リペアガレージ山下

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リペアガレージの代表エンジニア山下です。主にギターアンプやベースアンプ修理業、ギター関連パーツの通販、リハーサルスタジオなどを営んでおります。

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電子スイッチのススメ

この記事では機械接点スイッチと電子接点ついて、特に電子接点スイッチのメリットやデメリット、設計方法について説明します。 以下写真のような機械接点スイッチはエフェクターを自作したり改造したりするかたには馴染み深いですね。エフェクターの電池交換時にもよく目にするスイッチです。 下図のように配線することでいわゆるトゥルーバイパス配線+LED 表示 ができます。この配線のエフェクターは現在も数多く見ます。スイッチを直感的に配線できるのでエフェクター製作の初心者でも実現しやすい実践

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    • インピーダンスマッチングとスピーカーのインピーダンス(オーム数)

      さて、今回はインピーダンスマッチングを説明します。複数の機器、特にギターアンプとスピーカーを接続する際に必ず注意する概念ですのでしっかり理解しましょう。 インピーダンスマッチングは言葉の意味どおり、ある機器と機器の間を接続する際に不具合がないようとにかくインピーダンスを合わせる作業です。 インピーダンスを合わせると一言で言っても、私の解釈では何となく以下3通りの意味があります。これらは全くの別物ですので混同しないようにしてください。 1. スピーカーアウトに何Ωと表示さ

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      • スプリングリバーブの原理とよくある修理

        今回は昔ながらのギターアンプによく搭載されるスプリングリバーブの簡単な説明と、よく発生する故障および修理方法を紹介します。 スプリングリバーブはその名の通り、細長く柔らかいスプリング(バネ)を物理的に振動させて、その振動をピックアップすることで空間残響音っぽい音を付加させる古典的なリバーブ方式です。 真空管ギターアンプでピチャンピチャンとなる音色が独特ですね。 リバーブに使用するスプリングなどのシステム一式をリバーブユニットと言います。リバーブユニットは電気、磁気的にシ

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        • アンプのヒューズが切れたら(真空管アンプ編)

          今回は、私が実際行う、修理屋さんの作業の一部を説明します。ヒューズが切れて機器が停止した場合の修理です。 このような認識、経験のない方が多いかと思いますが、アンプは使用しているといずれ内部部品が故障します。 その内部部品、故障時に起こる現象は様々です。これが、発煙、発火などの危険を引き起こす可能性があります。 この危険を回避するために、ヒューズがあります。ヒューズは機器の異常により大きな電流が機器に供給されようとしたとき、ヒューズ自身が切れることで機能を安全に停止します

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        電子スイッチのススメ

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        • ギターがらみのアナログ回路理論
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          ハイインピーダンスは実際何Ωか? バッファーって何?

          さて、今回はこれまでお話しした内容を踏まえ、「ハイインピーダンス」「バッファー」について説明いたします。おそらく多くのギタリストの皆様が曖昧に認識しているため、きちんと知りたい話の一つではないかと思います。 まず "インピーダンス" は何度か説明していますので、これまで記事を読んでいただいた皆様でしたら、もう取り扱いに慣れてきているかと思います。抵抗の場合は抵抗値、コイルやコンデンサーの場合は"周波数によって変わる抵抗値のようなもの"です。 私たちは、エレキギター〜エフェ

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          プリアンプを作ってみる2

          さてお待たせいたしました。前回の続きです。相変わらずの寄り道っぷりで当初の予定よりだいぶ長文になってしまいました。 今度はついに信号ラインの設計です。まず図の「入力段」の設計に入りましょう。いきなりですが、以下の回路で構成することにしました。 まずそれぞれの素子の役割ですが、ざっくり以下の働きをしています。 R1:これはのちほど説明します。 R4: 入力された交流信号に信号に直流バイアスを与えます。 C3: R2で与えられた直流バイアスをカットします。 C4:信号の

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          プリアンプを作ってみる2

          プリアンプ回路をつくってみる1

          しばらく、間があいてしまいましたが note 更新です。読者の皆様お待ちいただきありがとうございます。 今回は実際にこれまで解説してきた記事+αの内容で実用的なプリアンプをつくってみようかと思います。電子回路はあれこれ読んで覚えるのもいいのですが、実際作ってみて、なんかうまくいかなくて、うまくいかない原因を追求して、解決するってサイクルが一番効率よくノウハウを身につけられるかと個人的には思います。関係ないですが、これは私がたまに学んでいるソフトウェアプログラミングも同じです

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          ハムバッカーは 500kΩ、シングルは 250kΩの謎

          今回の記事も「コンデンサ」や「POT」を高級品に変えて音の違いを楽しむ皆様にとっては不愉快な話かもしれません。これは先にお断りしておきます。 エレキギターのパッシブ回路を配線した経験のあるかたはご存じと思いますが、VOLUME や TONE をコントロールする ポットの定数が ハムバッカー 500kΩ、シングルコイルは 250kΩという暗黙のルールがあります。TONE 回路のコンデンサの定数も 0.025μF (多くは0.022μF で近似) と 0.050μF(多くは0

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          シールドケーブルでなぜギターアンプの出音が変わるのか?LC直列共振現象!

          今回の記事は興味深いかたが多いかと思います。ずっと昔からギタリストの間で議論され続けて一方に結論の出ない「シールドケーブル」論です。私も10年ほど前にシールドケーブルの測定データを公表し、少しだけ波紋を呼んだこともありました。結構多くの方に見ていただいていたようです。 今回の記事は、シールドケーブルによる音色の変化に興味惹かれ、あれこれ試して違いを楽しんだり、こだわりのシールドケーブルをお持ちの皆様にとっては、不愉快な思いをする結論に至る可能性がございます。ここは責任は持ち

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          パワートランス、ダイオード、コンデンサで作る昔ながらの電源回路

          さて、今回は表題のとおり、パワートランス、ダイオード、コンデンサで作る昔ながらの電源回路について解説します。最近は小型で大容量、とても便利なスイッチング電源が多くなり、世の中ではもはや絶滅しそうな技術ですが、ギターアンプやエフェクターの世界ではきっとまだまだ使われる技術ですのでその概念を覚えてしまいましょう。 ほとんどの真空管ギターアンプでは未だにここで説明するような形式の回路が使われています。回路のどこかで故障が起きた時にこの電源回路に影響が出ることが多いため、アンプのメ

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          オペアンプ回路設計の基礎と選びかた

          今回は オペアンプ という IC (集積回路)についての説明と簡単な使用例として反転増幅回路、非反転増幅回路を紹介します。最後に、オペアンプの選びかたを説明します。 私は高専の出身なのですが、高専の電子工学科では「オペアンプ」の授業と実習がありました。実際、私が自分で回路を作り始めたのはトランジスタでも真空管でもなくこの「オペアンプ」を使った設計が最初です。 オペアンプは原理がよくわからずともパズルを作るように回路設計が簡単で、誰でも同じ回路を設計できるため回路設計初心者

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          音色を決定づける「周波数特性」を決める要素! CRフィルター

          今回の記事は、コンデンサとそれを使った簡単な回路、「CR フィルター」についての解説です。エフェクターやアンプの音色を設計する上でとても重要な内容になります。実際アンプやエフェクターの音色にかなり影響を与えている「周波数特性」は、ほとんどこのCRフィルターで決まると言っても過言ではないものです。 覚えることが多くて大変かもしれませんが、ここをマスターするとある程度自分でアンプやエフェクターを改造し、好きな音色に近づけることができます。 まず、オームの法則で「抵抗」が何であ

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          dB (デシベル) とは? 実は身近な対数のお話

          さて、今回は回路よりもう少し一般論に近い「対数」のお話です。もちろん回路を扱う上で知っておいたほうが良く、回路のみならず世の中のいろいろなところでこの概念が使われています。特にPA機器やレコーディング機器で使われることが多い概念です。感覚的に慣れておくときっといろいろな物事の理解が変わります。数学の分野に近いためか、苦手意識の強い方が多いかもしれませんね。 学校教育では高校で学ぶのでしょうか?私自身、いつ学んだか記憶が曖昧ですが、 log (ログ)なんちゃらって数式です。学

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          ギターの出力はコントロール信号 カソード接地回路 音の劣化と変化?

          さて、ついに「ギターの出力は音ではなくコントロール信号?」の謎を解き明かすべく、真空管増幅回路の代表格「カソード接地回路」を解説します。 おそらくほとんどの真空管アンプで初段に使われるメジャーな回路です。「オームの法則」と「直流、交流」の知識は必要になりますので、馴染みのない方以前の記事を参照してくださいね。 記事の最後に、「コントロール信号の変化」と「音の劣化」について、言葉による現象の捉え方のお話をします。同じ現象をどの言葉で捉えるかで対応が変わってくるというちょっと変

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          直流、交流とパスコンのお話

          今回は、電子回路に大切な概念「直流」「交流」についてお話しします。こちらも確か中学校で習いましたので、回路の専門家ではなくても記憶に残っているかと思います。前半はだいぶ授業の内容と重複すると思いますがご容赦ください。 言葉の定義は以下です。 直流 ... 電圧や電流の方向や値が常に一定のもの。 交流 ... 電圧や電流が方向や値が常に変化するもの。 具体例で考えていきましょう。「直流電圧」「直流電流」を発するもので、わかりやすい例は電池です。アルカリ乾電池なら 1.5

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          直流、交流とパスコンのお話

          電子回路において全ての基本、オームの法則!特に「抵抗」のお話

          オームの法則、、。電圧、電流、抵抗ってなに?。中学校で理科の授業にありました。電気は特に目には見えないため、とても分かりにくく、苦手意識の強い方も多いかと思います。 オームの法則はギターの内部配線から、ギターアンプのスピーカーまで、電子回路を考える上では必須な定義、概念です。苦手意識のあるかたは是非克服しましょう。 まずは以下の文面を覚えてください。とりあえず今のところ意味は何となくで大丈夫です。ざっくり、そういうものだと思ってください。 「電流は電圧の高いところから低

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