見出し画像

(後編)「健康課題を価値に転換し、生きがい創造を伴走する」健康価値共創部とは

今回のnoteは、健康経営を社会に拡げている 健康経営企画部長の樋口毅さんにインタビューし、ご自身が「健康経営」に取り組まれるようになった背景や、これまでの取り組み、これからの展望についてを前後編に分けてお届けしています。

前編では、樋口さんが「健康経営」に取り組むようになった背景についてお届けしました。

後半では、これまでの取り組みや役割を通じて、これから健康経営を起点として提供していきたい価値についてお伺いしています。


――健康経営企画部が発足した背景を教えてください。

樋口:「健康経営」という言葉が、日本社会に生まれたのは2006年です。私は、ルネサンスで働く前から、岡田邦夫理事長に師事し、健康経営を社会に拡げていくために、NPO法人健康経営研究会をサポートしていました。

そうした経緯もあり、転職した後、健康経営をルネサンスの事業として、どのようにつなげることができるのか?を考えていました。

当時、ルネサンスの法人会員制度は、業界三位というポジションでもあったことで、契約社数は120法人程度でした。そこで、健康経営に積極的に取り組む企業、ならびに保健事業に積極的に取り組む健康保険組合に対して、『運動が必要だけれど、実施していない従業員や被保険者に、運動実施のプロモーションに協力いただく』ことを条件に、年会費をディスカウントする制度をつくりました。

2008年のリーマンショックや、2011年の東日本大震災の影響が強くあり、多くの企業が福利厚生を見直していたことや、健康保険組合の多くが赤字化していたことが追い風となり、この新しい法人会員制度に、多くの法人が賛同してくれました。

その結果、短期間で中小企業を合わせて1,300法人まで、契約社数を拡大することができ、「ルネサンスが働く人の健康を応援する企業である」というブランドづくりに貢献できました。

これらの事業をもとに、「健康経営企画部」を発足しました。
今でこそ、健康経営を部署名に取り入れる企業が増えていますが、当時「健康経営®」の商標登録を持つ、NPO法人健康経営研究会に、この部署名にすることを相談した際に気づいたことですが、わたしたちは、日本で最初に「健康経営」を冠たる部署として作ったのではないかと思います。

ルネサンスを健康産業へ発展させる

――健康経営企画部の現在の取り組みや役割について教えてください

樋口:現在、私は、政府の委員会や、様々な健康に関わる関係団体の理事や委員を務めています。

その最大の目的は、ルネサンスの事業を社会最適の視点から、持続的に発展させていくことです。これらの継続的な活動の結果として、ルネサンスが自治体や企業とのつながりの機会が増えていくことともに、日本の健康政策に、フィットネス産業が貢献できるチャンスが増え始めています。

現在、ルネサンスはスポーツクラブ事業を基点とし、店舗周辺地域の自治体の介護予防、介護リハビリ、企業の健康経営、そして、がんリハビリなどのメディカルフィットネスと、様々な事業にチャレンジしています。

わたしたちは、今、故 髙﨑前社長が目指していた「レジャー産業から健康産業へ」と事業を着実に発展させつつあります。

こうした事業の取り組みが、官公庁や関係団体、企業からの支持を受け、ルネサンスをパートナーとして、一緒に社会課題を価値に転換する事業に取り組みたいと声をかけてくれるようになりました。

例えば、直近の政策連携での事業のテーマは「転倒災害の防止」です。
現在、日本で一番多い労働災害は「転倒災害」で、年間37,000件を超えている状況です。この数字は、日本の高齢化と相まって、今後も増加していくことが予見されます。

このような日本の社会課題に対して、わたしたちは、厚生労働省が取り組む「セーフコンソーシアム」といった事業を日本フィットネス産業協会(FIA)と一緒に支援しています。具体的には、「FIA全国カラダ年齢測定」という事業の組成や、ルネサンスとしての転倒予防プログラムの展開に取り組んでいます。

「競争」よりも「共創」していくことを大切に

――今後は「健康経営」の取り組みをどのように拡げていこうと考えていますか?

樋口:2006年に生まれた「健康経営」は、ここ数年間で社会でも広く認知されるようになってきたのではないかと思います。

直近、2024年3月15日に、わたしたちが事務局会社として開催した健康経営会議には、828社、1200名のお申込をいただきました。

今、上場企業を中心に「健康経営」に当たり前に取り組む企業が増えています。私は、この30年間、「働く人」の健康から、日本の社会課題を見続けてきました。

健康経営は、当初、政府が主導し、日本の社会保障費の適正化に取り組む中で生まれたシナリオでした。それが現在は、企業の持続的な成長と発展を目的とする人的資本経営に移行してきています。

しかし、今後、少子化により、雇用の流動化が当たり前になる社会においては、健康経営は企業が従業員の健康を資本に、価値を創造するための投資のシナリオから、働く人、個人が人生100年時代を豊かに過ごすための自立へとシナリオが変化していくと考えています。

実際に、ここ数年、兼業や副業などのキーワードが当たり前になりつつあります。また、フリーランサーとのパートナーシップなどの新しい働き方も生まれ始めています。

このように、従来は企業によって守られていた働く人の健康は、今後は、自身の資産として、自己責任のもとで育んでいく社会が当たり前にやってくると思います。

このように、健康に関連する社会課題が個人の数だけ多様化していく中では、その解決は、一社の力では、一層に難しくなると思います。

このように考えた時、これからのルネサンスは、「競争」よりも、多くの外部パートナーとチームを組んで「共創」していくことを選択することが一層に大切になると考えています。

そのために、企業、関係団体、官公庁のみなさんと一緒に、健康に関する社会課題を価値に転換するための事業を『共創』する」ということを、社内外に発信するために、2024年4月1日から部署名を健康経営企画部から「健康価値共創部」に変更することを発表させていただきました。

一緒に価値を共創するパートナーシップを目指して

――今後、「健康価値共創部」でどのようなことに取り組んで行きたいですか?

樋口:健康価値共創部では、健康課題の解決を通じて、新しい価値共創をゴールとするパートナーシップの構築を目指していきたいと考えています。

特に課題解決にとどまらず価値創造までを視座に置くことを大切にしたいと思います。

例えば、ルネサンスが取り組むリハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」では、歩くことが困難になってきているご利用者に対して、歩くことを通じて、社会参加を促進し、元氣を生み出すことを目指しています。

また、高年齢従業員の転倒予防も、労働災害の防止を通じて、生涯現役として社会に関わることができる人づくりの支援を目指しています。

先ほどの「メンタルタフネスプログラム」も、ストレスを糧に成長できる人財開発を目指しています。

このように、課題解決の視点だけでは、「マイナス」 を「ゼロ」にすることまでしかできませんが、価値共創の視点では、「ゼロ」から、さらに「プラス」の状態になっていることを目指していくことが求められます。

ルネサンスは創業当時から、健康を通じて「生きがい創造」を起こすことを、企業理念として掲げてきました。

さらに、新たな長期ビジョンでは、「人生100年時代を豊かにする健康のソリューションカンパニー」という強いメッセージを発信しています。

私たちにとっての健康価値共創とは、まさに健康課題を価値に転換し、それぞれの人が、なりたい「生きがい創造」を伴走するという、会社が目指す方向性を体現することにあります。

そのために、今後は、一緒に価値を共創していくパートナーを、仕事を通して、積極的に増やしていきたいと考えています。


このような取り組みを通して、ルネサンスは「人生100年時代を豊かにする健康のソリューションカンパニー」を目指していきます。

スキやコメント、フォローもお待ちしています。


■関連リンク

ルネサンスが取り組む「健康経営」

https://www.s-renaissance.co.jp/co/file/kenkokeiei.pdf

■関連noteアカウント

ルネサンス 運動支援センター

シナプソロジー研究所