新立憲民主党の衆議院比例ブロック議席獲得予測~参議院選挙の立憲・国民・社民の比例得票数を合算~

 2020年9月15日に、旧立憲民主党と旧国民民主党の大半が合流して、新立憲民主党が誕生しました。さらには、2020年11月14日に社会民主党の臨時党大会が開催され、福島みずほ党首を除く、3人の国会議員は新立憲民主党に合流するようです。また、社民党が比例ブロックで1議席を獲得している九州地域などの地方組織も新立憲民主党に合流する運びのようです。
 これらの動きについて、地方組織を重んずる私の政治評論スタンスからすると、新立憲民主党の対応は党勢拡大の点においては正しく、今回の合流劇は、来たる衆議院選挙における立憲民主党の比例票を増やし、議席獲得数も増えて行くことは間違いないと見ています。半官贔屓の観点から言えば、国民民主党も社民党も一部は残留しているので、党に残った政治家の方々には頑張って欲しい心情もありますが、残念ながら、現実的には大変厳しい党勢にはなるでしょう。次期衆議院選挙における両党の比例議席獲得は、獲れても国民民主党の比例東海ブロックの1議席になるだろうと私は予測します。
 今回の記事は、この新立憲民主党の合流劇が、来たる衆議院選挙において、特に比例ブロックにおける議席獲得の面で、どの程度効果的であるか、2019年の参議院選挙における立憲民主党・国民民主党・社民党の3党の比例票数を足し合わせた場合の比例議席獲得予測を述べて行きます。無論、国民民主党、社民党ともに、一部の組織は残るわけですから、必ずしも全部が全部新立憲民主党に比例票が乗るわけではないとは思います。ただ、今回の記事では、合流に伴う+αの効果も新立憲民主党に加わると考えて、便宜上、国民民主党・社民党の全ての票を合算した場合の各ブロックの比例票数と比例議席数がどのようになるのか、参議院選挙における各党の比例票をベースに述べて行きたいと思います。
 なお、立憲民主党、国民民主党、社民党の比例票を別々にして、議席獲得予測を述べた記事は以下の通りになります。まだコチラの記事をお読みでない方は、是非、合わせてお読み頂けると幸いです。
東日本編→https://note.com/researcherm/n/nae51c0e7668f
西日本編→https://note.com/researcherm/n/nc8e0a8efaa8c
 それでは、まず3党の比例票を合算した場合の各都道府県別の一覧から見て行きましょう。

0.各都道府県別の比例票数~長野県と沖縄県で新立憲民主党が自民党を上回る~

【新立憲】参議院選挙での各都道府県別比例票

 コチラが各都道府県別の各政党の比例票数の一覧です。新立憲民主党を除く、この数値は、総務省のホームページ(https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/sangiin25/index.html)からダウンロードすることが出来ます。参考のために、立憲・国民・社民の各党の票数も右側に掲載しておきました。本題として、実際に見るべきは、自民・新立憲・公明・維新・共産・れいわの6党の比例票数となります。
 立憲民主党単体では800万票弱しかなく、1771万票の自民党にダブルスコア以上の差を付けられていましたが、新立憲民主党となり、国民民主党や社民党の票も合わせると、1244万票と527万票差まで迫って来ました。多くの都道府県では自民党に次ぐ比較第2党となりましたが、何と自民党をも上回る県も出現しました。その県とは長野県と沖縄県になります。国民民主党が12.3万票と強く、ほぼほぼ国民民主党の組織がそのまま新立憲民主党に移行した長野県においては、新立憲民主党は30.9万票と、自民党の29.2万票を上回って来ました。
 沖縄県に関しては、自民党の13.5万票に対して、新立憲民主党は17.5万票と4万票も上回って抜けたトップとなっています。沖縄県においては、元来の立憲民主党はあまり強くはなく、4.2万票と共産党の5.5万票より少なく、3.8万票のれいわ新選組にも肉薄されていたぐらいなのですが、10万票もの票を持つ社民党が、これまたほぼほぼ新立憲民主党に加わることで、比例票17.5万票の巨大第一党が誕生するに至ったわけです。
 以上のように、地方組織がしっかりした国民民主党と社民党の県連が加わったことで、新立憲民主党は組織的に強化されたことになります。
 一方で、3党を合算しても比較第2党になれなかったのが、近畿ブロックの大阪府・兵庫県・和歌山県になります。大阪府や兵庫県では維新が強く、維新は大阪府では比較第1党、兵庫県でも比較第2党となっています。また、大阪府においては、公明党の54.5万票にも及ばず、新立憲民主党となっても44.8万票しかありませんでした。いかに、大阪府では維新の組織が強く、新立憲民主党の組織が弱体化しているかが伺える票数差となっています。また、和歌山県においては公明党が強く6.9万票もあり、新立憲民主党となっても5.4万票と、公明党との差は1.5万票もあります。
 このように、維新にお株を奪われた近畿ブロックでの復権が、今後の新立憲民主党の一つの課題となるでしょう。
 それでは、今回の記事である新立憲民主党の比例議席獲得予測について、北の北海道から順番に見て行きましょう。またあわせて、合流の影響によって、他党の議席にも、どのような変化が見られたかについても言及していきたいと思います。特に、れいわ新選組は、新立憲民主党誕生によって、大きな影響を受けることになりそうです。

1.北海道ブロック~自民党と新立憲民主党の議席が並ぶ~

【新立憲】北海道ブロック(ドント式)

【新立憲】北海道ブロック(議席増減)

 まず最初に、比例定数8議席の北海道ブロックですが、前回は自民党3議席、立憲3議席、公明党1議席、希望の党1議席という結果でした。なので、立憲と希望を足し合わせると現有は4議席になりますが、参議院選挙ベースで3党足し合わせた票数ですと、3議席に留まります。その分、共産党が1議席を奪還する予測となっています。
 ただし、もし3党がバラバラに戦った場合ですと、参議院選挙ベースでは、立憲民主党は2議席しか獲得できず、自民党が4議席目を獲得する見込みでした。なので、合流したことで、自民党から1議席を奪い返した格好にもなります。ボーダーライン上の新立憲民主党の3議席目が22.8万票で、次点の自民党4議席目が19.1万票ですから、3.7万票も差があります。さらにドント式ですので、新立憲民主党の684,714票に対して、自民党が4議席目を取るには、228,238票の4倍の912,952票と、約14.5万票も自民党は上積みで取らないといけないことになるので、4議席目獲得には相当厳しい状況となりました。3党合流の効果によって、自民党の4議席目を阻止することに成功できたのではないかと予測できます。
 むしろ、立憲民主党3議席目獲得のライバルは、鈴木宗男参議院議員率いる日本維新の会(18.4万票)の方になるかもしれません。こちらは、あと4.4万票積めば、比例議席獲得に手が届くことになります。ただ、維新でも厳しいことには変わりはないので、基本的に北海道の比例ブロックの獲得議席の内訳は、自民党3議席、新立憲民主党3議席、公明党1議席、共産党1議席で、十中八九確実な固い予測となります。

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