次期衆議院総選挙における各党の比例ブロックでの獲得議席予測~参議院選挙の比例得票数をベースに・東日本編~

 2017年10月の衆議院選挙から2年以上経ち、解散総選挙の足音が聞こえ始めた今日この頃。巷では今年の秋口には、解散総選挙が行われるのではないかと言われています。そこで、今回は一足早く、衆議院での各政党のブロック別の比例区での獲得議席数を昨年夏の参議院選挙での比例票数をもとに集計してみました。昨年の参議院選挙での比例票数通りに、衆議院選挙でも比例票数が入ったら、各ブロックでの各政党の比例議席数はどうなるかについて見て行くことにします。
 比例票に関しては、大きな揺らぎはなく、大方の議席数は予測が立てられますが、どの政党の何議席目と何議席目が議席獲得のライン上であるかなど、衆議院選挙をよりマニアックに楽しむ上での記事となっています。また、次期衆議院選挙に出馬を予定されている方も、是非この記事を読んで、選挙を戦う上での参考にして頂ければと思います。
 なお、この記事では北海道ブロックから東北、北関東、南関東、東京ブロックまでを考察していますが、北陸信越、東海、近畿、中国、四国、九州の西日本ブロックの方も気になる方は、続編の西日本編もご覧ください。
https://note.com/researcherm/n/nc8e0a8efaa8c
 それでは、まずは各都道府県別の主要8政党の比例票数を見て行くことにしましょう。

0.各都道府県別の比例票数

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 コチラが各都道府県別の各政党の比例票数の一覧です。この数値は、総務省のホームページ
(https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/sangiin25/index.html)
からダウンロードすることが出来ます。
 昨年の参議院選挙では、自民党の比例票数が底堅く、全国2位の立憲民主党に、2.2倍以上もの差を付ける完勝でした。自民党の比例票数は、だいたいどの選挙においても、1700~2000万票の間で安定的に推移しています。なので、比較的予測がしやすい政党だとも言えます。比較第2党の立憲民主党は800万票弱を獲得するも、前回の衆議院選挙からは300万票程度落としてしまいました。西日本では比較第2党の座を公明党に譲る県もチラホラと見て取れます。比較第3党の公明党は、意外と知られていませんが、「東低西高」の政党で、西日本での方が強い政党であったりします。選挙区での自民党の候補者が、東日本よりも西日本の方で勝率が高い理由も、実は公明党の組織力の差がゆえんとなっているのです。選挙分析初心者の方は、是非この点をおさえておきましょう。比較第4党は日本維新の会となりました。本拠地の大阪府では自民党を抑えて、比較第1党となっています。また、隣県の兵庫県や奈良県、あとは滋賀県でも比較第2党になっています。ただ、共産党が比較第2党となっている京都府では、維新は比較第5党まで落ちている点が興味深いところです。
 比較第5党は共産党でした。宿敵の維新には約42万票差となっています。共産党は京都府で強いことは良く知られていますが、大阪府や兵庫県、また高知県や沖縄県では、全国で比較第2党の立憲民主党よりも比例票数を多く獲得していたりします。
 比較第6党は国民民主党で348万票でした。前身の民進党や希望の党と比較して随分と減らしている印象ですが、この票数をブロック比例区で見て行くと、意外と健闘しており、上手く比例票数を各地域で獲得出来ていることが、これからのブロックごとの分析で分かっていきます。その点も注目して、記事をご覧頂けると、より楽しめることかと思います。
 昨年の参議院選挙から新規参戦したれいわ新選組は228万票でした。無事、政党化を達成したので、最低限の目標は達成できましたが、2議席の優遇枠を重度障碍者の候補者の方に割り当てたため、代表の山本太郎参議院議員は、100万票近い個人での獲得票数がありながら、落選となってしまいました。れいわ新選組の衆議院選挙での獲得議席数についても、大変注目度が高いところでしょうから、記事の中で詳しく見て行きたいと思います。
 社民党は辛うじて100万票を獲得して議席と政党要件の延長を確保しました。しかし、衆議院における各ブロックでの議席獲得は、九州ブロック以外では大変厳しいので、本記事では九州ブロック以外では、社民党は割愛させて頂きます。社民党関係者や支持者の方は、申し訳ございません。続編の西日本編では、九州ブロックにおいて、社民党の考察も行っておりますので、よろしければそちらをご覧ください。
https://note.com/researcherm/n/nc8e0a8efaa8c
 それでは、この都道府県ごとの比例票数を踏まえた上で、この比例票数を各ブロックごとに、ドント式で議席を割り振っていくことにします。

1.北海道ブロック

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 比例北海道ブロックは北海道単体のブロックで、定数は8議席となっています。まず初めに、初心者の方向けに、ドント式の議席の割り振りについて、この北海道ブロックを例に説明していこうと思います。ドント式とは、獲得した比例票数から、÷1、2、3、4、5・・・と議席獲得ごとに、比例票数を割っていき、その数値の大きい順番に、各党に議席を割り振っていく方式です。
 この北海道ブロックですと、自民党が767,331票獲得して一番多いので、まず1議席目は自民党に入ります。次の自民党の数値は、この票数を2で割った383,666票となります。この数値よりも立憲民主党が獲得した495,392票の方が大きいですから、2議席目は立憲民主党に入ります。立憲民主党も次の数値は、この票数を2で割った247,696票となります。3番目に大きい数値は、自民党の票数を2で割った383,666票になるので、3議席目はまたも自民党が獲得することになります。自民党の次の数値は獲得票数を3で割った255,777票となります。
 次に4番目に大きい数値は公明党が獲得した277,962票となり、公明党も北海道ブロックで議席獲得となります。5番目の数値は今回北海道で健闘した共産党が獲得した275,126票となります。共産党も北海道ブロックで議席を獲得です。共産党は前回衆議院選挙では北海道ブロックで議席を獲得できませんでしたが、今回の参議院選挙での比例票数をベースにすると、次回の衆議院選挙では比例議席を獲得できる見込みとなります。
 6番目の数値は、先ほど得票総数を3で割った自民党の255,777票となり、自民党が北海道で3議席目の獲得となります。次に自民党は得票総数を4で割った191,833票が議席獲得の数値となります。7番目は先ほど得票総数を2で割った立憲民主党の247,696票となり、立憲民主党は北海道で2議席目の獲得となります。
 ラストの8議席目は、少し票数が下がって、先ほど得票総数を4で割った自民党191,833票が、残っている中で一番大きな数値であったため、実に自民党が北海道で4議席も獲得するに至りました。9番目は日本維新の会が獲得した比例得票総数の184,932票で、宗男パワーは実らず、惜しくも議席獲得はなりませんでした。前回は希望の党として1議席を獲得した国民民主党も、今回の参議院選挙では158,083票と、全体では11番目の数値であったため、議席獲得はなりませんでした。前回は3議席を獲得した立憲民主党も比例得票数を3で割った数値は165,313票で、これは全体の10番目の数値であったため、今回の参議院選挙の票数では3議席目の獲得はなりませんでした。
 その結果、前回の衆議院選挙と比較して、今回の参議院選挙をベースにすると、自民党と共産党が比例議席を増やし、旧民主党勢の立憲民主党と国民民主党が比例議席を減らす格好となりました。
 自民党の4議席目の191,833票を上回るためには、国民民主党は191,833-158,083=33,750票を上積みする必要性があります。立憲民主党の場合は、自民党の4議席目の票数191,833票を3で掛けた575,499票から、立憲民主党が獲得した495,392票を引いた数値80,107票が、3議席目獲得するために必要な上積みすべき票数となります。要は、立憲民主党は575,500票獲得しないと、自民党の4議席目の数値(191,833票)に勝てないというわけです。
 最後に、注目のれいわ新選組を見て行くと、れいわ新選組が獲得した票数の91,481票は全体では23番目の数値でした。8番目の自民党4議席目の191,833票までは、あと100,352票もの上積みが必要です。つまり、参議院選挙の倍以上、10万票強加算しないと、れいわ新選組は北海道では比例議席を獲得することは出来ません。定数が8議席しかない北海道での比例議席獲得は大変厳しいものであると言えるでしょう。
 このように、ドント式の割り振りは、実は比較第一党である大政党(自民党)に結構有利な制度となっています。諸外国では、ドント式の割る数値が、1、2、3、4、5ではなく、1、3、5、7、9と2ずつ割る係数を増やしている国もあるそうです。この係数であれば、第二党以降や小政党でも議席獲得の芽が出て来ることになるのですが、まず日本では、この方式に改定されることはないでしょう。
 以上のように、北海道ブロックでは、ドント式の説明を行いながら、1つ1つの議席獲得の順番も詳細に見て行きました。ただ、他のブロックでも同様に書いていくと、膨大な量の文章になってしまうので、以降のブロックでは要点だけを記述していきたいと思います。

 最後に北海道ブロックのまとめや衆議院選挙に向けた予測です。
・自民党3議席、立憲民主党2議席、公明党1議席は確実。
・共産党の議席奪還も堅そう。
・残りの1議席は自民党の4議席目が優勢。日本維新の会が宗男パワーで逆転なるか?
・前回3議席の立憲民主党は、次は3議席獲得には厳しい情勢。


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