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【感想】殺した夫が帰ってきました|桜井美奈


●あらすじ

やっと手にした理想の生活だったのに……

都内のアパレルメーカーに勤務する鈴倉茉菜。茉菜は取引先に勤める穂高にしつこく言い寄られ悩んでいた。ある日、茉菜が帰宅しようとすると家の前で穂高に待ち伏せをされていた。茉菜の静止する声も聞かず、家の中に入ってこようとする穂高。

その時、二人の前にある男が現れる。男は茉菜の夫を名乗り、穂高を追い返す。男は茉菜の夫・和希に間違いなかった。しかし、茉菜が安堵することはなかった。なぜなら、和希はかつて茉菜が崖から突き落とし、殺したはずだったからだ。

戸惑う茉菜をよそに、和希は茉菜の家に上がり込む。改めて話を聞いてみると、和希は過去の記憶を一部なくしており、茉菜と一緒に暮らしたいという。茉菜は渋々それを受け入れる。

かつての和希はとても暴力的な人間だったが、いざ暮らしはじめると、暴力的な影は一切見られず、平穏な日々が過ぎていった。

しかしそんな矢先、茉菜のもとに一通の手紙が届く。手紙には一言だけ「鈴倉茉菜の過去を知っている」と書かれていて……

記憶をなくし帰ってきた、殺したはずの暴力夫。謎めいた正体と過去の愛と罪を追う、著者新境地のサスペンスミステリー。

内容紹介 より

●設定について

物語序盤「殺したはずのDV夫が妻の前に突然現れるが、以前と人が変わったようにイイ人になっている」という設定が、漫画『私の夫は冷凍庫に眠っている』(のちにドラマ化)に似ているかな?と思いながら読み始めたのですが、こちらは全く異なる展開でした。

●伏線はこの帯にある?

私もまんまと【題名と帯にやられて購入】したクチですが、帯の伏線に関してはシンプルすぎて、仕掛けの新鮮さで言えば、先に読んだ『レモンと殺人鬼』の方が上ですね。

●起承転転

前半はずっとファンタジーな展開と記憶喪失の夫に気を取られていましたが、中盤を過ぎたあたりから、「あれ、コレはもしかして・・・」と気付き始め、一体どうやって着地するんだろうと思っていたら、さらにもう一波乱。一日で一気に読んでしまいました。タイトルはホラーっぽくもありますが、読後感はとても良いお話でした。

●満足度

 ★★★★☆


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