宙ぶらりんの注意を処理したら、新しい選択肢が見えてきた
アバターウィザードコース4日目。
この日のためにこのコースを受けたのだと言っても過言ではないくらい、人生の行き詰まりを取り除き、新しい展望を開いてくれた1日だった。
12年以上、憧れ続けたリトリート施設
12年前からずっと気になっていた長野県の自然豊かな山の中にあるリトリート施設についてワークを行った。
最初に訪れたのは森林療法ワークショップに参加するためだった。
安曇野の山の中を散策した後、ストレスチェックをしてもらう。
当時、自分に合わない仕事を嫌々続けていた私にとって、そこは憩いと癒し、魂の休息の場所に他ならなかった。
1日2回の玄米菜食を出すそのリトリート施設は、スタッフがキッチンで料理をする姿も垣間見ることができる。
5月の新緑の木漏れ日の下で野菜と向き合いながら料理をするスタッフの姿が眩しく、「私もあの場所に立ちたい!」と強く思ったのだった。
当時の私は会社勤めを辞めることなんて考えられなかったので、自然に囲まれながら料理をする姿は憧れでしかなかったし、同じ星の住人とは思えないような、夢の世界の存在だった。
その後、2021年5月に並木良和先生の統合に出会い、本当の自分に一致する生き方へと大きく意識がシフトした。
そして、自分の本心に素直になればなるほど、いよいよ仕事に対する違和感が拭えなくなった時、12年前に訪れたリトリート施設の光景が蘇ったのだ。
会社を辞めることも視野に入れて、その施設のホームページを調べると、「スタッフ募集」の欄が目に止まった。
リンクを開くと、「ワーキングエクスチェンジ」というポジションの募集要項があり、こちらが労働力を提供する代わりに、施設側が寝る場所と食事を提供する、という内容だった。
期間は4月から11月の8ヶ月間。
当時、正職員としてフルタイムで仕事をしていた私に取って、そのポジションに応募することは仕事を休むか、辞めることを意味していた。
統合の学びを進める中、容赦無く師匠である並木良和先生のケツ叩きは続く。
自分に一致しないことを続けることが眠りであり、いつ死んでも後悔しない人生を生きると決めたのであれば、チャレンジするしかないではないか。
そこで、一念発起して早速問い合わせると、すでに応募者はいっぱいとのこと、お断りされてしまった。
もどかしい思いで断念し、次のタイミングを待つことを決め、そこから施設のホームページを頻繁に見てチェックするようになった。
憧れと現実とのギャップ
次の年、募集要項がアップされたタイミングで履歴書を送り、憧れだったキッチンスタッフのポジションを希望した。
すると、2週間ほどして、書類選考に通ったので、お仕事体験に来て欲しいとの連絡があった。
私は期待と不安に胸を躍らせながら、エプロンと三角巾を持って朝早く東京駅から新幹線に乗って現地に向かった。
憧れのリトリート施設の前に立ち、受付で迎えられる。
事務所らしきスペースに通され、おそらく長年働いているであろうスタッフの方と簡単な自己紹介を交えながら雑談をする。
その土地が好きになり、その土地の自然とともに生活しているというその人は、施設の風景に馴染んでいて、その姿を新鮮な目で眺める自分がいた。
早速、お仕事のブリーフィングを受け、憧れのキッチンに翌朝から立つことが決まった。
お仕事体験はわずか2泊3日。
仕事を辞める覚悟で臨んだ私は、この2泊3日という限られた時間の中で、今後の進退を決める必要があった。
その日の夜、キッチンの外に立ち、スタッフの動きや働きぶりを観察した。
そして、いよいよ翌朝、8時にオフィスに集合し、キッチンに入る。
見習いだから当然なのだが、皿洗い、皿洗い、皿洗い・・・。
たまに料理に触れさせてもらえるけれど、ゲストルームに向かって設置された洗い場は調理場には背中を向ける位置になっているので、視界に広がるのは洗い場の中だけだ。
調理し終わった後のボウルやフライパンや菜箸が次々と食べ終わったわんこそばのお椀のように運ばれてくる。
手荒れしないようにグローブをつけて洗いたいが、他のスタッフは素手で洗っているし、料理と洗い場を行ったり来たりするのにグローブを使うこと自体が不効率だということも見えてきた。
ただ、手荒れはしたくない・・・。
そんな気持ちを抱えながら、まだ20代前半の若いスタッフに連れられて、台所で出た生ゴミを外のコンポストに運ぶ手伝いに出た。
コンポストはドラム缶のような構造になっていて、蓋を持ち上げるのでさえ大きな力がいることがわかった。
その重い蓋をいとも軽々と持ち上げたスタッフの女の子を見て、思わず「すごい力持ちですね!」と言葉が出たものだ。
「私、力仕事は得意なんです。」
この言葉を聞いた時、「あれ、もしかして、この仕事って体力が必要なのかな・・・?」という思いがチラッと頭をかすめたのだった。
合間に昼ごはん休憩を挟んだ後、今度は掃除の時間だった。
ゲストルームの掃除は布団やベッドカバーについた髪の毛をコロコロで取ったり、掃除機をかけて綺麗にする。
共有スペースも掃除機をかけ、共同浴場はデッキブラシで掃除し、トイレも掃除した。
スタッフの方に教わりながらひたすら掃除をする私の頭の中には、「家の掃除もままならないのに、ここを掃除してる場合じゃない・・・」そんな思いがよぎったのだった。
その後もキッチンに戻って料理を出すのだが、ひたすら立ち続け、皿洗いとゴミ出しをし続ける時間に、腰のあたりから怒りの声がこみ上げてきた。
「なんで私がこんなことしなきゃいけないの!?」
その声を聞いた時、「あれ?今の仕事で出てる声がまた出てきた!」とびっくりしたのだった。
憧れの仕事のはずなのに、身体が抵抗して怒ってるってどういうこと・・・?!
混乱しながらも、ひたすら仕事をこなす中、時計の針は夜の8時半を回っていた。
キッチンスタッフの料理にかける情熱はものすごく、翌日の料理を担当するスタッフは、夜の8時過ぎまでキッチンに立って翌日の下準備をしており、その手伝いで私もキッチンに立った。
そして、部屋に戻ったのが9時過ぎ、お風呂に入って寝たのが11時過ぎだったが、朝から晩まで立ち続けた私の体はヘトヘトだった。
2日目、キッチンに立ちながら、私はキッチンの外で優雅にのんびりと食事を楽しむ宿泊客を恨めしそうに眺めている自分がいた。
「あぁ、私はここで働きたいんじゃなくて、ゲストとして美味しい料理を堪能し、ゆっくり休みたいんだな・・・。」
そんな思いを抱えながら、2泊3日のお仕事体験が終わった後、私は尻尾を巻くようにして自宅に帰ったのだった。
そして、当たり障りのない理由を使って、キッチンスタッフのポジションを辞退したのだった。
気になり続ける意味不明の執着を手放す
そんな体験から2年経ち、あれだけ離れられなかった職場を休職した私は、いまだにあの施設が気になっていた。
自分でもなぜこんなに気になるのかがわからなかったので、はっきりさせるためにも、再度ワーキングエクスチェンジに応募することにした。
応募書類には、2年前にキッチンスタッフで応募したものの、お仕事体験で体力的にきつすぎて一度辞退したことも正直に書き、今度は受付のポジションも付け加えて応募したのだった。
「年齢的にも厳しいだろうし、きっと書類選考で落とされるだろうな・・・。
そうしたら、気持ちの踏ん切りがついてスッキリするな。」
そう思っていたところ、わずか数日後で書類選考通過の連絡とともにお仕事体験の
日程調整の依頼が来たのだった。
自分で応募したのにも関わらず、書類選考が通ったら一気に気持ちが重くなるって一体どういうことだろう?
「興味があって惹かれるんだけど行きたくない」というわけのわからない状態に混乱した私は、4日目のアバターウィザードコースで解決すると決意した。
4日目の今日は、固定された注意を回復するフロート・ランダウンというワークを行った。
期待される成果としては、注意を著しく回復し、緊張と混乱を減らす、というものだ。
ワークのテーマの選び方は、深刻に感じるもので、私が確信を持てなかったり、未完結だったり、居心地の悪さを感じたりする話題だ。
私は待ってました!とばかりに、2つのテーマを取り扱った。
1つ目が、退職。
2つ目が、リトリート施設。
ワークでは、選んだテーマに対して、私が知らないこと、知っていること、同じように感じる他の話題について洗い出していく中で、私の注意が固定されている信念を見つけていく。
すると、1つ目の退職をテーマにしたワークでは、こんな信念が洗い出されてきた。
私は退職したら食べていけない
私は退職しても一人で稼ぐ能力がない。
私は退職したら丸裸になる。
会社勤めの方が有利
なるほど、こんな信念を抱えてたら、退職なんてできるわけがない。
この信念をツールを使って消していく。
消し終わった後は、意識が真っ新になり、宇宙遊泳しているかのような意識になる。
それは、自分の中の「退職したいけど退職できない」という葛藤が消えたことによる解放感であり、「どっちでもいい」というニュートラルな意識状態の心地よさなのだ。
次に、リトリート施設をテーマにしたワークで洗い出されたのはこんな信念だった。
マイペースは悪だ。
マイペースで人に合わせられない私はダメな人間だ。
私はマイペースだから人との協働は向いていない。
お金がもらえない労働なんてあり得ない。
田舎暮らしは不便だ。
ワークを通して見えてきたのは、リトリート施設の属性(自然の中の暮らし、スタッフとの共同生活、お金の対価がない労働)が今の自分と対極にあるということ。
自分にはない真逆な属性だからこそ惹かれつつ、その属性になれない自分(マイペース)をバッシングしている自分が見えてきたのだ。
ワークで信念を統合し終わった結果、またもや、葛藤が消えて頭の中が真っ白になり、ニュートラルな意識状態になり、宇宙遊泳状態になった。
ワークに集中したことによる疲労感と脱力感から、私は寝息を立ててそのまま寝てしまった。
解放された意識が新しい未来を創造する
寝ている間、私の脳がサクサクと処理をしているのがわかった。
そう、私が本当にやりたいのは、フリーランスの個人事業主として独立すること。
休職してから都内の自宅で始めたアクセスバーズの施術(エネルギーワーク)と生玄米パン&スイーツのおもてなしをする個人サロンを横展開する形で、地方でも行うこと。
フリーランスの個人事業主として独立し、個人サロンを経営したいことがはっきり見えてくると、複数の収入の柱の一つとして、Webライター(取材ライター)という選択肢も見えてきた。
そう、今年の6月に取材ウェブライターを目指してオンラインスクールに申し込んだものの、イマイチ気が乗らずに保留にしていたのを思い出したのだ。
アバターウィザードのツールを使うことで、固定化された意識が解放され、本当に必要なことに意識が向くようになる。
今は東京タワーの見える都心のど真ん中に住んでいるが、5年以内には自然豊かな地方に移住し、個人サロンを展開したいと思う。
そこにはマイペースな私でも快適に心地よく共同生活できるパートナーの姿も見えるのだ。
新しい展開に、私は胸を躍らせながら手帳を開き、「Webライタースクール受講再開」という新しいタスクを追加した。