頭だけならまだしも背中に冷や水だぞ。 溶ける。溶けるよ。 蛞蝓(なめくじ)に塩だよ。 猫に小判だよ、馬に粘土だよ、違うよ。全然違うよ。

毎年この時期にあることが今年はない。
そういうことって考えたら割と多いのかもしれない。

チャツウッドのフィットネスファースト。
もう長い間通っている。

決まってこの時期にあることがある。

こんなの営業時間外にやれよ、と毎年思うのだが、
彼らには全くその気がないし、やる気もない。
お客様のために、という気持ちもない。

そうなのだ。
給湯システムの点検があるのである。
点検だけで済めばいいが、問題があれば修理もする。
その間はお湯が出ないのだ。

そして彼らはそれを客に知らせもしない。

シャワーを浴びようと颯爽とシャワールームへ向かう。
すると10個あるシャワースペースの一番奥から身体半分出してニヤニヤしてるオージーと目が合って、「なんなん？」って思いながらも手前から二つ目のボックスに入ってコック引いてみる。

そういうことか、って顔出してそのオージーに向かって両手挙げて例のポーズすると、「だろ？」って顔して同じように両手を挙げて見せる。

そう、そこで初めて水しか出ないことを知ることになるのである。

だから俺は毎年思わなくてはならない。

おいっ！

冷水! 冷水!　冷水!　冷水－－－っ!!
寒いじゃん。冷たいじゃん。寒いじゃん。冷たいじゃん。

頭だけならまだ我慢もできるけど、背中だぞ、背中。
背中に冷水って、背中に冷水ってっ。

溶ける。溶けるよ。
蛞蝓(なめくじ)に塩だよ。
猫に小判だよ、馬に粘土だよ、違うよ。全然違うよ。

くそー、くそー、くそー。

対応力って言葉知ってるか？
カスタマーサービスって言葉知ってるか？

冷たいんだよ、寒いんだよ。くしゃみ出てるだろ。

うーん、うーん、うーん、

喚いたところで状況はすぐには絶対に変わらない。
絶対に、だ。彼らは変わることはない。

仕方なくではあるが、とにかく何事もなかったように冷水シャワーを浴びる。できるだけ、何事もなかったように。

毎年あることが今年はないって、
なんだか寂しいような気もしなくもない。