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【小説レビュー】完全犯罪はお静かに(微ネタバレ)【日本推理作家協会編/講談社文庫】

日本推理作家協会が編集した、十一編の短編物語。

『はじめに』
季節が変わり、読書の秋ではないですが、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいた本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたいのですが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』がありますので、その点にご注意ください。

今作品は、「1995年発行」と、今から約三十年ほど前の作品集なので、「中年~熟年の男女の恋愛」や「バブル期前後の日本」をテーマにしている作品が多く、内容が合わない方も多いかもしれません。

しかし、

1.真面目な夫・息子との生活や、平凡な長年の結婚生活に飽きている女性が、息抜きに旅に出たために起こる出来事を描いた、
小池真理子さん/老後の楽しみ

2.教え子と教え子の夫、教え子の警察官の三方?からの手紙を元に、車椅子生活で現場に行くことも当事者に聞き取りすることも出来ない元教師が、真実と嘘を的確に見抜き事件を解決し未然に防いだ、という安楽椅子探偵作品の、
井上夢人さん/書かれなかった手紙

3.今の日本では考えられないことが、犯人の動機となっている
本岡類さん/傘がない

の三編については、今でも充分に楽しむことが出来ました。

また、その他にも、
宮部みゆきさんの若かりし頃の作品や、
数年前に引退してしまいましたが、稀勢の里を「キセノン」と命名した、乃南アサさんの作品もあります。

今のミステリ作品とはちょっと違った作風を楽しみ、書かれた時代を思い浮かべながら読んでみるのは如何でしょうか。


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