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TANKA

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現代短歌。過去や現在や未来のことを文字にする。漫然とだらだら書きたくなかったので、「素材:キャンバスにアクリル絵具」のような括りを文字の表現にも設けたいと思った。
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#短歌

現代短歌 《どちらも選ばず》

現代短歌 《どちらも選ばず》

天井の模様を辿る余裕とか時間の流れ大切にしたい

横たわり明るい過去と暗い過去照らし合わせてどちらも選ばず

長い夢見ている時間過ぎてゆくここから出たいと思いながらも

この家は放っておけば朽ちてゆく手放す時も遠くないと知る

安物の服でもその人次第なら私は「工夫」と手を繋ぎたい

昔より燻んだ色が似合う顔今の自分も嫌いではない

ピンクにも色んなピンクがあるように正解なんて無いに等しい

長いこ

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現代短歌 《「大好き」を伝えても》

現代短歌 《「大好き」を伝えても》

飛行機で行くなら一時間とちょっと その距離がとても遠くに感じて

「大好き」を伝えてもまだ伝わらぬ この想いの先覗き込んでは

君と見たあの景色 汗 日差しの強さ 忘れることのできない時間

何もかも投げ出してすぐ会いたいと思う心にそっと蓋をする

あなたにはあなたにしかない時間とか色とか音とかあるのを知ってる

流れ星つかまえてもまたすり抜けて私のものとならない自由

この想い マーブル模様にと

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現代短歌 《青空の如く》

現代短歌 《青空の如く》

「会いにいく」そう言ったままそのままで過ぎゆく時に寄りかかる私

いついつもあなたの描く世界こそ決して濁らぬ青空の如く

私にはあなたは純粋すぎるのだそう思うほど心空しく

かけっこを繰り返しつつ交わらぬ行き先を見て諦めきれず

「私には辛い昔があったのよ」つまらぬ出だしはもう聞き飽きた

ありふれた趣味や服装快適だ好きならそれで幸せなのだ

「珍しい」「変わっているね」「特別だ」そんな言葉にしが

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現代短歌 《リボンをつける》

現代短歌 《リボンをつける》

「なんとなく」それがたくさん集まって「大切」になるその時が来た

言わないと伝わらないこと言わずにも伝わることその両方がある

だから僕らは絵を描くよ言い訳だと言われるかもしれないけれど

胸に一つ頭に三つスカートの裾にも二つリボンをつける

ここに来て好きな洋服着ていてもそういう趣味と思われるだけ

「変な人」そう思われない都会ではそれが気楽で外に出られる

都会すぎても苦しいが田舎すぎる場所も

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現代短歌 《リボンに託す》

現代短歌 《リボンに託す》

花柄スカートにレースのジレ自分の為にあなたの為に着る

「好きです」と言えたら終わるのだろうかそれともこれから始まるのか

期待する重ねたスカートひるがえし秘めた想いをリボンに託す

不健康なカッコ良さに憧れる君はとても誠実で真面目で

検索するロックスターの書いた歌詞意味を調べるなんて野暮だけど

君の絵をどんな時でも眺めてたこちらを見つめる黒猫の絵を

誰にも言ってないけどさ幼い頃は褒められる

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現代短歌 《遠い遠い景色》

現代短歌 《遠い遠い景色》

君の好きな曲を聴いて君のこと知りたくてでも距離縮まらない

音楽が遠い遠い景色ばかり映す戻れないこと分かってた

あなたの選ぶブルーと私の選ぶブルーはきっと違うのでしょう

このままが良いのでしょうか優しさと綺麗な思い出壊れることなく

近づけば壊れてしまう繊細な硝子でできた星の欠片よ

雨が降る心の中に降る雨が止むこともなく振られ続ける

笑わずに泣いたりもせず誤魔化さず言えるだろうか自分の気持

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現代短歌 《まばたきのその瞬間》

現代短歌 《まばたきのその瞬間》

あなたは呆れているでしょうでもあの時の想い嘘じゃない消えない

まばたきのその瞬間に変わりゆくわたしの心止まれ行かないで

美しいその横顔は誰のものあなたの描く少女の永遠

もう二度と戻らぬことを知りながら溢れたインクで青く染まりゆく

好きだとか嫌いだとかで割り切れぬ揺れ動く心あなた想う時

わたしはめちゃくちゃで利己的でどうしようもない馬鹿嫌われてしまう

洋服を重ね重なる想いこそ気づかぬふり

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現代短歌 《優しい言葉》

現代短歌 《優しい言葉》

できもしないくせにやりもしないくせに自分の言葉で言えないくせに

ネットの海で拾った言葉自分の武器にでもなると思ったか

細く長く蛇にでもなるのかい?何も続けられない分際で

無理しないでと優しい言葉をかける人間の本音知りもせず

そんなにも辛いというなら少しでも病人のフリして見せてみろ

狭い村の中いつまでも篭っていればいい二度とあらわれるな

鍵のかかった城は安全でいいね誰からも攻撃されない

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現代短歌《現実を歩かぬ者は不要》

現代短歌《現実を歩かぬ者は不要》

もみ消して逃げるだけなら楽だろう流れ流されて何処かいっちまえ

許すとか許さないとか無関係ただ自堕落で愚かなお前

苦しいかそうかそうだろう誰一人救えやしないぬるま湯のなか

投げ出して無かったことにすれば良いそれをお前は何度繰り返す

都合良く被害者面をしていれば逃れられると信じているのか

いつまでもそこから出ないでいれば良い安全な場所狭き檻の中

楽だろう仮面をかぶる人たちに餌与えられ宥めら

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現代短歌 《温度差》

現代短歌 《温度差》

後悔は無いのに戻らぬ時間に思いを馳せることの無意味さ

あの一番星には叶わないさ両手にいっぱいのビジュー掲げて

自分の言ったこと忘れるのならば私は君のこと忘れよう

この一件があなたには遊びわたしには仕事埋まらぬ温度差

ひたすらに執着するだけのその姿が見ているだけで痛くて

誰も君の目なんか見てなかった澱んだ空気が重苦しくて

下心だけになってしまった愚か者はろくに相手にされず

小さな村に「

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現代短歌 《叫ぶ心の中》

現代短歌 《叫ぶ心の中》

気付かないんだろうなどうぞそのまま一生そうして置いてけぼり

他人のもの黙って盗む神経が理解できずにガラス窓に聞く

餓鬼の夢叶えるために労力を無駄に使ってすり減る身体

あれやってこれやってと言うだけの役割それは楽だろう

美味しいねと言われて食べるランチ1500円高い味微妙

これを食うくらいならイチキュッパの冷凍たらこパスタが食いたい

「やること」くらい自分で責任とってやれよと叫ぶ心の中

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現代短歌 《アネモネが言う》

現代短歌 《アネモネが言う》

太陽を求めてのびる茎の先派手に咲いてもため息ばかり

お前たち皆きれいだよ摘み取ったりしないからそこから出るなよ

寒い頃小さな球根だった君僕は何か変わっただろうか

青いアネモネが言う風の音は遠くから君の声連れてくると

白いアネモネが言うそれは悲しい結末を遂げる見届けろと

赤いアネモネが言う消えない情熱を持てばいつか叶うからと

黒猫の手招き拘りでできた箱庭気付かれぬよう覗く

あなたは持っ

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現代短歌 《何度も洗い流す》

現代短歌 《何度も洗い流す》

同じにおいがしてドキリと胸が高鳴るその時にはもう遅くて

わかるその線に宿る同じベクトルの力ぶち撒けてみせてよ

箱の中あなたの魅力入ってる誰も開けないで開けないでくれ

季節はずれ流れる音楽が透き通って消えていく今日が終わる

さらりとした筆跡その汗を見せないけれど浮かび上がる光

自分の手の中世界にたった一つどうだいいだろういいだろう

君の横顔がなかなか飲み込めなくてガムシロとミルクを混ぜる

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2021年現代短歌まとめ③

2021年現代短歌まとめ③

今年の現代短歌まとめ第3弾。

拾い集めた破片をアッシュブルーの空に並べれば寂しい音色
幸せが何かなど探し回るのはダサい突き離して夢を追え
神様に一つお願いをするのならこの私に体力をください
君を逃したのは悪魔の手かそれとも私の心のずっと奥か
お星さまお願い