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カフェに夢中なんです☕️

 サウナだと思っていたが、カフェだった。

 タイトルに[カフェ]と言う文字が入っていると無条件にスキがつく。こんな場末のnoteでも例外なくだ。インフルエンサー風のアカウント達が振り回す底引き網に引っかかるのだ。

 おそらく検索欄に[🔍カフェ]とか入力して、出てきた記事のハートボタンをひたすら押しているのだろう。「好きでもねぇならスキなんか押さなきゃいいのに」「時間の無駄じゃん」なんて、素人の私は思ってしまうが、インフルエンサー風にとっては大切な仕事なのだろう。

 [カフェ]と検索して、上からガーーッとスキを振り撒く。微妙に小さいハートボタンを狙い澄ましてタップ。単純そうなイメージとは裏腹に繊細な作業だ、ハートボタンを押し損ねると誤って記事が表示されてしまう。画面が切り替わり、本文が読める体制になってしまう。そんなのは時間のムダ、さっさと次へ行かないと効率が悪い。

 こうしてスキを与えていくと、何人かに1人はハートを返してくれる。相手が多すぎて誰なのかは存じ上げないが、律儀にお礼をしてくれるのだ。義理堅いのだろう、特に興味はないのにスキを押してくれる。スキを1つ押せば1つ返してくれる。2つ押せば2つ。しかもご丁寧に、内容を問わずアカウントの上から順にポチポチと。礼儀正しいなぁ、最近の子はしっかりしているよね。

 こうしてインフルエンサー風の周囲ではスキの輪が広がってゆく。積極的な他者への働きかけにより、相互にポジティブな想いを送り合う。すると何よりも大切な“成果”となるらしい。月間ビュー数〇〇、フォロワー数〇〇突破。何度も発表を繰り返すということは、彼らにとってはとても大切な数字のはず。なんと“行動力”の高い人たちなのだろう!憧れてしまう。私なんかにはとてもできない。

 しかしなぜカフェなんだ?[カフェ]というたった3文字の単語にインフルエンサー風が呼び寄せられるのは間違いない。私が気まぐれに書いたどうでもいいつぶやきにすら[カフェ]ってワードが入ってるだけでフォロワー数1000人規模のアカウントからスキを貰えるので牽引力は明らか。すんげえ吸引!コイの餌ダンゴかよ(笑)


 カフェに夢中なんです


 繰り返すが、なぜカフェなのだろう。

 見かけるとつい行きたくなるのは確かだ。私も都会で休む場所がなくて困っているときに、ドトールとかが目に入ると、救いの神のように思えてくる。特に用もないのに入って無駄に本を広げたくなる(そして頼んだドリンクをすぐ飲み切ってしまい、居座るのが気まずくなって帰る)

 また、カフェを開きたがる人はすごい多い。実際に行動に起こす人は多くは無いかもしれないが、少なくとも「カフェを開くのが夢です」と書く人は相当数いる。

 将来なりたい職業ランキングの上位「ユーチューバー」。この夢は、ある時期を境に突然発生したものだ。意味合いは少し違うが、「カフェの開業」もそれに近い不思議さを持っている。

 おそらくカフェという夢は、10代後半からいきなり生えてくる、もっと細かく言うと大学生の終わりぐらいからのハズ、就活の前後が濃厚。昆虫の化石が3億年前の石灰紀の地層からいきなり出土することと似てる気がする。カフェという夢は、更に古い地層、いわば小中学生の頃には発生せず、人生の中盤の層でいきなり出現するからだ。

 かく言う私もその1人だ。なんでか知らないが、社会人になってから、無性にカフェを開きたい。なぜかって?そりゃあ心当たりはある。たった4文字、現実逃避だ。

 やりたくない仕事にいつも追われていると、自由で楽そうな、そして自分の好きなことをやれていそうなカフェのマスターになる妄想をしてしまうのだ。だが所詮そんなもんは偏見が混入しまくりの妄想に過ぎない。経営を舐めている。カフェ経営が本当に妄想どおりの職業であれば巷にもっと個人カフェが溢れているはずだ、セブンコーヒーやチェーン店なんかに駆逐されていない。

 ……なんて自分の妄想に社会の厳しさと言うカウンターパンチを放っても、まだ楽そうに見えてしまう。自分でもできそうに感じてしまう。料亭やレストランへ弟子入りして何年も修行を積み、一流の料理人になるのは無理そうだが、機械でコーヒーを淹れたり、具材をパンで挟むのは自分でも出来ちゃいそう。何なら今からでも。

 わかっちゃいない。誰でもできると言う事は、いま見下しているアイツでも、バカにしてるコイツでもできるということ。私はそんな誰でもできるサービスに金を払いたくない。それでもカフェのサービスに金を払いたくなるのは、誰でもできる作業でそれ以上の(金を落としたくなる)価値を作り出しているということだ。

 立地なんかは最たるものだろう。座る場所すらない都会の一等地に、歩みを止めてくつろげるカフェがあればそれだけでありがたい。来店する理由となる。しかしそれを実現にするには相当リッチでなくてはならない。(マスター、アイスコーヒー1丁!!)

 何も都会だけの話じゃない。隠れ家系のお店だって、絶妙に隠れ家っぽいところにあるから隠れ家なのだ、喧騒から少し離れた裏路地だったり、すこし郊外だったりね。マジで隠れていたらそれはただの隠れ家だ、誰も来ない。何しろ経営センスが求められる、簡単なことではない。

 そしてそもそもコーヒーを淹れるのは誰でも出来ることではない。練習を重ねれば物理的には可能だとは思うが、豆はどこで仕入れる?機械は?タリーズで買うか?セブンイレブンはあの品質で100円だぜ?

 セブンは強すぎるので除いても、スタバやドトールは競合相手だ。チェーン店の集合知による集客ノウハウやメニュー開発力、そのデポが潰れてもちょっとやそっとじゃ揺るがない資本力。強すぎる、どう戦えばいいんだ?

 もちろん正面から立ち向かう必要はないが、何もしないとお客はそっちを選ぶぜ?マック(マクド)やミスド(ミスド)だって広義にはカフェなのでライバルだ。それにガストみたいな安価なファミレスも安くて早くて強敵、ぺんぺん草も生えない。北畠顕家の軍勢が東北から京都まで略奪しながら爆走したように、日本列島の飲食店はチェーン店に轢き潰されている。もはやペシャンコですわ。

 😭もうムリーーーーー

 うーん、でもまだ捨てきれないんだよなぁ、カフェを経営ながらの悠々自適ライフ。純喫茶『ハイブリッドブラスター』をオープンする日を妄想しちゃうんだよ(まだ言うか)

 おしまい
(妄想の中身はこちらへ)

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