くま機士

『真っ直ぐに生きる誰かの幸せの為に生きていく』 そう心に決め、毎日変わりゆく日々を生き…

くま機士

『真っ直ぐに生きる誰かの幸せの為に生きていく』 そう心に決め、毎日変わりゆく日々を生きている、 かつての恋人に「夢見過ぎ」と嘲笑された三十路のおっさんです。 何時死ぬかわからない。だから、自分が心に描いた世界を何らかの形でも いいから残したい、その思いで小説を記します。

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  • 万華鏡 第一曲『常世の理想郷』

    生命育む蒼い星、【ヤチマタ】。  人間が世界に君臨し、『人(ひと)』が生きる。   支配者は飢え渇く欲望を求める。争いは絶えず、男達が願った世界は具現化し、『女性』を至上と崇め、歯車を回し続ける。  望みし現を認められぬ男達は、平和と調和を願う声を掻き消し、己の性の至上を謳う。  望まれた現に生きる女達は、支配と平和を求む声に応じ、己の正しさを高らかに謳う。  人の心は荒み、人間の心は廃れながらも舞い踊る。  嘆く声も踏み躙(にじ)り、真っ直ぐな生き方は挫かれる。  歩む未来は希望なのか、絶望か。 『真紀2710年6月末』。海に囲まれた龍の如き地形である島国である雅楽。  ―――星の夫婦を前にして、心を沼地に沈める者へ、証無きシルベが囁ける。  『東北領:平舞』。そのとある深き山中に煌めく湖、湖上に建立されたる社、名を『星渡』。  その鳥居の先には、【異世界】が存在すると……。

最近の記事

御挨拶とお詫び、並びに御報告

 はじめまして。  『くま機士』と申します。  この度、【note】様にて活動させていただいてから早六日。  未だに初心者らしく勝手もわからぬままに、自分の描く世界の一部を 如何にかこうにか小説として投稿させていただいておりますが、 このような駄文をお読みくださっている、もしくは目を止めてくださる 方々には本当に感謝の念しかありません。  改めてですが、この場をお借りして感謝申し上げます。私の作品を目に止めてくださり、誠にありがとう御座います。  さて、私の描いている物語もい

    • 万華鏡 第一曲『常世の理想郷』6

       如何して私の両親が殺められなければならなかったのか。  世が終戦を迎えた中、同じ疑問が浮かんでは消えていく。事実が合っても答えが有るのか無いのかは定かではなく、胸の内では誰にも聞こえない自問自答を繰り返す。 「争い合うのも生命だ。だからこそ……時にぶつかり合ってでも、過ちを正し、共に手を携え生きていける未来があると信じて、神様に仕え、願い祈るんだ」  昔から父は気恥ずかしそうにしながらも、自信を持ってそう言っていた。そんな父を母も慕い愛し、少し喧嘩はしても同じ未来を目指して

      • 万華鏡 第一曲『常世の理想郷』5

        渡り橋  何の音も無い。あたかも最初から何も無かったのかのように周囲の総てが黒一色となり、先程まで心地の良かった笛の音すらもまやかしだったかの如く途切れ、辺りは無音から訪れるしじまに包まれる。  自らが平面上の床に立っている感触は靴裏から伝わっているものの、それが床なのか地面なのかもわからない。つい今し方まで其処に在った桟橋も、踏み出した一歩の先に広がる境内の神域さえも、自らの身体が果たして直立しているのかさえも曖昧になる程に、ただ光の無い無音が続く。黒に塗り潰された空間が

        • 万華鏡 第一曲『常世の理想郷』4

          参道 ―――夕焼けに蒼い月が顔を覗かせる頃。見上げる狭間の空は茜色へと落ち、うっすらと見える白い雲はその姿をより儚げに薄めている。  視線を落とせば周囲は黒々とした森に包まれ、鬱蒼とした木々の所為か普段から落ち着いているであろう空間は木漏れ日が差し込む深い陰に覆われ、神秘的な静寂の傍らに、不安を煽るような不穏さを俄(にわ)かに醸し出している。  聞こえる音とすれば自らが歩みを進める足音と、時より斜面を登る道すがら掻き分ける草木の声だけ。何処かの枝で羽を休めているかもしれない

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        • 万華鏡 第一曲『常世の理想郷』
          5本

        記事

          万華鏡 第一曲『常世の理想郷』3

          渦巻く情勢 【多発する失踪者】  昨日、雅楽国内において失踪者が相次いでいる事実が、雅楽警察庁より公式に発表された。  調べによると、初の失踪者が確認されたのは真紀2710年6月26日。『南西領:神楽』、『中央領:大和歌』からそれぞれ人間の女男四名、『東北領:平舞』から獣人族の男性一名、計五名が行方不明である事が、失踪者らの勤務先や家族からの連絡を受けて確認されたという。  失踪者は何れも自宅にGPS機能を有する携帯端末を置いたままにしており、争った形跡や、各所に設置さ

          万華鏡 第一曲『常世の理想郷』3

          万華鏡 第一曲『常世の理想郷』2

          星に住まう生命

          万華鏡 第一曲『常世の理想郷』2

          万華鏡 第一曲『常世の理想郷』

          崩壊  星月夜は沈み行き、煌きの空は赤と蒼が交わる色へと移ろう。  風は時に荒く、時に穏やかな滄(あお)い生命の揺籠の上を滑り、冷たさを帯びた確かな時の訪れを伝える。鳥の声は聞こえない……。  昇る旭日の光が遥か果てから顔を出し始める中、満ち引きを繰り返す流れは土の壁に幾度もぶつかり、清らかな飛沫を繰り返し舞い上げている。  緑に覆われた大地の上には土が剥き出しのもの、人工的に舗装されたものが入り交じり、それら幾つもの道が背の高い建造物へと集まり再び広がりゆく。  鋼と植物

          万華鏡 第一曲『常世の理想郷』