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【簡単あらすじ】小説の神様(微ネタバレ)【相沢沙呼/講談社タイガ】

「小説がーー、人の心など動かすものか」

学生時代に小説家デビューをした・千谷一也。

親も小説家であり、本人も今まで数作を発表・発売しているものの、それほど部数は売れず、書店店頭に作品が置いていることが少ない。

さらにはレビューサイトで酷評されており、新作を書こうとする意欲を無くしてしまうほど、心が折れかかっている状態である。

そんな時、ある担当編集者から、「作品プロットが秀逸だ」という他の作家とチームを組み小説を書くことを提案される。

その作家とは、美少女作家としてデビューしていた同級生・小余綾詩凪だった。



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『はじめに』
今年は暖冬と言われていますが、突然雪が降ったりポカポカ陽気になったりと、体調を崩しやすい日が続いております。しかし、部屋で読書に勤しむことはそういった外の気候が全く関係ありませんので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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私からすると、他人に影響を与えることが出来る文章を作ることが出来る、ということだけで作家さんについては尊敬の対象になるのですが、

主人公・千谷一也は、本が売れない・レビューサイトは酷評の嵐。
という状況から、もう作品は書かないと友人に話してしまうほど心が折れかかっています。

しかし、同じ高校へ、何を書いたって売れる「美少女作家」・小余綾詩凪が転校してきて、さらに、自分を高く評価する編集者から、小余綾とチームを組み小説を書いてはどうかと提案されたところから、千谷がどんどん変化していきます。

物語を「幸せそうに・嬉しそうに・愛情をもって」語る小余綾と、小説は「売れるかどうか」ということだけに価値を置いている千谷は、当たり前ですが、様々なところで衝突します。

しかし、小説を書くことに前向きで、

そんなふうに汚い言葉を使って、作品や作者を貶めて嗤うような、そんな感性を持った人たちに向けて、小説を書いているわけじゃないでしょう?

P257ℓ4~

など、千谷が前向きになれない理由を少しずつ壊していく小余綾とチームを組むことで、少しずつ千谷にも変化が現れ、昔を思い出すことが増えてきます。

ただ、そんな小余綾にも、千谷と同じ高校に転校してきたこと・千谷とチームを組んで作品を作ることになった理由があり…

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恐らく、主人公・千谷一也に全面的に感情移入を出来る人は、多くはないと思います。

ですので本作品は、様々な感情に揺さぶられながら読み進めることになると思います。

多くの小説家の悩みの一端を知ることが出来る側面もあり、私はとても満足した読了感を得られました。

気分が乗るまで待つことは、誰にでもできる。
けれど、気分が乗らなくても書くということは。
それは、小説家にしかできないことなのだから。

P88ℓ11~

この文章だけでも、私が小説家を尊敬する理由が全て表現されています。

小説を書きたい方・小説レビューを書いている方にも読んで欲しい作品です。
私も、レビューを書く際に、もっともっと熱を入れ込んだ内容を書こうと思います。

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