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「鼻水」であろうが「お尻」であろうが、「母乳」であろうが、どんとこいである。

RENCLUB書道教室では、子供たちと、日本語を母国語としない子供ではない人たちに対して、その日に書きたいと思った言葉を、俺がその場で手本を書いて稽古してもらっている。

みんなそれぞれに色んな言葉を持ってくる。

「書きたい言葉」が「見栄えのする言葉」とイコールではないので展覧会の作品を作るときには言葉選びをうるさく言うが、普段はそんなこともなく、大抵の言葉はそのまま手本にしてあげることにしている。

「鼻水」であろうが「お尻」であろうが、「母乳」であろうが、どんとこいである。

他人を中傷するような言葉は書かないが、そんな言葉を書きたいと持ってくるような程度の低い生徒は誰もいないので書いたことはない。

何年間か通ってくださっているニュージーランド出身の女性は先日「耿光」という字を持ってきた。「コウコウ」と読む。「1 光が明るく輝くさま。 2 気にかかることがあって、心が安らかでないさま。」と、goo国語辞典にある。勉強不足でお恥ずかしい限りだが、耳偏に火の字を俺は知らなかった。辞書にはある、が、常用漢字ではない。

こういうこともあるのだ。
しかも1回や2回ではない。

同じくその女性、一昨日はその日の夕方のお稽古で何が書きたいかをメールで送ってきた。
「tsundoku」

俺はそれを見て全くお手上げ手だった。全然思い当たる日本語が無い。
日本で使われている漢字の音読みに「ツン」という音はないからだ。
敢えて言えば「つんざく」という言葉があるが、これも漢字にすれば「劈く」で「劈ざく」ではない。

I have no idea about it. としか返事のしようがなかった。
すると「積ん読」という言葉を返してきた。

勉強不足でお恥ずかしいが、「積ん読(積読とも書くらしい)」という言葉も知らなかった。手に入れた本を読まないまま積んでおくという事らしい。

そんな言葉、俺が日本に居るときにはなかったぞ、最近の言葉だろ、と思って調べてみたら、考案者は田尻稲次郎(田尻北雷)という人で、時代はなんと明治だという。そんな昔からあったのなら全く知らなかった俺が悪い。

日々是修行というが、知らないことは本当に多い。
外国人に日本語を習うこともこれまた修行である。




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