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【映画レビュー】プーと大人になった僕

こんにちは。マヒロです。
3/31に久し振りに金曜ロードショーを見ました。
金曜ロードショーを見るのは何年振りだろう……
ディズニー映画も久し振りです。

今作は「くまのプーさん」を原作にしています。
くまのプーさんはクリストファー・ロビンと一緒に住んでいるの?
スヌーピーとチャーリー・ブラウンと同じような関係性?
原作自体を知らず、「プーさんはハチミツが好き」というくらいしか分かっていない私なのですが、果たして楽しむことは出来るのでしょうか……

2018年 アメリカ 104分
監督 マーク・フォスター
出演 ユアン・マクレガー


あらすじ


クリストファー・ロビンは寄宿舎へ入る為、100エーカーの森の仲間たちとお別れをします。
100エーカーの森の仲間たちは「お別れ会」を開いてくれました。

私の知っているプーさんとなんか違う……

「何にもしないって答えるんだ」
クリストファー・ロビンはそう言ってプーと別れます。
「何もしない」って素晴らしいな。
冒頭でドキっとさせられてしまいました。

私の知っているプーさんとクリストファー・ロビン

寄宿舎に行ったクリストファー・ロビンは、そのうち学校を卒業して大人になり、恋をして、結婚をし、娘が産まれ、戦争にいき、戦争から戻った後は仕事で忙しく……
「何もしないって言うんだ」と言っていたクリストファー・ロビンは仕事をバリバリするようになっています。

自分の故郷に妻と娘と帰る約束をしていても、急な仕事が入ってしまい行けなくなってしまいます。
クリストファー・ロビンはがっかりしている娘に言います。
「夢はただでは手に入らないんだよ」

妻と娘がクリストファー・ロビンの故郷へ戻り、ロンドンに1人いるクリストファー・ロビンの元へ、あのくまのプーがやって来ました。
「クリストファー・ロビン。仲間がみんないなくなちゃったんだよ」

クリストファー・ロビン役を演じたユアン・マクレガー

「くまのプーさん」の背景を分からない方も


1926年に発行された児童書「くまのプーさん」
97年も前に発行された本ですね。
クリストファー・ロビンは著者のA・A・ミルンの息子をモデルにしているんですって。
しっかり者のクリストファー・ロビンは100エーカーの森の仲間たちからも慕われている存在なんですね。


100エーカーの森の仲間たち

主人公の「くまのプーさん」
のんびり穏やかな性格です。癒やされます。やる気ないです。
スヌーピーとの違いは小屋ではない「きちんとした自宅」があることです。

「子豚のピグレット」
くまのプーさんの親友です。
体が小さいことで自信がないです。
ツムツムで上手に使いこなせません。

「虎のティガ」
いつも元気いっぱい飛び跳ねる明るい性格。
ムードメーカーのような立ち位置なんでしょうね。

「ロバのイーヨ」
とにかく悲観的。
こんなキャラが1人くらいいてもいいと思いませんか?

クリストファー・ロビンが子どもの時の話を知らないのですが、きっと100エーカーの森の仲間たちと楽しい日々を送っていたのでしょうね。

くまのプーさんの背景が分からなくても十分に楽しめる作品です。

「大人になる」ということ


大人になったクリストファー・ロビンは娘にも厳しいし、久しぶりに会ったプーにも冷たい。
いつも仕事のことで頭がパンパンです。
「クリストファー・ロビン、ちょっと嫌な奴だな」
そんなことを思った瞬間、はっとしました。
「私もクリストファー・ロビンみたいになってるな」
そしてまた、すぐにこんなことが頭を過ります。
「仕方ない」

以前、知人に「人新世の資本論」という本を薦められて読んだことがあることを思い出しました。


今、この世は資本主義の末端で、本来「需要があるから供給するもの」も、「供給する為に需要を作らないと生きていけない」世の中になってしまっている部分があるのではないかなと思います。
無料のゲームに出てくるCMとか需要ないですよね?
求めている人ってあまりいないのではないかなと思います。
もう「求めているから供給する為に労働する」のではなく、「生活していく為には労働しないといけないから需要を作る」時代になっている所があるのではないのかなと思うんです。
自分で自分の仕事を無駄に増やしている。

自分がやっていることは、果たして本当にそこまで時間をさくだけの価値が自分にとってあるのだろうか?
数年前、職場のチームが私1人しかいなかったことがあります。
その時の私は「私が頑張らなければ」という思いで朝から遅い時間まで仕事をしていました。
「早く新しい人、入ってこないかな。それまでの辛抱だ」と思っていましたが、1人になってから2年、新しい人は入って来ませんでした。
本当は誰かに手伝ってもらいたかった自分がいます。でも、みんなが忙しく仕事をしている中でそんなこと言えないと思っていました。
今思うと、1人でこなせなかった仕事を上司に返して定時にとっとと帰っていれば良かったなと思います。
こなしてしまうと相手はそんなことは口には出して言ってきたりはしませんが、潜在的に「1人でも出来るんだ」と思ってしまうんですよね。
クリストファー・ロビンみたいに、みんな忙しいんです。自分のことでいっぱいいっぱいなんです。
だから手間が掛からない人のことよりも手間の掛かる人や手間の掛かることの方を優先的に着手する。
頑張っていない人より、頑張っている人の所に仕事が回ってくる。

職場を辞めた先輩と食事を取っていた時、こんなことを言われたことがあります。
「辞めて困る人材なんてほどんどいない。私が仕事辞めた後も仕事回ってるでしょ? あなたが辞めても仕事は回る」

「自分がやらなきゃ」と囚われていた部分が大きかったです。
頑張らないと取り残される、見捨てられる…… そんな脅迫観念的な部分もありました。
そして何より、「やらないと」と思ってしまっていました。
昼食を食べないで仕事して、休日も仕事のことで頭がいっぱいにならなくても、もっと楽しく仕事出来たはずだなと、そんなことを思い出しながらこの映画を見ました。

自分がやらなければと思っていたり、頑張らなきゃと思っていることを整理したら、今よりも楽になれる部分ってあるかもしれませんね。
日本人は「楽=悪」と捉えてしまうような所がありますが、楽して良いんだなと思わせてくれた作品でした。

可愛い100エーカーの森の仲間たちに教えてもらえた気がします。


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