震える水 #2 魔振について
文章というのはなんでこう遅すぎちゃうんだろう。指を離れ、泡沫がむすびつきあってひとつの像を形成するころには、もう思考のプロセスは終わっていて、旅行から帰ってきた家みたいになっている。
それにしても「思考」という言葉は大キライだ。何を偉そうに、言い表したつもりになっているのか。【窓辺から西日が刺してくる】これが俺の思考だ。ソレ、そのまま、今みたいに言葉にすることができたなら。ギターをひくひと、ピアノをひくひと、スプレーを噴射するひと、きっとみんな、同じように速度のことを考えて