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クライアントの本当のニーズに迫る方法②ークライアントの反応を見極める

前回から、理学療法士がマーケティングを学ぶと、臨床の能力が上がるということを書いています。

前回の記事を読んでいない方は、そちらから読んでいただけると幸いです。


繰り返しになりますが、マーケティングを熟知している、臨床にマーケティング思考なんて必要ないと考えている、自分の臨床は完璧だと考えている、といった方は読む必要のない記事となっております。

前回の記事では、マーケティングの分析手法であるPEST分析を流用して、クライアントが置かれたマクロな環境を分析する方法を考えてみました。

今回は、クライアント個人に焦点を当て、介入中の反応などから本心を見極める方法について考えてみたいと思います。

この記事を読むと、
✅️マーケティングというのがどういうものなのか、大枠がわかる
✅️臨床場面でクライアントの(本当の)希望や好みを把握できる
✅️クライアントに最適な介入方法を見つけられる


クライアントの反応を見極める

いきなりですが、ダイレクトマーケティングという言葉をご存知でしょうか?

Wikipediaによると、

1961年にレスター・ワンダーマンが、科学的な広告原理に基づき、効率的な販売方法として世界で初めて提唱したもので、従来の広告の目的である伝えることよりも、レスポンス(反応)を獲得することに主眼を置いている。そのため、イメージ広告よりもセールス色が強いと言われており、通信販売業界、金融、IT、自動車業界など元々顧客からの反応を必要とするビジネスに適用されることが多い。
(Wikipedia)

と、書かれています。

例えば、ダイレクトメールを送付し、その反応を見る。それによって顧客を絞り、顧客のニーズに合わせたマーケティングを行える、というようなものです。

ダイレクトマーケティングは「企業が顧客に対し、直接的にコミュニケーションを図ること」と説明されたりもします。

つまり、顧客に対して何らかのコミュニケーションを図り、その反応を見て、より良いマーケティングやセールスを行おうとするのがダイレクトマーケティングであると理解して差し支えないのではないかと思います。


クライアントに対してダイレクトマーケティングを行う

上で書いたような、企業が顧客に対して行うダイレクトマーケティングでは、直接会ったり話したりするよりは、ダイレクトメールなどでその反応を回収率などから調べるということが多いように思います。(色々な手法があるようですが)

一方、我々理学療法士は、目の前のクライアントと直接向き合います。

目の前のクライアントのニーズを把握し、より良い介入を選択していく。

そのためには、ダイレクトマーケティングの考え方が応用できるのではないかと考えます。(ちゃんとマーケティングの勉強をしている人には適当な事を言って怒られるのかもしれませんが)

前回の記事で書いたように、まずはクライアントが置かれた状況や環境をマクロな視点で分析します。

そうすることで、クライアントが伝えてくれるニーズが本人の本心なのか、環境によって言わされているものなのか、ということを考えます。

このような分析を元に、クライアントが求めているニーズに当たりを付けます。

そしてクライアントが言ってくれているニーズを踏まえつつ、介入方法や練習内容、方針について提案します。

ここでまず、クライアントの反応を注意深く観察しなければなりません。

多くの場合、リハビリテーションとか理学療法といったものを受けるのは初めてという方が多いはずなので、我々が説明すると、「あぁ、そういうものなのかな。それで良いですよ」となってしまう場合が多いものです。

ここでクライアントが持ったちょっとした違和感に気付く必要があります。

本人が持っているニーズとこちらの説明した内容が食い違っていると、言葉では「それで良いです」と言いながらも、表情や身振りにちょっとした違和感が見えるものです。

ここで違和感に気付けると、方針を修正しながら介入を始めていけると思います。


介入しながらPDCAサイクルを回す

いきなりですが、PDCAサイクルはご存知ですか?

PDCAとは、Plan、Do、Check、Actionの頭文字を取って並べたものです。

計画(Plan)を立てて実行(Do)し、その効果を検証(Check)し、改善(Action)した計画を再度実行し、と繰り返していくことをPDCAサイクルを回すと言います。

ダイレクトマーケティングのメリットの一つとして、このPDCAサイクルを回しやすいというものがあります。

理学療法場面、クライアントのニーズの分析の話に戻すと、介入を行う中でPDCAサイクルを常に回し、クライアントのニーズをより詳細に分析していくことが大切だと考えられます。

最初に決めた方針である程度の納得が得られたとしても、実際に介入する中で、クライアントの中で違和感が芽生えてくることは多いと思います。

そのようなとき、すぐに気付き、方針を修正していくことが何よりも大切なことだと考えます。

かなり極端な例を挙げますが、当初はあまり運動するモチベーションがなく、受動的な徒手療法を求めていたようなクライアントだったとします。

徒手療法を中心とした介入を行っていく中で、クライアント自身が(これを受けて、家に帰れるのだろうか?)という疑問を持ち、違和感を覚えたとします。

この違和感を放置したまま徒手療法を続けていたら、違和感は大きくなっていくことでしょう。

このように違和感が生じたのは、恐らくクライアントのニーズが変化したからですね。

このようなニーズの変化に気付くためには、常に理学療法士が準備し、注意深く観察している必要があります。

例えば、クライアントの表情であったり、何気ない会話の中で探るように心がけたり、病棟での生活状況を把握したりなど、様々な要素から気付いていくことが必要となります。

無意識に行っている理学療法士は多いと思いますが、このようなところにもマーケティングの考え方が応用できると考えます。


まとめ

前回に引き続き、マーケティングの考え方を応用して、クライアントのニーズを把握する方法について考えてきました。

今回は、ダイレクトマーケティングという考え方を参考に、PDCAサイクルを回しながら個別のクライアントのニーズに迫る方法を考えました。

クライアントは自分自身の本当にニーズに気付いていないことも多く、気付いていても言葉にすることが難しかったりします。

そんなクライアントに対して、本当のニーズを引き出せる、ニーズに気付けるようにサポートできる、というのは理学療法士にとって重要な能力の一つではないでしょうか。

私自身もまだまだ勉強中ですが、マーケティングを学ぶことは、このような面で理学療法に活かせる、臨床能力を上げることができると考えます。


より深く学びたい方へ

ザ・マーケティング
ダイレクトマーケティングといえば本書、というくらい有名な書籍のようです。
ビジネス向けに書かれた書籍ではありますが、考え方は非常に参考になるのではないでしょうか。
起業とかを考えている方は、絶対に損しない内容ではないかと思います。









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