coupon rate)ともいう)
 →その社債から毎年得られる利息
実効利率(effective interest rate)
 →社債への投資で実質的にどれだけの利回りが生まれるかを示したもの
市場利率(market interest rate)
 →市場で形成される利息のこと、実効利率と一致する

市場利率9%である時、ある企業が発行する社債の表面利率は年6%であるとする。
→単純にこの社債の表面利率6%と市場利率9%を比較すると投資者はこの社債に投資することを不利と考え、社債を買うことを控えるかもしれない。
でも企業としてはこの社債を売り出すためにどの様に取り組んでいるのか?
→投資者にとっての実質利回りを市場利率に近づけるために発行価格を額面価格よりも低くする、ディスカウント発行(issue at discount)を行う。
→仮に市場利率が3%であった場合、投資者にとっての実質利回りを市場利率に近づけるため発行価格を額面価格よりも高くする、プレミアム発行(issue at premium)を行う。

表面利率>実効利率→プレミアム発行
表面利率<実効利率→ディスカウント発行

〇社債の発行価格
社債の発行価格(Issue Price)=
  額面の現在価値金額(Present Value of Face Amount)+
     金利の現在価値金額合計(Present Value of Interest Payments)

額面$1000、償還期限10年、表面利率年6%の社債を発行したとする。
金利の支払いは年1回、実行利率9%とすると社債の発行価格はいくらとなるか。
→①10年後に$1000を受領できるという金融商品
→実効金利9%の元で現在価値に割り引くと、Present value of 1 の表から0.42241と読み取れる
 ②毎年末に$60の利息を10年間受領できるという金融商品
→実効金利9%の元で現在価値に割り引くと、Present value of an ordinary annuity of 1の表から6.41766と読み取れる

よって社債の発行価格は①0.42241×$1000+6.41766×$60=$807となる

〇社債発行時の会計処理
→<原則>
 Dr)Cash   XXX
       Cr)Bonds payable   XXX

 <プレミアム発行>
 Dr)Cash   XXX
      Cr)Bonds payable   XXX
           Premium on bonds payable   XXX
 
 <ディスカウント発行>
   Dr)Cash   XXX
       Discount on bonds payable   XXX
      Cr)Bonds payable   XXX

〇実効金利法(Effective Interest Method)
→社債の支払利息の会計処理は、実際に金利の支払いとして支出した金額でなく、発生主義会計(accrual accounting)の考え方に基づいて計算する方法のこと。

支払利息の計算方法
Carrying amount of bonds ×Effective interest rate

〇利払い日の間で発行された場合の考え方
→社債の利払いは通常年2回行われるが、発行は利払い部に合わせて行われるとは限らない。2回ある利払い日の間で社債が発行された場合は初回の利払い日に払う金利を日数按分しなければいけない。
そこで、社債の発行時に端数分の金額を社債購入者から預かり、初回利払い日には発行時期に関わらず6か月分の金利を支払う会計処理を行う。

例えば、利息支払い日が4月1日と10月1日で、6月1日に社債を発行したとすると、12月31日の期末に利息を費用計上するときには、6月から12月までの7か月間の利息を計上する。

〇プレミアム発行とディスカウント発行の比較
→ディスカウント発行すると、会社としては社債保持者に現金支払いよりも多い費用を計上する必要がある。
逆にプレミアム発行の場合は、会社としては社債保持者に現金支払いよりも少ない費用で済む。

償却額に関しては通常の発行に比べてどちらの場合も償却額は増加する。

○社債発行費(bonds issue cost)
→社債発行時にかかる諸コストのこと

ex)・社債券印刷時の型代(engraving cost)及び印刷代(printing cost)
  ・弁護士及び会計士への報酬(legal and accounting fees)
  ・引受証券会社への手数料(commission)
  ・社債募集のための広告費等(promotion cost)

社債発行費は貸借対照表上、社債の額面金額から控除して表示される。
また、社債発行費は実効金利法により償却し、償却額は社債発行差金の償却額と同様に支払利息の構成要素となる。

○社債発行費の会計処理
→貸借対照表上で社債の額面価額から直接控除される。また、実効金利法(effective interest method)により償却し、支払利息(interest expence)として計上される。

○減債基金(Bond Sinking Fund)
→社債の発行会社が社債の償還に備えて積み立てた基金のこと。
通常は有価証券等により運用が行われる。

有価証券による配当収益は基金を増やすため、配当収益が基金の残高に無関係とはいえない。

減債基金は非流動資産として分類される。

また、減債基金に関する表示として「向こう5年間の各年における償却金額」と「減債基金の必要金額」の合計で表される。

○社債の早期償還
→社債の発行会社は当初の償還期日を待たずに返済を行う場合がある。
そしてその早期償還によって発生した利得(gain)や損失(loss)は通常の利得または損失であり、その他の収益及び利得(other revenues and gains)項目、又はその他の費用及び損失(expenese and losses)項目として処理される。
仕訳は以下の通りである。

Dr)Bonds payable XXX
  Premium on bonds payable XXX
    Cr)Cash XXX
      Gain on redemption of bonds XXX



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