女の告白/真野愛子
ホントはお化け屋敷なんて全然怖くない。
けど、怖がったりする。
その方がかわいいからだ。
わたしを舐めないでほしい。
それくらいの演出はするのだ。
夏の恋はすべて女たちの仕掛けた罠だ。
あなたが仕掛けたつもりでも、女はずっと前から狙っている。
弱気な自分とサヨナラして、精一杯の女優だ。
この夏のアクシデントはシナリオ通り。
あなたはヒロインに出会ったの。
この先、どんなストーリーを見せてくれるの?
そんなふうに振る舞いながら、この出会いがひと夏の恋に終わらないように次の一手を打つ。
これが女の本性だ。
わたしは9月になれば秋服を買うし、髪を少し切る。
メイクも変えるし、ヨガでカラダも磨く。
そして、あなたのことをもっと好きになっているだろう。
このシナリオの行く末は、ハッピーエンドでなくていい。
もちろんバッドエンドなど望んじゃいない。
望むのは、この物語がずっとずっと続くことだ。
あなたが仕掛けたつもりでも、じつは女が仕掛けている。
理由はひとつ。
物語をずっとずっと続けるため。
そしていつか思いがけず、あなたの仕掛けた罠に落ちてみたい。
これが女の本音だったりする。
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