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小説

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2024年3月の記事一覧

村上春樹 ねじまき鳥クロニクル第1部~第3部

村上春樹 ねじまき鳥クロニクル第1部~第3部

政治や大衆に潜む悪と善のお話。主人公オカダトオルを取り巻く物語が過去と現在、複雑に絡み合った個性的な登場人物との出会いによって少しずつ進んでいく。ねじまき鳥とは何か、電話をかけてくる謎の女性、戦争時代の満州での壮絶な物語。過去から現在に託された善に、奪われた妻を取り返すために必死に抗い続ける主人公の姿が印象的だった。

川上未映子 乳と卵

川上未映子 乳と卵

名前を持たないこの作品の中の「私」が主人公ですらすらと進んでいくドラマチックな作品。3人の女性の心情がそれぞれしっかりと描かれている。名詞の比喩が独特で面白い。

谷崎潤一郎 痴人の愛

谷崎潤一郎 痴人の愛

私とナオミが知り合い、一緒に暮らし始める明治時代のラブストーリー。
ナオミは男遊びが酷い浮気性なのだが手放したくない私は何度も許してします。恋は盲目という言葉を事細かに表現されていて二人の行方を読んでいくのが興味深かった。

村田紗耶香 殺人出産

村田紗耶香 殺人出産

書店に並んでいた文庫本の作品名のインパクトと表紙の面白い絵に惹かれて購入。短編集。特に殺人出産はグロテスクなのだけれども美しいそんな不思議な世界観の作品だった。殺人衝動を持つ姉と私を取り巻く世界でストーリーは進んでいく。10人子供を産んだら自分の嫌いな人間を1人だけ処刑してもいいという事が許された狂った世界線。少子高齢社会の日本、遠くない未来かもしれない。

村上龍 限りなく透明に近いブルー

村上龍 限りなく透明に近いブルー

中学時代、国語の教科書で芥川賞作家についていたのを思い出し、購入。しかし題名と知名度からは想像できないグロテスクな内容だった。主人公のリュウは薬物漬けの日々の異常な日常を客観視していて最後に考え込んでいた事すべてが壊れてしまう。その時の眼下の景色はまさに限りなく透明に近いブルーであった。

尾崎世界観 裕介

尾崎世界観 裕介

僕の好きなバンド・クリープハイプが出来る前のお話。
尾崎さんはぶっ飛んでいる。クリープハイプの歌詞以上に人間味があって面白い。軽く閲覧注意かもしれない。