見出し画像

日本語における性差について

大好きなNetflixオリジナルドラマ"sex education"のシーズン3を見て思ったこと。

それは、日本語における(とりわけ作品上での登場人物の台詞において)性差がものすごく激しいということ。

このドラマでは、シーズン3でノンバイナリーのキャラが登場する。

ノンバイナリーとは、自分の性別を定義しないということであり
英語における代名詞はshe/herでもhe/himでもなくthey/themとなる。

そのキャラの台詞の日本語字幕をみて、日本語において、性差=「女性言葉と男性言葉の違い」がこんなにもあるのかと、初めて実感した。

例えば 
Yes. を
「そうなの」と訳すのと
「そうだ」と訳すのでは、全く印象が異なる。

一般には、前者が女性言葉、後者が男性言葉として使われることが多いだろう。

これが、ノンバイナリーの台詞の場合、
「そう」とか「うん」
と訳すのがよいだろうか。


こう書くと単純なことのように思えるかもしれないけど、わたしがこのドラマをみていてすごく違和感を抱いたのは、
女性のキャラクターの台詞に対してはいわゆる女性言葉を使っていて
男性のキャラクターの台詞に対してはいわゆる男性言葉を使っていて
ノンバイナリーのキャラクターの台詞に対しては、無理やり中性的な言葉を使おうとしていたり、やや男性よりの言葉になっていたり、なんというか、すごく「定まっていない」感じがあったからだと思う。

普段日本語を話しているうえではそこまで性差を感じることはないが、
ドラマや映画、小説など作品においては顕著に性差がでる。

これは、さまざまなボーダーを取り除き多様性を良しとする今の風潮においては、とても根深く難しい問題なのでは…?
と、ひとりでハッとしてしまった。

それから、theyという代名詞の訳しづらさについても考えないといけない。

このドラマにおいては「その人」とか「この人」と訳されていたけど
なんだかちょっと失礼な呼び方な気がするのはわたしだけだろうか?

実際に喋るときは、名前を呼べば済む話だけれど、
字幕においては一定時間あたりに使える文字の量についてなどさまざまな規定があるらしいので、毎回theyをそのキャラの名前に訳すこともできないのだと思う。

この点、ひとの名前を呼ぶときに代名詞を使わず直接名前を呼ぶ文化の日本はすごくいい。名前を呼べばいいだけだから。

そして、言語間でそのような違いがあることこそ、翻訳の難しいところでもある。


いろいろまとまりなく綴ってしまったが、今後、どうなっていくのだろうか。
性別関係なく、ニュートラルな言葉を使おう、という動きになっていくのだろうか…

いや、言葉って、言語って、そんな単純なものではない。

もしわたしが翻訳家だったら、どうするだろう…

まだまだ答えは出そうにない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?