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じぶん作詩/短歌 のようなもの

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#詩のようなもの

惑星よ恋

惑星よ恋

早起きできれば清々しくて
できぬとも二度寝が幸せなのと
タンポポみたいに笑う君はもう
土から育ちがちがうみたいだ

また今朝はどんな夢を見たのかい

数学なら僕らはねじれの関係で
隣にいても君の寝息は絵文字のよう

もう片っぽの靴下は見つかったかい

君はいつでもたのしいいきもので
自慢しようにも見出しが多すぎるさ

おかげで僕は寝不足すらうれしいとか
君は君はと
君が主語の生活もわるくないかもな

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くるくる貝

くるくる貝

相変わらず奇抜な柄が似合ってしまうきみの

ひろい肩やむねに付いてる貝や貝や貝や貝の

そのうちの一つに過ぎないとしても少なくとも

薄まったレモネードが回ってるいまはあたしの海だ

だからくるくる回って永遠に減らなくてこの時間が

続いてほしいのに続いてほしくない、なんで?

分かってるんだよそうして陽だまりみたいに笑う

ちゃん付けしてくれるさり気なく靴をほめてくれる

優しさを持て余して手も

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万華夜のほどろ

万華夜のほどろ

水彩画が淡くぼやけるみたいに、あたしの脚に一晩中絡んでいた温もりは夢のなかの出来事だった。

それはそれは美しくて、あたたかくて、甘くて、にがくて。そして存在が即ちすでに、嘘だった。

あたしは幻を見ていた。

ほてった紅で口づけしてオレンジワインの芳ばしさを深く深く海のいろに染めた明け方。

煌びやかな電飾に浮かび上がったのは、昨晩という名の喫茶店かバーであったかもしれない。

夜が溶ければ灯り

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未 来

これだけの掌を犠牲にして

得られると説かれる未来が

季節 何巡めぐった先にも 

先にも

見えなくたって

薄ら曇り空のした

今にも底の抜けそうな大通りを

慎重に慎重に

歩いていかなきゃならんのでしょう

止まない小雨をバケツに溜めて

ほらと見せる空想に頭傾けても

靴下は湿り気を帯びて

見えない雷が遠くで鳴って

わたしは

洗いたてのグラスを逆さにしたら

玄関口で待ちかまえる鬱屈の雫が

今日は落ちてこない 

何故

蒸発して漂っているのか

自分で呑み下してしまったのか