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言う事を聞けない子どもへの対処法:子どもはマネが得意

子育てをしていると、子どもはいかに言う事を聞けないか、実感すると思います。

そもそも言葉を理解できない時期は言う事が理解できないのは当然ですが、話せるようになった・言葉を理解できるようになった子であっても、こちらの言う事・指示に従うのは難しいと感じます。

そんなとき、大人は「なんで言う事聞けないの!」と言ってしまったり、イライラしてしまいますよね。

どうして子どもは大人の言うことを聞けないのでしょうか。

大人はどのように子どもと関われば良いのでしょうか。

今回はそんなことを考えてみたいと思います。

この記事を読むと、
●子どもの「まねる」という能力のすごさに気付き、活用の仕方がわかる
●子どもに言う事を聞かせるのを(良い意味で)諦められる
●子どもに対して少しおおらかな気持ちで接することができる


言葉を理解することの難しさ

子どもは1歳前後で言葉を話し始めます。

始めは単語を発することから始まり、少しずつ2語文、3語文と長い文を操ることもできるようになっていきます。

では、大人と同じように言語を操れるようになるのはいつ頃なのでしょうか。

4歳以降になると,言語コミュニケーションによってヒトの行為の背後にある欲求や信念(心の理論)を理解できるようになり,子どもの表象機能(言語や思考のような文の構造や概念を構成する機能)や実行機能(特に抑制制御機能)が徐々に獲得され,同年代の友達との関係を築きながら行動範囲を拡大していく。
(大城昌平・儀間裕貴編:子どもの感覚運動機能の発達と支援 発達の科学と理論を支援に活かす, P86, 2018)

個人差もあるでしょうが、言語コミュニケーションによる象徴的なものの思考が可能になるのは、4歳以降のようです。

といっても、4歳ですぐに満足のいく言語操作や言語理解が可能になるわけではなく、小学校での教育などを通して、長い時間をかけて獲得していくものだと思います。

少し毒を吐きますが、Twitterなんかを見ていると、(おそらく)大人であっても満足のいく言語理解ができていない方もいますよね。

大人の言うことを聞くということは、「〇〇しなさい」という言葉から、大人が何を要求しているのか、どう行動することが望ましいのか、その行動をとった結果どうなるのか、といった様々なことを考え、予測する必要があります。

そう考えていくと、大人の言うこと、つまり言語による指示に従うというのは、子どもにとって非常に難しいことだというのがわかるのではないでしょうか。


子どもはマネが得意

子どもは大人の言うことを聞くのが苦手というのは理解いただけたと思います。

では、どうやって子どもに望ましい行動を促したら良いのでしょうか。

そのためには、子どもにとって何が簡単なのか・得意なのかを理解する必要があります。

すでに見出しに書いていますが、子どもはマネすることが得意です。

生後すぐでも、大人の顔(口の形)をマネる、新生児模倣がみられます。

生後6ヶ月頃になると、「バイバイ」などの手の動きをマネる、自動的模倣がみられます。

こういった『模倣』が可能なのは、目で見た情報(大人の表情や動き)を処理し、自分の体の動き(体性感覚や内部モデル)に当てはめることができるからです。

これはかなり高度な能力なのですが、子どもは生後すぐにこのような能力を備えているということなのです。

そもそも、言語(発話)の獲得も大人のマネをすることから始まります。

マネができなければ、大人の言うことを聞くための基盤すら作れないのです。


マネする能力をどう活かすのか

「人のふり見て我がふり直せ」という諺があります。

他者が望ましい行動をしていれば自分に取り入れ、他者が望ましくない行動をしていれば自分も同じようなことをしていないか考えなさい(していれば直しなさい)というような意味ですね。

子どもにはこの考えに基づく指示が有効なのではないかと思います。

子どもの場合、望ましくない行動を禁止するというのは難しいです。

何かに興味を持ってしまったら最後、それがどんなに汚いものだろうが、危ないものだろうが、興味のままに触ろうとしたり食べようとしたりします。

「ダメだよ」と言っても止めることはできません。

ここで『マネする』という能力を活用するのであれば、全く違うことを大人がやっているのを見せてマネさせるというのはどうでしょうか。

大人が望ましい行動(おもちゃで遊ぶなど)をしているのを見せて、マネするように誘導する、ということです。

「そんなことやってるわ!」という親御さんは多いと思いますが、これが理論的に理にかなった関わり方だというのを理解していただけると幸いです。


まとめ

子どもは言うことを聞くのが苦手ということを書いてきました。

一方で、子どもはマネすることが得意です。

マネする能力を活用するのであれば、望ましくない行動を禁止するよりも、望ましい行動に導く(マネさせる)ことの方が、子どもにとって簡単だという原則に則って考えると良いと思います。

逆に考えると、大人の望ましくない行動も子どもは見ていて、マネしてしまうということです。

大人が悪いと知りながらもやってしまう悪いこと。例えば、信号無視とかでしょうか。

そんな大人の行動も子どもは見ています。

「信号は守らなきゃダメだよ」「赤で渡ったらダメだよ」と言う前に、大人が自分の行動で示し、望ましい行動をマネさせてあげたいですね。


もっと学びたい方へ

子どもの感覚運動機能の発達と支援 発達の科学と理論を支援に活かす
本記事で引用した書籍です。子どもの発達について、網羅的に書かれています。
前半は発達について、後半は疾患についてという構成になっています。
専門書ですが、子どもの発達支援に関わる方は必読だと思います。


おわりに

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