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ミュージック・マガジン編

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ミュージック・マガジン誌「50年の邦楽ベスト100」で取り上げられているアルバムを扱った記事たちのまとめです。
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2023年9月の記事一覧

フィッシュマンズ『宇宙 日本 世田谷』(1997)

アルバム情報アーティスト: フィッシュマンズ リリース日: 1997/7/24 レーベル: ポリドール(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は43位でした。 メンバーの感想The End End  前作に比べて、不思議とヒリヒリをあまり感じない。レディオヘッドの『In Rainbows』みたいな、すべての調和をコントロールしているような感覚がある。そして、まだうまく言葉にはなっていないけど、ceroがフィッシュマンズに重ねて語られることがあるのが少しわかったよ

ボアダムス『スーパー・アー』(1998)

アルバム情報アーティスト: ボアダムス リリース日: 1998/5/25 レーベル: ワーナー・ミュージック・ジャパン(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は27位でした。 メンバーの感想The End End  ラリーズの時に”甘いノイズ”と書いたけれど、このアルバムの1曲目を聴けば意味が分かると思う。これこそが、本当にイヤホンで聴いてはいけないノイズです。タイムストレッチしたりリバースしたり、『Loveless』みたいにこれもまたサンプラーがあるからこその

クレイジーケンバンド『パンチ!パンチ!パンチ!』(1998)

アルバム情報アーティスト: クレイジーケンバンド リリース日: 1998/6/25 レーベル: DOUBLE JOY RECORDS(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は68位でした。 メンバーの感想The End End  サザンよりも言ってること自体は生々しいのに、なぜかこっちの方が上品に聴こえる。“果てた”で鼓の音が鳴るところ、電車の中で笑ってしまった…  “歌謡曲”が色濃い作品をサザンとこれ+αしか入れられていない、というところにミューマガの文脈や視

キリンジ『ペーパードライヴァーズミュージック』(1998)

アルバム情報アーティスト: キリンジ リリース日: 1998/10/25 レーベル: A.K.A Records(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は79位でした。 メンバーの感想The End End  楽器の音作りが、可愛い。チャーミング。そのチャーミングさが、洗練されたアレンジと歌詞のキザなタッチの角を丸くして、親しみやすい楽曲に仕上げてくれていると思う。  そのアレンジは洗練されていながらも緻密で、DAW的な感覚を抱くものだった。全体像を把握しながら

宇多田ヒカル『First Love』(1999)

アルバム情報アーティスト: 宇多田ヒカル リリース日: 1999/3/10 レーベル: East World(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は17位でした。 メンバーの感想The End End  ローエンドの設計がモダンすぎる。ただ太いんじゃなく、倍音で大きいように聴かせるベースだ。いまでこそこういう音像のポップスは日本にもいくらでもあるけど、16歳がいきなりこれを持って出てきたら、これまでの全部が突然古臭くなってしまうくらいの衝撃があっただろうな。小

椎名林檎『無罪モラトリアム』(1999)

アルバム情報アーティスト: 椎名林檎 リリース日: 1999/2/24 レーベル: East World(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は57位でした。 メンバーの感想The End End  以前このnoteで”私は初期モノフェチだ”と書いた。それをしろみけさんに話したら”じゃあ、『無罪モラトリアム』はたまらないと思うよ”と言われたのだけど、実際聴いたらまんまとその通りでした。東京事変や、私がリアルタイムに触れてきた椎名林檎の作品における洗練され方がど

ナンバーガール『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』(1999)

アルバム情報アーティスト: ナンバーガール リリース日: 1999/7/23 レーベル: 東芝EMI 「50年の邦楽ベスト100」における順位は71位でした。 メンバーの感想The End End  EMIのスタジオで録ったけど仕上がりに納得がいかず、地元福岡の決して高級じゃないスタジオで録り直したというのは有名な話。EMIのスタジオが悪いわけではなく、むしろそのスタジオは閉鎖される際に山下達郎がコンソールを数ch買い取ったと言われるほど”音が良い”評判のある場所だったの

Hi-STANDARD『MAKING THE ROAD』(1999)

アルバム情報アーティスト: Hi-STANDARD リリース日: 1999/6/30 レーベル: PIZZA OF DEATH RECORDS(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は91位でした。 メンバーの感想The End End  まず、”自主レーベルからでも100万枚売ることができるし、大手と契約しなくても食っていけて好きなイベントをやれる”という、その希望を示したという意味だけでもとてつもなく重要な作品でありバンドだ。  ずっと同じサウンドが鳴ってい

キリンジ『3』(2000)

アルバム情報アーティスト: キリンジ リリース日: 2000/11/8 レーベル: A.K.A Records(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は49位でした。 メンバーの感想The End End  前回の座談会で“インタールードが何個もあると冷めちゃう”という話をした時に、カットしたけど“キリンジの『3』みたいな構成が大好き”という話もしていました。アルバム全体のハイライトとなるような、キャリアを貫く代表曲を中盤に配置した後インタールードでガラッと場面

コーネリアス『POINT』(2001)

アルバム情報アーティスト: コーネリアス リリース日: 2001/10/24 レーベル: トラットリア(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は44位でした。 メンバーの感想The End End  スティーブ・ライヒの『Electric Counterpoint』などを意識しているであろうことは音を聴けば即座にわかるけれど、『POINT』というタイトルもそこに結びついたものではないかと思う。  対位法(Counterpoint)は協和する複数の旋律を重ねるため

砂原良徳『LOVEBEAT』(2001)

アルバム情報アーティスト: 砂原良徳 リリース日: 2001/5/23 レーベル: Ki/oon(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は56位でした。 メンバーの感想The End End  リマスターに際してのインタビューで、“当時は技術的にできるからといって、低音を歪ませずに限界まで突っ込むことをし過ぎた”、“今ならここまでやらずに丁度いい塩梅を探す”というようなことを言っていたのだけど、確かにそんな感じのするキックとベースだ。そう思って聴くと『東京』に似

レイ・ハラカミ『red curb』(2001)

アルバム情報アーティスト: レイ・ハラカミ リリース日: 2001/4/25 レーベル: Sublime(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は67位でした。 メンバーの感想The End End  以前“生かどうかなんてどうでもいい”と書いたけど、本当は生っぽいかどうかもどうでもいいんだよ。ハチプロだけで作ってるんだよ、とかも、トリビアでしかない。そんな凄い情報がオマケになってしまうほど、素晴らしい音像だもん。  クラッシュシンバルの短いディケイを補うために

くるり『TEAM ROCK』(2001)

アルバム情報アーティスト: くるり リリース日: 2001/2/21 レーベル: SPEEDSTAR RECORDS(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は98位でした。 メンバーの感想The End End  “こんなにも悩ましい僕らも 歩き続ける”、くるりはずっとずっとこれを言い続けているバンドだし、それは歌詞だけじゃなく、サウンドにおいても感じること。世界がクソに見えてしょうがない日も、自分で自分が情けなくてしょうがない日も、くるりは良いことも悪いことも