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ミュージック・マガジン編

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ミュージック・マガジン誌「50年の邦楽ベスト100」で取り上げられているアルバムを扱った記事たちのまとめです。
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2023年4月の記事一覧

井上陽水『氷の世界』(1973)

アルバム情報アーティスト: 井上陽水 リリース日: 1973/12/1 レーベル: ポリドール(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は51位でした。 メンバーの感想The End End  「あかずの踏切り」がとても好き。もちろん「氷の世界」も。ちょっとニューウェイヴ的なムードを感じて、この音が1973年の日本で鳴っていたなんて信じられない…  自分の前にあるのが「あかずの踏切り」だとわかっていても、“僕”は踏切りが開くのを待っていることしかできない——そんな

吉田美奈子『扉の冬』(1973)

アルバム情報アーティスト: 吉田美奈子 リリース日: 1973/9/21 レーベル: Showboat/ Trio(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は80位でした。 メンバーの感想The End End  直前に聴いていたウェイン・ショーターの「Native Dancer」と全くシームレスに聴けてしまった。録音が非常に良い。アコースティックドラムとリズムボックスを左右に配置することによるハイハットの広がりが心地よいし、生ドラムのみの曲も、ドラムが中央ではな

サディスティック・ミカ・バンド『黒船』(1974)

アルバム情報アーティスト: サディスティック・ミカ・バンド リリース日: 1974/11/5 レーベル: Doughnut Records/東芝EMI(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は10位でした。 メンバーの感想The End End  メロウで刺激的でカリビアンでアフリカンでアメリカンでブリティッシュで和風で壮大でかつこじんまりとしていて、この黒船はずいぶんと多様性に富んだものらしい…というか、これは“黒船がやってくる”作品ではなく、“黒船に乗って世

荒井由実『MISSLIM』(1974)

アルバム情報アーティスト: 荒井由実 リリース日: 1974/10/5 レーベル: Express/東芝EMI(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は26位でした。 メンバーの感想The End End  以前レビューした「ひこうき雲」に感じた少し鼻につくあざとさのようなものがかなり薄れていて、個人的にはこちらの方が楽しく聴けた。  「ひこうき雲」の時に書きそびれたことだが、やっぱり少し間抜けに聴こえるところがユーミンの歌唱の魅力だな…と思う。時折顔を覗かせる

四人囃子『一触即発』(1974)

アルバム情報アーティスト: 四人囃子 リリース日: 1974/6/25 レーベル: 東宝レコード(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は41位でした。 メンバーの感想The End End  まず何よりも、ジャケットが怖すぎる!!怖すぎませんか!?ゾクゾクする…  複雑な聴き心地の作品だけど、印象に比して実はめちゃくちゃテクいわけではない気がした。フレーズに何気なくインテリジェンスを散りばめるのが上手。これが適切な感想かどうかはわからないが、要所要所にポストロ

冨田勲『月の光』(1974)

アルバム情報アーティスト: 冨田勲 リリース日: 1974/4/12 レーベル: RCAレッドシール(アメリカ) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は93位でした。 メンバーの感想The End End  全編を通して、モーグらしい上品なのに太く芯の通ったオシレーターと弾力のあるフィルターの音色が本当に心地よい。  シンセサイザーをかじっている身としては、この音像の裏にどれだけの緻密な調整と忍耐が隠れているのか想像せざるを得ない。Pro ToolsはおろかMIDIや

シュガー・ベイブ『SONGS』(1975)

アルバム情報アーティスト: シュガー・ベイブ リリース日: 1975/4/25 レーベル: ナイアガラ/エレック(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は2位でした。 メンバーの感想The End End  どうも私は初期モノフェチらしい。任意のバンドやミュージシャンの作品に関して、1~2枚目の作品をフェイバリットに挙げることがとても多い。“目指しているもの”と“知らず知らず影響されてきたもの”、そして手癖が折り重なって生まれるザラッとした質感が好みなのだと思う

小坂忠『ほうろう』(1975)

アルバム情報アーティスト: 小坂忠 リリース日: 1975/1/25 レーベル: MUSHUROOM ⁄ 日本コロムビア(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は23位でした。 メンバーの感想The End End ボーカルのダブリングのアンニュイなカッコよさが存分に出ている。『黒船』あたりから新たなタームへの移行を予感させる作品が続いていた印象だったのだけど、このアルバムはそのムードをたたえつつ、円熟の凄みも同時に感じさせるような。地に足が着いているというか…

鈴木茂『BAND WAGON』(1975)

アルバム情報アーティスト: 鈴木茂 リリース日: 1975/3/25 レーベル: PANAM/ クラウン(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は61位でした。 メンバーの感想The End End  ストリーミングサービスには2017年のリマスター版しか無かったので、そちらを聴いた。明らかにリマスターによってモダンな響きを獲得している感じがあり、音像に対するコメントはなかなか困難だなと感じた。オリジナルと聴き比べてみたいな… ただ、マスタリングの違いを差し引い

矢野顕子『JAPANESE GIRL』(1976)

アルバム情報アーティスト: 矢野顕子 リリース日: 1976/7/25 レーベル: 日本フォノグラム(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は14位でした。 メンバーの感想The End End  誤解を恐れずに言えば、頭で作られている感じがしない。ピアノと心が同じところに在るというか、この人の中から溢れ出たものをダイレクトに浴びせられている感じがした。  めちゃくちゃ江戸情緒なのだけど、音階だったりそういう楽器を使っていること以上に、アンサンブルの構造から、広

細野晴臣『泰安洋行』(1976)

アルバム情報アーティスト: 細野晴臣 リリース日: 1976/7/25 レーベル: PANAM/ クラウン(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は16位でした。 メンバーの感想The End End  マスターピース!!!!!!!!!!!細野のアルバムの中でも、ずば抜けてこれが好き。 細野が“おっちゃんのリズム”或いは“一拍子”と呼ぶ、2:1のシャッフルまでいかないスウィング具合(そしてその具合が一定ではなく常に変化し続ける)のビートが、沖縄とニューオーリン

鈴木慶一とムーンライダース『火の玉ボーイ』(1976)

アルバム情報アーティスト: 鈴木慶一とムーンライダース リリース日: 1976/1/25 レーベル: エレクトラ / ワーナー・パイオニア 「50年の邦楽ベスト100」における順位は18位でした。 メンバーの感想The End End  これも『BAND WAGON』と同じくリマスターなんじゃないか?と感じたけど、どうなんだろう。CDとレコードどっちの音を配信しているかは流石にどちらも買わないとわからないか…  これはビーチボーイズをしっかり聴く前に敢えて言って残しておこ