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「新規事業はアイデア勝負」のウソ

新規事業は、いいアイデアから始まります。
でも、アイデアの目新しさだけで成功できるわけではありません。少なくとも、いま私が手掛けている2つの事業はそうです。
起業家はアイデア勝負と思われがちですが、それと同等またはそれ以上に大事なポイントをお伝えします。

その新サービス、あなただったら使いますか?


アイデアだけでは成功できないと述べましたが、当然、アイデアがおもしろくないとスタートラインにも立てません。よって始めに「いいアイデア」について述べておきます。

いま私は、自分で立ち上げた2つの事業を運営しています。

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フードジュエリー/FOOD JEWELRY
”罪悪感ゼロ”のギルトフリースイーツ<ブリスボール>の日本初の専門店。
砂糖・添加物不使用、グルテンフリーをコンセプトに、ドライフルーツやナッツからできた、しっとり、じゅわっ、カリッとした新食感スイーツを提案。

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ハイアルチ/High Alti
日本初の高地トレーニングジム。
標高2500mの高地環境を空間内に再現、酸素濃度が低い高地環境で細胞から鍛えます。高地トレーニングを効果・効率重視型の画期的なフィットネスとして提案。

私は、いい事業アイデアには2つの要素があると思います。
①まだ満たされていないニーズに応える新しさがあること
②自分が使ってみたいという実感が持てること

特に②は重要で、自分がユーザーになったと想定して心から「使ってみたい!」と思えるサービスは伸びます。逆に、「ロジカルには理解できるけど私だったら使わないな」と直感的に思うもの、つまり頭だけで考えたビジネスは筋が悪いです。

例えば、フードジュエリーは、お菓子のギフトを贈るときに、大切な人のカラダを想うような、体に優しいギフトがないと思ったのが創業のきっかけです。当時百貨店を歩いたときに、有名パティシエのおしゃれなお菓子はあっても、食に凝っている友達、カラダを鍛えることに夢中な友達など、健康志向の高い人たちプレゼントできるものが見当たりませんでした。かといってドライフルーツ等ではプレゼントとしては物足りない。そこで、ヘルシーかつ見た目も華やかななギフトスイーツというポジションが空いている!と思い、自分で食べる需要はあえて想定せず、贈答用に焦点を絞った戦略を採りました。

ハイアルチは「時短」がテーマです。当時、私自身が時間がないことを理由にジムに行くことができていませんでした。ジムでトレーニングを1時間、着替えとシャワーも入れると合計2時間コース。たかが2時間ですが、この2時間を定期的に捻出することに苦労し、結局行けずじまい。そんな中で高地トレーニングに出会い、低酸素環境を活かして効率的なトレーニングができる点は、アスリートだけでなく、私のような普通の人こそ魅力的に思うだろうと確信し、高地トレーニングを日常的なものとして世の中に広めたいと思い事業をスタートしました。

しかし、繰り返しですがこれらのアイデアはあくまでスタート地点です。一見するとこれらのアイデアで事業が成功したと思われがちですが、そんなことは全くありません。

譲ってはいけないポイントをいかに見つけるか


実は、2つの事業は運営方法が大きく異なります。
フードジュエリーは、工場や社員を自前で抱えています。一方でハイアルチはフランチャイズ方式で店舗を運営しており、店舗を持つことにこだわっていません。この違いには明確な理由があります。

フードジュエリーが販売するグルテンフリースイーツは、小麦を始めとするグルテンを含む材料と一緒に製造できないため、国内で生産できる工場がほとんどありません。つまり、製造がカギとなる事業でした。そこで、初めは場所を間借りしながらも、生産工程を一から作り上げました。

一方で、フードジュエリーのような自前での展開は、大変な時間と労力がかかるのも事実です。そこで、ハイアルチは店舗を作り込むことよりも、高地空間のプロデューサーとして世の中に高地空間を広げる方が重要だと考え、直営ではなくフランチャイズという形式をとりました。

事業には「譲ってはいけないポイント」があります。フードジュエリーの場合は製造、ハイアルチの場合は認知拡大でした。この見極めによって、自然と運営方法の違いが生まれたのです。

さらに「譲ってはいけないポイント」は、他社にはマネしにくい場合が多いです。よって、大変なことをあえてやる、と言い換えてもいいかもしれません。そのポイントを的確に見極めることは、アイデア創出と並ぶくらい重要な起業家の仕事です。

「実行」に対するリスペクト


もう一つ、事業を成功に導くために重要なのが「実行」です。

どんな優れたアイデアを思いつくことよりも、そのアイデアを形にした人が一番偉い、と私は思います。

例えば〇〇Payのような決済サービスは、アイデアや技術は多くの人が持っていたはずです。しかし、それらをつなぎ合わせて良いプロダクトを作り、普及のために資本を投下し続けることで、勝負が決まりつつあります。

ある事業アイデアを思いつく人が100人いたら、一歩を踏み出して事業化する人がせいぜい5人、そこから3年後まで生き残る人がいるかいないかだと思います。つまり、思いついたアイデアをどこまでやり切れるかこそが重要なのです。

事業を立ち上げた後の展開は、様々な選択の積み重ねで決まっていきます。商品・サービスの設計、メンバーの採用、提携パートナーの選び方、資本政策などなど・・・。選択肢は無限と言ってもいいかもしれません。これらは「実行」の中で積み重ねられるものですし、時にはセンスや運も求められます。

さらに言えば、先ほど述べた「譲ってはいけないポイント」も、実行の中でしか見えてこないものだと思います。始めから頭で考えてわかるのであれば、誰でも成功できます。そうではなく、刻々と状況が変わる中で、利益を出さなければ会社が潰れてしまう切迫感の中で、行動し続けることで見えてくるものだと思います。

いいアイデアはあくまでスタート地点です。アイデアを着実に実行に移し、日々の選択を積み重ねながら「譲ってはいけないポイント」を的確に見極める。これが起業家の仕事です。

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