見出し画像

所有の隠れコスト。

テレビ、洗濯機、エアコン、冷蔵庫の最後。

 これら4品目は家電リサイクル法に則り、自治体で粗大ごみとして出すことは出来ず、リサイクル料金を支払い回収して貰うことになっている。つまり、手放す最後にコストが発生するのである。本記事ではこれをファイナルコストと称することにする。

 一般的には、
ライフサイクルコスト=イニシャルコスト+ランニングコスト
 上記のようにイメージされるが、廃棄に費用が発生する上記4品目に関しては、
ライフサイクルコスト=イニシャルコスト+ランニングコスト+ファイナルコスト となる。

テレビの必要性を考える。

 私は、テレビを時間とNHK代を奪われる道具と思っているため所有していない。MacBookでAmazon PrimeビデオとYouTube、TVerが観られれば十分だし、仮にテレビがどうしても観たくなっても、銭湯の休憩所で観ればその欲求は満たせるだろう。

洗濯機の場合。

 洗濯機は一応、安物を購入して使用しているが、地方移住の際のリサイクル費用を考えた際に、ファイナルコストを負担する必要がなく、かつコインランドリーより安価で労力少なめな洗濯手段がないかと、洗濯機は必需品という常識を疑うようになった。

 レンタルサービスを利用するのも一つの手段ではあるものの、大学で取り敢えず4年間だけ転居する。単身赴任でY年だけ滞在する。などと、タイムリミットが明確に決まっている場合を除き料金面で旨味がない。故に一般論では最後に処分せずに済むメリットよりも、トータルコストの方が高く付くため、使い勝手が悪いのが正直なところだろう。

 そこで思いついたのが、超音波洗浄機と手動脱水機の組み合わせである。超音波洗浄機は旅行でも利用可能で、宿泊先の洗面台に水を張れば、1日分の衣類位は洗濯可能である。

 かつて1週間単位で旅行を行った際に、着替えは2着だけで、宿泊先で手洗い+備え付けのバスタオルで脱水と手間を掛けて洗った経験から、超音波洗浄機で洗濯そのものは代替できると考えている。

 耐久性が不明ではあるものの、これなら電気小物として処分できるため、ファイナルコストが発生しない分、多少強度が心許なくても洗濯機と収支トントン位なのではないかと期待している。地方移住を機に

 問題となるのは脱水で、手ぬぐい愛好家として、大量のバスタオルを用意するのも邪道な感じがして気乗りせず、動力を持たない専用のアイテムがあれば、不燃ごみだか粗大ごみで処分できると思い探す運びとなった。

 とはいえ、野菜の水切りで使うような手回しハンドルでは、人力で到達できる回転数に限界があるため、出来れば舞錐式火起こしのような、紐やロープを用いて回転数を稼ぐ仕組みの物が脱水に適していると推察し、たどり着いたのがサンコーの「ミズキリスピナー」である。

 メーカーが秋葉原のおもしろグッズ屋さんではあるものの、かつてハンディ炊飯器を利用した実績があるため、買ってすぐに壊れるほどヤワではないと期待している。ここまでするのがアホくさいと思う方は脱水する必要がない、速乾性の衣類を揃えるか、素直に洗濯機を利用した方が幸せだと思う。

エアコンの場合。

 エアコンに関しては生命の危機に関わるため、生活必需品のような感じもするし、1994年に埼玉県桶川市で発生したクーラー事件を発端に、生活保護受給者であってもエアコンの購入が認められるようになったことも、なおさら必需品感を増している要因になっている。

 しかし、考え方によっては自室にエアコンがなくても、外出先なら涼めるのではないだろうか。都市部であれば日中は図書館などの公共施設や、低コストで時間を潰せる銭湯や喫茶店、休憩スペースのある大型商業施設に入り浸たることで、暑さが厳しい日中時間帯に冷房設備のある場所で過ごすことは可能である。

 本業が鉄道員のため、積極的には勧めたくない立場ではあるし、平日は朝夕のラッシュ時間帯に巻き込まれる可能性があるものの、首都圏や関西圏在住であればJRの大都市近郊区間の特例をフル活用して、初乗り運賃程度で大回り乗車を行い、時間を潰すことも可能である。

 1日150円としても、ひと月4,500円と銭湯や喫茶店に通うよりもコスパが高いのが憎い。これは制度の抜け穴を利用しているため、エリアや一筆書きを逸脱しなければ不正乗車にはあたらない。

冷蔵庫の場合。

 冷蔵庫は缶ビールを冷やす用途で、容量6Lのポータブル冷温庫を保有しているが、基本的に夏場以外出番がなく、シーズン中であっても常時稼働することはない。

 一応、450mlのiwakiの耐熱ガラス容器角型Sが4つ入れられるため、その量の範囲でしか手料理は保存せず、それも食中毒の懸念がある夏場に作りすぎてしまった場合に限った話で、基本的には購入した食材のうち、常温保存ができないものは当日中、夏場に関しては1食で使い切り、持ち越さない方針のため、先のような体裁となっている。

 ポータブル冷温庫は転居する際に、捨てる選択肢が脳裏によぎったものの、いざ調べてみると、世間一般の冷蔵庫と同額のリサイクル料金を取られることが発覚したため、壊れて冷やせなくなるまでは持ち運んで使い潰す路線で確定である。

 1万円しないで買えることや、車のシガーソケットでも使用できるため、昨今のアウトドアブームから、後先考えずに購入すると処分時に、1万円しない冷温庫に3,000円超のリサイクル料金が取られるのだから、購入時に処分する時のことまで考えた方が、良い判断ができるのは普遍の真理である。

 しかし、冷蔵庫に関しては過去、ジーアポットに関して徹底的に調べてみたものの、気化熱を利用して冷却する構造上、湿度の高い日本の気候には適さないことが発覚した。

 そのため、冬場は玄関が冷蔵庫代わりになる北海道で暮らすか、コンビニやスーパーを外部冷蔵庫代わりに利用し、夏場は1食、それ以外は1日毎に食材を調達して都度食べきる方針を徹底するかの二択になり、自炊派としてはスーパーで安売りされている時に買い溜めができず、歯がゆい思いをするため一朝一夕には実行できないのが実情である。

まとめ。

 テレビ、洗濯機、エアコン、冷蔵庫は非常に便利であり、我々現代人の生活には必要不可欠であることに異論はないだろう(テレビ除く)。しかし、それを個人が所有するかは別問題だと私は考える。

 これらを所有しない場合、利用する都度対価を支払うことにはなるものの、裏を返せば対価さえ支払えば、自分の好きなタイミングで利用することができる。

 それならば、管理する手間や処分する際の隠れたコストを外部に委託している意味で、所有しない身軽さ、自由を買っていると捉えることができるのではないだろうか。

 企業はできるだけ商品を売るために、ひとり一台所有するように我々を誘導してきた。しかし、インターネットの発達によって、シェアリングエコノミーの概念が発達し、所有する便利さよりも、所有しない便利さに価値を見出す人が、若い世代を中心に少数ながら出てきている。

 いまは共有社会の黎明期のため、多くの方には理解されない側面もあるとは思うが、これが過渡期となり、いずれはパラダイムシフトに繋がるのかも知れない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?