自律神経の乱れには「深呼吸‼」だけど、そもそも深呼吸が難しい…

こんばんは!理学療法士の「あらい」です。

 今回は自律神経と呼吸のお話です。

 自律神経の乱れには深呼吸をして”副交感神経”を優位に、リラックスして落ち着きましょう!というニュアンスをよく目にします。確かに呼吸の深さは自律神経系に大きく関与しています。しかし自律神経が乱れている人はそもそも”深呼吸しにくい状態にある”のをご存知でしょうか?「上手く吸えない吐けない」、「逆に息苦しい」なんて経験ある人もいると思います。また過度な努力的呼吸は、ストレスホルモンの分泌を促してしまう可能性もあるので逆効果になりかねないのです。

えっ!?深呼吸しにくい状態って…どういうこと!?

結論:深呼吸しにくい姿勢パターン(筋肉・皮膚の形状)を呈しているから、深い呼吸が出来ず、常に交感神経優位になりやすい状態に陥っている。結果的に憂鬱気分が続いたり、体が重い、異常な動悸を感じたりと症状が現れるのです。これは”自律神経の乱れ=自律神経失調”の1つの側面にすぎませんが、姿勢と呼吸には関連があります。1つ1つ解説していきましょう。

そもそも自律神経が乱れた状態とはどういう状態なのか?

 自律神経とは?内臓機能から呼吸・消化に至るまで生命維持に関わる重要な器官を支配する神経群です。交感神経と副交感神経(迷走神経)の2つに分けられ、お互いがバランスよく表裏一体の関係を構築しています。この±0の均衡が崩れた状態を”自律神経が乱れた状態"と定義しています。例として、交感神経が常に優位なせいで睡眠不足であったり、本来交感神経優位な時間帯に副交感神経が優位なせいで、仕事中でもボーっとして頭が働かなかったりと症状は様々です。

 慢性的に均衡がとれなくなった状態を”自律神経失調”といい、常に交感神経が優位な場合の副交感神経を優位にする手段の1つとして「深呼吸」を用いるわけです。

自律神経と呼吸

交感神経 = 浅くて速い呼吸(胸式呼吸主体)

副交感神経 = 深くてゆっくりした呼吸(腹式呼吸主体)

※必ずしも胸式主体だから深く呼吸が出来ていない腹式だから深いというワケではない。

 深い呼吸を意識するには"腹式呼吸"がススメられています。これは胸式に比べ、腹式の方が多く空気を取り込めるからです。多く空気を取り込める分深い吸気(吸う時)となり、必然的に呼気(吐くとき)も長くできるためすすめられています。しかしこの”腹式呼吸”も姿勢により制限を受けやすく、初め違和感を覚えたり、苦しい感じを受けたりします。

「呼吸筋コンディショニング」で姿勢パターンを変え、腹式呼吸を意識することで”真の深呼吸”を行う!

さぁ、ここまで長々と前置きを書いてきましたがいよいよ核心です。「じゃあ結局どうすりゃいいんだよ…」答えは”正しい姿勢で正しい皮膚・筋肉の状態を創り出す”ことです。

画像1

上の写真をご覧ください。左右の写真いかがですか?左は何となくいい姿勢、右はリラックスした姿勢ですね。どっちが深呼吸しやすそうですか?左の姿勢は固いし窮屈そう…比べて右はリラックスしているから深呼吸しやすそう!と思われている方、実はこれ左の方が呼吸が楽になるんです。

 写真では分かりずらいですが、左に比べ右では、首が大きく前に突き出しています。加えて背もたれの使用で猫背となり、腹部が圧迫されている状態です。この姿勢では首・肩の筋肉は頭の重さを支えるために常に緊張、硬くなることで上部肋骨の動きを制限し呼吸を妨げます。腹部は圧迫され下部肋骨の動きを制限し、腹式呼吸の阻害とその分胸式呼吸の誘発に繋がります。

 結果ダブルパンチで上部下部ともに肋骨の動きを制限し、浅く早い呼吸で代償するしか方法がなくなるのです。また皮膚・筋肉も姿勢の影響を受けます。不良姿勢が慢性化することで、本来は動いていたはずの皮膚・筋肉も動かなくなります。すると筋肉は短縮、皮膚は滑らなくなり、姿勢の固定化を助長し深呼吸できない姿勢パターンを完成させます。

 写真は例ですが、自身のスマホ操作時やデスクワーク、長時間立っている姿勢いかがですか?自律神経が乱れは不良姿勢からはじまっているのです。

 でも、正しい姿勢を保持するのって難しくない?その通り!大変なんです。正しい姿勢を常に意識し続けるのは不可能です。そんな時に活躍するのが「呼吸筋コンディショニング」です。これは姿勢パターンを固定化している皮膚・筋肉に手で熱を加え、一時的にピンポイントで動きを良くする方法です。動きを良くするうえで熱は必須であり、呼吸の動きを妨げない手の熱はまさに最適と言えます。大部分を変えるのは時間がかかるけど、ピンポイントで変えるのは即座に可能なのがこの手技のおすすめなところです。動きやすくなった部分は吸気を妨げず、より深い呼吸を可能にします。さらに一定時間効果は残り続けるため、呼吸しやすい状態が続くのです。

※ピンポイントで効果が高い位置とコンディショニングは動画をご覧ください。

まとめ

 自律神経の乱れ・自律神経失調には腹式呼吸を意識した深呼吸が有効である。しかし姿勢不良の影響から皮膚・筋肉が深呼吸を邪魔する。そこで!「呼吸筋コンディショニング」を行い邪魔している皮膚・筋肉を動きやすくする。結果、腹式呼吸を意識した深呼吸ができるようになり、継続していくことで自律神経の乱れ改善につながる。

 少し長くなりましたが以上です。自律神経系トラブルはもはや現代病と言えるレベルで増えていますね。この方法で少しでも困っている人が楽になることを願っています。 あらい





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?