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音楽も空間もリノベーション"kitri ライブ Blanc Noir@YUKUIDO工房"

コロナ禍に突入した頃、音楽系サブスクを聴きあさる中でkitriの音楽を知ったように記憶している。

kitriは姉妹によるピアノ連弾ヴォーカルユニット。クラシックをベースとしたピアノテクニックに、透明感のある歌声と姉妹のシンクロするハーモニーが、コロナ禍で沈んだ気持ちを潤した。

2019年デビュー後、間も無くコロナに突入してしまったが、精力的にオンラインライブも行いサブスク配信により海外のファンも多いそうだ。
「"隠れビッチ"やってました」「古見さんは、コミ症です」の映画の主題歌を務めるなど、活動の幅が広がっている。
そのkitriが「Blanc Noir#1」と題して、上野と京都の2ヶ所で、BlancとNoirのアプローチの異なる2ライブを行う。自宅から近い上野ということもあり、Noirのステージに行ってみた。


会場となるのは、リノベーションを中心に家具も手掛けるYUKUIDOの工房。工房の向かいには、同社が「つくり手が直接お客さまに届けられる場所」として作ったROUTE BOOKSがある。ここはブックカフェをメインに雑貨・家具の販売、ワークショップのスペースもある。

1.再生による居心地のよい場所

ROUTE BOOKS入口
植物たち
店内の様子

ROUTE BOOKSは植物やモノを慈しむ姿勢がが感じられる空間だ。雰囲気のあるそれっぽいリノベーション風カフェではなく、日常的なものづくりのプロセスそのままに作られた、隅々まで精神が行き届いたデザインだ。暮らしにおける植物の提案にも力を入れていて、サイズや樹種の異なる豊富な顔を持つ植物たちが通りいっぱいに並べられている。今回は時間がなかったが、次回は吟味された選書の本棚も覗いてみたい。

2.秘密基地のようなワクワクする工房

ライブ会場
ライブ会場外観
工房の様子

ライブ会場な工房はYUKUIDOが使われなくなった工場を譲り受けた場所だ。ROUTE89.BLDGとして2015年からリノベーションに着手し、1階を事務所、工房、ワークスペース、上階はレンタルスペースや当初はこちらの4階にカフェがあったという。工場の雰囲気を残しつつ、煉瓦壁や溶接で作ったサッシなど計画的にというより、その場を感じながら少しずつ手を入れて完成させた空間のように思う。使い込まれた工具が雑然と見えるが、手に取りやすい配置に並べられている様子もリアルだ。

3.ダークなアレンジの音楽と空間

ライブの鍵盤楽器
kitri

やっと本題のkitriについてだが、二人の精度の高いピアノ連弾と姉妹ならではの揃った声質によるハーモニーが魅力だが、私はやはり作曲が素晴らしいと思う。可愛いらしい容姿と上品な出立ちから想像する曲想に加えて、ちょっとダークでシュールなコード進行とピアノが癖になる。
Noirではこのダークな部分にフォーカスし、オリジナル曲をさらに連弾ではなくシンセで多彩な音色を加えた深みのあるアレンジが楽しめる。


それは自らのオリジナル曲のリノベーションとも言える。あるモノに手を加えながら進化させてまた別の顔を持たせる。今回のライブコンセプトにぴったりの空間だったと帰り道に気づいた。

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