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この料理家のレシピが天才すぎる③今井真美さん編/高山惠

 自分の子どもについて「男の子が2人います」と伝えると、よく言われる言葉があります。
「食べ盛りで大変でしょう?」

【高山惠 プロフィール】
ライターとして現在は雑誌「DIME」「BE-PAL」(小学館)、「週刊プレイボーイ」(集英社)、他さまざまなWEB媒体で執筆。
フードコーディネーターの資格を取得し、「食」のコーディネートも行う。

 確かに男の子がいると成長期にご飯を何杯もおかわりをして、炊飯器が空になるといった家庭は多いと思いますし、実際それが多数派なのかもしれません。しかし我が家は2人とも小さい頃から食が細く、今もご飯のおかわりはほぼしません。

 特に大変だったのは長男。幼い頃から重度のアレルギー体質で、卵や生魚、魚卵、フルーツ類などあらゆる食べ物でアレルギー反応を起こしていました。それもあって本人もあまり食に対して楽しいイメージが持てなかったのか、幼い頃は私がつくった料理に箸をつけない日はしょっちゅう。小さい声で「いらない……」とつぶやくことが日常でした。

初めてのオリジナル料理に子どもは箸をつけない

 今でこそアレルギーもかなり改善して私が作ったものも喜んで食べるようになりましたが、当時は作っても作っても拒絶されることにものすごい絶望感を抱いたものです。料理が得意という思い込みも、フードコーディネーターとしての資格も、子どもには無力でした。特に見たことがないメニューや香辛料、ハーブなどは嫌がられます。

 そんな子どもたちが喜んで食べるのが、料理研究家リュウジさんのレシピ「無限ニンジンマヨサラダ」です。(https://bazurecipe.com/2020/05/19/%E7%84%A1%E9%99%90%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%A8%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%80/)

 リュウジさんはこのレシピについて「細切りニンジン150g、ハム3枚、マヨ大2半、うま味調味料4振り、塩小1/5、思ってる3倍の黒コショウ入れ混ぜるだけ!」とTwitterで書いていましたが、本当にそれだけでできます。味付けはマヨネーズと味の素、そして黒コショウだけなのに、クセになる美味しさ。これはリュウジさん的には推奨していないことだと思いますが、調味料は目分量でも十分美味しいです。私はこのレシピに関しては、あまり真面目に計量していません。

ニンジンサラダ
▲これ、クセになります!

 フードコーディネーターの勉強をしていた時、私はとにかくオリジナリティがあって、ほかの誰もが考えつかないようなレシピばかりを目指していました。でも子どもは思ったよりも保守的で、見たこともない料理は嫌がります。逆にこういった「無限ニンジンマヨサラダ」のようなシンプルな料理のほうが、ずっと喜ばれるのです。

料理家・今井真美さんのローストビーフに挑戦!かたまり肉がオーブンで焼けるしあわせを実感!

 シンプルな料理といえば今一番注目しているのは、料理家・今井真美さんです。今井さんは2022年2月に『毎日のあたらしい料理』(KADOKAWA)を出版されていますが、こちらが初となる料理本。新進気鋭ともいえますが、ご自身は10年以上前から無記名で企業のレシピ監修を行なうなど、料理家としては豊富なキャリアを持っているそうです。

 私が今井さんのレシピに惹かれるのは、美味しそうなかたまり肉のレシピがたくさんあること。通常かたまり肉の調理は難しく、やわらかくジューシーに仕上げるには低温調理か、遠赤外線効果のある炭焼きなどでじっくり焼く必要があります。家でかたまり肉を美味しくつくるには、低温調理ができる「低温調理器」が必須だよな……と購入を検討していたある日、私の目に飛び込んできたのが、今井さんのnoteで公開されている「たとえ片手間でも作れるローストビーフ」でした。
(https://note.com/imaimami/n/n98add1fffc40)

 加熱は100℃のオーブンでお肉の片面を35分、ひっくり返してさらに35分加熱。おしょうゆなどの調味料につけて冷蔵庫で冷やし、食べる直前にフライパンで表面に焼き色を付け、切り分ければ完成! 低温調理器がなくても、オーブンで簡単にできちゃうのです。

ローストビーフ過程
▲両面35分ずつオーブンで焼いた状態

 私はローストビーフが好きで、これまで牛肉のかたまり肉を買ってはいろいろなレシピを試してみましたが、そのたびに失敗の連続! 火が入りすぎていたり、明らかに生っぽかったりと、ちょうどいい火加減にいつも苦労していました。購入する肉によっても火加減の具合は変わってくるだろうし、仕方ないかな……と思っていたのですが、今井さんのレシピでつくると、どのお肉でもまったく外さない。いつもちょうどよく火が通り、ロゼ色のローストビーフが完成するのです。

ローストビーフ
▲子どもたちに大人気! あっという間に食べちゃいます

 で、このローストビーフは食に保守的な子どもたちもよく食べます。究極にシンプルな料理なので、躊躇なく食べられるのでしょうか。
 ほかにも今井さんはnoteで豚肉や鶏むね肉など、さまざまなかたまり肉を使ったオーブン料理を紹介しており、どれも本当に美味しい。子どもたちも大好きです。私は今井さんのレシピに出会って、低温調理器の購入を見合わせています。なくてもオーブンで十分美味しくできちゃうので。

 あなたのお宅でも、かたまり肉のオーブン料理、ぜひいかがですか?

 次回は、引き続き今井真美さんのレシピの中から、週に1度は作っているくらい大好きで家族にも好評の「えのきの素揚げ」と、もう一人大好きな料理家のレシピをご紹介します。

つづく


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