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TANKA

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現代短歌。過去や現在や未来のことを文字にする。漫然とだらだら書きたくなかったので、「素材:キャンバスにアクリル絵具」のような括りを文字の表現にも設けたいと思った。
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2020年8月の記事一覧

現代短歌《運動会だいきらい》

現代短歌《運動会だいきらい》

運動会・スポーツ大会・球技大会ぜんぶ嫌いでした。

暴力がこの時ばかりは許されるドッジボールという名のもとに

玉入れの籠を目掛けて投げるふりお前の顔面直撃させたい

ハードルを超えても超えてもその次があるじゃないですかねえ先生

何故なのか大縄跳びで引っ掛かりお前のせいだと罵られ続け

マラソンで嫌な奴らを追い越して持久力だけあるのサヨナラ

好きでもないチームの綱を引っ張って勝っても全く嬉しく

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現代短歌《食べ物》

現代短歌《食べ物》

タ ベ モ ノ カ ン ケ イ 。

ストローの紙袋はまだ捨てないで折って捻って花ができるの

キャンバスの横に散らばる包紙こんなに食べたのええいつの間にか

狭い部屋壊れたケトルで沸かすお湯ガラスのポットに写る夕焼け

立食ですすめられたの和牛のサンド床にこぼすの予期して断る

亡くなった紳士な祖父が好きだったほろ苦い味珈琲ソフト

遠い日の幼き私に祖父は言う「小さなレディ、ケーキはいかが?」

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現代短歌《夏の日》

現代短歌《夏の日》

短歌と呼べるのか。
衝動的に数時間で。
夏っぽい?かもしれない。
昔と今を行ったり来たりしながら。

くだり坂 かけ抜けかけ抜けどこまでも ついに戻って来れなくなった

見渡せば山 山 山で囲まれた あの景色こそ幻だった

田の上に降り立つ白鷺見つめてはあたしも連れて行ってと呟く

夕暮れの薄暗い部屋 緩い風 流れたままのメンデルスゾーン

夢で見たあなたは裸だったけど真っ白な肌は陶器のようで

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