彼がシャンプー選びの大切さを訴えたことがあって、俺はそれに心を打たれてあれとかそれとかいう成分が入っていないものを買うようにしている。
シャンプーやら綿棒やら日常品の買い物をして、さあ帰ろうとウエストフィールドの入口を出てちょっと駅の方へ歩くと、なんだか人だかりができている。そのむこうに目を疑う光景。
トヨタの赤いセリカが焼かれて?壊されて?いて、
周囲をテープで囲った状態で歩行者専用道路の真ん中に置かれている。
そして怪しさ極まりない張り紙。
ドラゴンが逃げたんだって。知らんやん。
どうして日本車がこんなことされて、さらしものになっているのか、
なんだか胸糞悪くなっちゃったんだけど、いったい何なのだろう。
キャンペーン?
めちゃめちゃ気分が悪い。写真撮って総領事館にちくってやろうかな。腹立つわぁ。
さて、バカの相手をしてストレスを溜めても損するだけなのでそんなことは考えないことにして、シャンプーの話。
妹の親友の旦那さんが髪を切る仕事をしている。「髪を切る仕事」としたのは理髪師さんなのか美容師さんなのか、はたまたもっと専門的な呼び方があるのか、床屋さんと呼んだらキレられるのか、とにかく何と呼んだら正解か分からなかったからだ。
専門的な仕事をしていると自分が何であるかにとても誇りを持つものだ。俺も書道家と呼ばれると眉間に皺が寄る。
まあとにかくその彼がシャンプー選びの大切さを訴えたことがあって、俺はそれに心を打たれてあれとかそれとかいう成分が入っていないものを買うようにしているのだ。そいういうのはシャンプーとしては割高なのだが、後のことを考えれば採算は十分に取れるのだと思う。
とはいえ、である。やはり年齢とともに徐々に頭髪の問題は顕著になることは間違いない。シャンプーのおかげで随分と食い止められていたとしてもである。
で、漢字テストの採点の話。
傍線部分の漢字の読み方をカタカナで解答用紙に書け。なんていう問題はよくあると思うんだけど、当然解答用紙にはカタカナが並ぶ。
俺もわりと長い間、国語の講師をやってきたので、こういう場面にはよく出くわしたんだけど、いやな言葉っていうか、きつい言葉っていうか、言葉の暴力っていうか、気分が滅入る言葉が無慈悲に出題されていたりする。
激しい
励ます
問題作成者に悪意があるとしか思えないのだが、解答欄にはこの答えのカタカナだけを書き込むようになっていて、単独でそれを見ると、物凄く強い武器で身体を刺されたような気になる。
生徒の人数がいればいるだけそれが続くのだ。
名前をみるとその生徒の顔が目に浮かぶ。
ああ、あのやろう、書きながら絶対笑いやがったに違いない。
ああ、あの子までこんな言葉を俺に…。
とただの解答なのに悔しく、情けなく、心痛極まりない妄想が広がるばかりだ(気になる人がいるかもしれないので一応断っておくが、俺はこういう方向で興奮する質ではない)。
全部に×をつけてやりたくなる。それは人情だろう。
誰がそれを責めることができようか。
…というのを、漢字検定の問題集を見ていたら思い出したからここに書いておく。
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