neco_sukicute
日々の備忘録
面白いと思った小説のレビュー
眠い国、日本。でも眠れない国、日本。 大学生のシンは図書館で見かけた “ ニューヨークの危険な歩き方 ” に興味を惹かれ、一人でニューヨークへと旅立つ。HAZARD “ ヤバい所 ” へ行きたい。平和ボケした眠たい日本はもううんざりだ、とにかく刺激が欲しかった。 シンはニューヨークで狂った二人の友達を作る。二人は違法なドラッグを混ぜて作られたアイスクリーム、KOOL MANを販売していた。それは少し青っぽい、通常よりも粘り気のある不気味な見た目をしていた。初めは動揺していたシ
昨日祖母の家にいる猫の長く伸びた爪を切ろうとした。後ろ足はそんなに伸びていないのだが両手に関しては伸びすぎており、肉球に爪がくい込んでしまっている。軽く撫でたあと、ハサミで切ろうとすると、ガブリ。一瞬の出来事だった。痛かったが、痛みを押さえ込んだ。ごめんね切れなくて。君が怖いのよ
ハイブランドの服が欲しくなる。はんだごてで無理やり直列にされた思考回路のようにそのロゴが付いている服が欲しくなる。メルカリで偽物だと分かっていて購入する私を傍から見て奇妙だと思う人もいるだろう。辞められないのだ。止まらないのだ。stopハイブランド。
哀しい愛の物語。みんな愛に飢えていた。緑と直子の三角関係、僕はどうすればいいか。考えた先の答えとは。
一人は本当に楽だよ。煙草を吸う渡部の言葉は灰になった煙草と共に虚しく宙に舞う。彼女が出来たから煙草を辞めた僕と、彼女が出来なくて煙草を辞めない渡部はまるで違う惑星の住人のようだ。彼は就職と共に上京して変わってしまった。
いつもお店でカーテン越しに見える母の姿。母は何か良くないことをしている。小学生の「私」から語られる物語は、小学生が認識している数少ない語彙で表現されており、比喩や例えも独特だった。主人公目線で語られるが、どこか主人公には感情移入することが出来ず、小学生の知らない大人のきれいではない世界を知っている僕は後ろめたさが終始付きまとう。
小さな光の箱 、コンビニエンスストアで18年間アルバイトとして勤務する古倉恵子は合理的で機械のようなコンビニ人間である。彼女は昔から世の中の「常識」が分からない。そこには一種の不気味さもある。結婚していないことが異常といわれた彼女はある日、白羽という社会不適合者男と利害が一致することで同棲する。やがてコンビニのアルバイトを退職した彼女には生きる意味を見出すことが出来ず通りかかったコンビニで勤務してしまう。そこには狂気的な彼女の姿があり、常識にとらわれないコンビニ人間の姿があっ
政治や大衆に潜む悪と善のお話。主人公オカダトオルを取り巻く物語が過去と現在、複雑に絡み合った個性的な登場人物との出会いによって少しずつ進んでいく。ねじまき鳥とは何か、電話をかけてくる謎の女性、戦争時代の満州での壮絶な物語。過去から現在に託された善に、奪われた妻を取り返すために必死に抗い続ける主人公の姿が印象的だった。
中学時代、国語の教科書で芥川賞作家についていたのを思い出し、購入。しかし題名と知名度からは想像できないグロテスクな内容だった。主人公のリュウは薬物漬けの日々の異常な日常を客観視していて最後に考え込んでいた事すべてが壊れてしまう。その時の眼下の景色はまさに限りなく透明に近いブルーであった。
書店に並んでいた文庫本の作品名のインパクトと表紙の面白い絵に惹かれて購入。短編集。特に殺人出産はグロテスクなのだけれども美しいそんな不思議な世界観の作品だった。殺人衝動を持つ姉と私を取り巻く世界でストーリーは進んでいく。10人子供を産んだら自分の嫌いな人間を1人だけ処刑してもいいという事が許された狂った世界線。少子高齢社会の日本、遠くない未来かもしれない。
私とナオミが知り合い、一緒に暮らし始める明治時代のラブストーリー。といったら恋愛ドラマとなんら変わりないあらすじになってしまうので訂正しよう。ロリコンの私と淫乱娘とのやばい生活記録だ。 ナオミは男遊びが酷い浮気性なのだが手放したくない私は何度も許してしまう。恋は盲目という言葉を事細かに表現されていて二人の行方を読んでいくのが興味深かった。
名前を持たないこの作品の中の「私」が主人公ですらすらと進んでいくドラマチックな作品。3人の女性の心情がそれぞれしっかりと描かれている。名詞の比喩が独特で面白い。
僕の好きなバンド・クリープハイプが出来る前のお話。 尾崎さんはぶっ飛んでいる。クリープハイプの歌詞以上に人間味があって面白い。軽く閲覧注意かもしれない。
親知らずを抜いた。かつて、奴は私の左の奥に奇怪にも横向きで佇んでいた。空気が読めない奴だ。口の中は砂漠のように乾き、親知らずは私の口の中で悲鳴をあげていた。一時間の時が経ち、やっとの事で奴は私に別れを告げた。あれから2日経った今でも痛みにうんざりしながらこの文を書いている。