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生かさず殺さずのためだと思われる神様によるありがたい調整

チャツウッドのラーメン屋『ま〇ぷく』でAさんとラーメンを食べてきた。Aさんが行こうとその名を出さなければ今夜は冷ややっこをトレイから皿に移しもせずにスプーンですくっていたところだ。

店ができたときから行きたいとは思っていた『ま〇ぷく』。でも俺が行くと「おまえに食わせるタンメンははねえっ(by河〇準一)」とばかりにいつもいつもいつも行列だったから、さすがに心折れて店の前でギブアップを重ねていた。

そしてまた今日も例にもれず店内は溢れんばかりに賑わっていて、入り口の前には人だかり。

俺一人なら1秒であきらめるところだが、今日はAさんが居てくれたのでひたすら我慢する。しかしそれでも口からこぼれ出るアメーバ状のドロドロのイライラ。とにかく腹が減ってたもんで、溢れるイライラのドロドロ感が半端ない。

Aさんはそれを丁寧にバケツに貯めて、近くの川へ流しに行く。
するとどうでしょう。そこからどんどん芽が出てくるではないか。次第に茎と葉が伸びてつぼみがつき、一つずつチューリップの花が咲いていく。
そしてその中にひたすら輝く一つのつぼみ。それがパッと咲いたかと思うとそこから美しいお姫様がお出ましに。

「まあ」と驚いたAさんが手のひらを差し出すと、小さなお姫様はにっこりとほほ笑んで、ちょこんとその手のひらに飛び移られた。それはそれは可憐で美しい、見るものを虜にさせるような可愛らしいジャンプだった。

と、その瞬間Aさんの手のひらがギュッと閉じた。ぶちゅという小さな音がする。そしてそのまま素早く両腕を振りかぶったAさんは「だいいっきゅーーなげましたーーー」の雄叫びとともに腕を前に振り下ろす。

あ…
遠くの空に、流れ星…

世の中いろんな予期せぬことが起こる。
安易に人の手のひらなんぞに乗ってはいけない。
南無…

さて、世界的なラーメンブームらしいが、チャツウッド近隣のオージーもやっとラーメンの味がわかるようになったのか。以前はラーメン屋ができてもちっとも根付かなかったんだけど、今じゃ、店前で並んで待ってまで食いに来る始末。しみじみ思う。時代は変わる。

やっとのことでお姉さんのコールがあって、店内へ。
メニューを見て「とんこつしょうゆラーメン」に決める。ミニカレー$3.90にもハートを射抜かれた俺はオーダーを取りに来た恰幅のいいお姉さんにどのくらいのものかサイズを尋ねる。するとお姉さんは両手の人差し指と親指で輪っかを作って器の大きさを教えてくれる。

おちょこ?

そのサイズどうみてもおちょこである。それで商品的に大丈夫なの?! 他人事ながら心配になる。一寸法師や親指姫なら大盛りカレーだろうが、残念ながら俺は坊主でもないし、王家の出でもない。

「おいおい嘘だろう。」心の中で突っ込みを入れはしたが、恰幅のいいお姉さんはめっちゃいい笑顔で言うのだ。「小さいですよ。本当に小さいです」。
俺は結局その笑顔に負ける。「カレーお願いします」。

しばし待った後に、待望のラーメンとカレーが目の前に運ばれてくる。

うーん、ラーメン旨い。
カレーも喫茶店カレー的で実に旨い。
(サイズは…自分で食べにきて確認するがよい。)

嗚呼…
コップの水を胃に流し込みつつ俺は思う。

オフィスの近くじゃなくてよかった。
大きく息を吐きつつ、心から安堵する。

危ない本当に危ない。
オフィスのすぐそばにこんな店があった暁には毎日毎日週に10回くらい通って今でも高い血圧がどんどんあがってしまうところだった。

神様はにくいほど丁度よく程よく、生かさず殺さず俺の人生を調整してくださってる。いやいや全くもってありがたいことである。


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