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「ミュート解除」の意味がわからない人の気持ちをどこまで理解できるか?

先日オンライン研修を実施したときの出来事です。

オンラインでグループ討議を行うのでその際にマイクの「ミュート」を解除する必要があるのですが、「ミュート解除」を言ってもわからない人もいるので「左下のマイクのマークが赤くなっていて斜め線が入っていると思いますが、そのマイクを押してマイクが白くなるようにしてください」と説明しました。

そしてほとんどの参加者は問題なくミュートを解除してグループ討議に参加していたのですが、1人だけミュートのままの人がいました。

こちらの声は聞こえているので、「ミュートの解除の仕方わかりますか?」と話しかけたところ、相手は画面の向こうで「わからない」と言わんばかりに手を横に振っているだけです。

そこで、「ミュートの解除」という言葉が理解できないのだろうなと思って「左下にマイクのマークはありますか?」と問いかけたところ、それでも手を横に振るだけで何のリアクションもありません。

しまいには手で「×」マークをつくり、「もういいよ」という表情でソッポを向いてしまいました。

結局この方は最後までミュートを解除することができず、グループ討議に参加できなかったのですが、後で振り返ると相手が理解できていないことに対する認識がそもそも違っていたことに気づきました。

こちらとしては「ミュートの解除」という言葉の意味がわからない、ミュート解除の操作がわからない、と思い込んでしまい、一生懸命言葉の意味の説明と操作方法の説明をしていましたが、相手が理解できていないのは「それ以前のこと」だった可能性があります。

ご本人と話をしたわけではないのであくまで推測になりますが、おそらくZOOMを使ったオンライン会議の仕組みそのものが理解できていなかったと思われます。

「講師の声を聞くだけではなく自分も喋ることができる」ということがわからないとそもそも「マイクを操作する」という行為が何を指しているのかイメージできません。

イメージできないことに対していくら言葉の説明や操作の説明をしてもチンプンカンプンでそのうち「訳が分からないからもういい!」となってしまいます。

そんなわけで、こちらがつい「これぐらいわかっているよね」と思って接してしまうと、相手は「そこが既にわからないんだよ」となって話が全く噛み合わなくなる恐れがあります。

こういうケースは本来は隣で手取り足取り教えないといけないのですが、最初からオンラインだとどうしても限界があり、一定数の「ついて来れない人」が現れてしまいます。

ただ「わからない人」はこちらの想像以上に「わかっていない」ということがあるので、教える側の人は「丁寧に説明すればわかる」ではなく、「わからない人の気持ちなんてこっちには簡単には理解できない」と思ったほうが良いかもしれません。

相手が「なぜわからないのか」を自分の基準で決めつけずに、謙虚に相手に向き合うことで、初めて相手に「わかっていただく」ことができるようになると思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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