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みなさまのたなごころ撰集

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これは私だけの、と云いながら、その宝箱とやらをどうしても人の目前でぱっと開けて見せたくなるというのは、どうやら生来人間に根を張っている欲求らしい。たなごころ撰集だなんて、それっぽ…
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2024年1月の記事一覧

短篇小説【窓のない夜】

短篇小説【窓のない夜】

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ちびた鉛筆を最後まで使う為のキャップを、私はその時初めて見た。
シルバーの金具に小指の先位になった鉛筆が差し込まれている。
斜めに傾げたちゃぶ台の上、インスタントコーヒーの空き瓶の中に
それが無造作に3本突っ込まれていた。
初めて寺岡泡人(ほうじん)のアパートに行った時、
暖房器具の一切無い冷え切った部屋で私は、
その寂しげに光るシルバーのキャップをずっと見詰めていた。

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短編小説『屹立』

短編小説『屹立』

それは、中年の痩せた男が大木に背中を預け、立っている様な絵だった。何故"立っている"ではなく、立っている"様"なのかと言えば、その男が既に死んでいるからだ。
題名は『遺体』。
その男の胸にはナイフが深く突き刺さっており、そこから赤い筋が白いシャツの裾に向かって流れ、ズボンにまで伸びている。シャツの上に描かれた顔には絶望からの弛緩が見て取れた。静的だが、インパクトのある絵だ。嫌に生々しく、リアリティ

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