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【簡単あらすじ】志摩半島殺人事件(微ネタバレ)【内田康夫/光文社文庫】

風光明媚で真珠の養殖で知られる志摩半島の英虞湾に、作家の袴田が他殺死体で浮かんだ。
刑務所体験を書いた小説で人気を得ていた袴田は、なぜ殺されなければならなかったのか。

ルポライター兼名探偵・浅見光彦が事件の真相に迫る。



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『はじめに』
季節が変わり、読書の秋ではないですが、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいた本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたいのですが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』がありますので、その点にご注意ください。

浅見光彦シリーズは、私が学生の頃の二時間ドラマで頻繁に放送されていたうえ(たしか主人公は中村俊介さんや沢村一樹さんだったような…)、近年お亡くなりになられた内田康夫さんの作品であり、気になっていたので、ブックカフェで一気読みをしました。

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主人公の浅見光彦は、警察庁刑事局長を兄に持つルポライター兼探偵。基本的には、旅雑誌へ原稿を寄せている。ただ、ルポの取材先などで事件に巻き込まれることが多く(もしくは自身から首を突っ込んでしまい)、今回も、自身が行ったある海女さんの取材記事が元(と思われる)で殺人事件が発生します。

自身が取材した海女さんから、「あなたの取材のせいで生活がおかしくなってしまった」という恨み言を含んだ手紙を受け取り、また、発生した殺人事件に対しての好奇心を抑えることが出来ず、事件を解決しようと動き始めます。

主人公の浅見は、登場人物が語る昔の出来事に対して、その人達が驚くようなレベルで感情移入してしまうような感受性の豊かさや、地元の警察の対応の酷さから、損得を考えずにケンカを売るようなやり取りを行うなど、とても人間臭いキャラになっています。

こういった探偵が好きな方は多いと思います。

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私としては、ある登場人物の

「ちっぽけな幸福を脅かそうとする者は、死を覚悟しても良いのです」


という言葉がとても印象に残りました。

ある一面では正しいと思いますが、それを大っぴらに認めてしまうと、法治国家では無くなってしまいますし…

果たして、今回の浅見の事件への関与の仕方は良かった(正しかった)のか…

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私はこういうまとめ方も嫌いでは無いのですが、終わり方に賛否両論がありそうな感じの作品でした。

謎を追いながら全国各地の観光名所等を転々とし、事件を解決するという、昔ながらのミステリー作品という感じで、事件に関わってくる英虞湾を中心とした志摩半島や海女さん、大船渡の情景など文字でもきれいなイメージが湧きましたので、映像化されたドラマを観ると、また違った印象の作品になると思います。



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