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うた

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気ままに書いた散文詩や、短編小説たち。 一話完結のものを集めました。気軽に読んでやってください。
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#幻想

架空植物記《ヨルアオイ》

架空植物記《ヨルアオイ》

 月の色に染まりあがった夜花を見て私は息を飲んだ。
眩い銀色の花弁からはらりと露を零すと、耐えかねたようにひとつ、またひとつ、花が崩れていった。 

 ヨルアオイは自ら死を選ぶ珍しい植物だ。
 中秋の満月の日に一斉に溶けだしてしまうことで、辺り一帯を水溜まりに変えてしまう。そうすると、そこにいたほかの植物たちはじき死んでしまうのだ。
 今まさに、美しい花の群れはみるみるほどけてゆき、次第に満月のよ

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エメラルドの洞窟

エメラルドの洞窟

『海の日を待って、それでもその絶望が氷解していないというなら、エメラルドの洞窟にお連れいたしましょう。そうすれば安らかに眠ることができますから』

 夏の青い葉が、陽光にきらきらと輝くのを見て、ふと玲子の脳裏に幼少期の記憶が蘇りました。

 それは、まだ小学生だった玲子が薄着のまま雪の中を彷徨っていた時のことです。幼心に絶望を抱えていた彼女は、冷たい白銀の風に身を任せて、自らの生命すら凍らせてしま

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【掌編】Muse

【掌編】Muse

夏は夜。
月を見たくて庭に出たけれど、今晩は新月だったみたい。でも、こんな夜は蛍が星のようで美しいのね。初めて知ったわ。

夏は夜。
こっそり家を抜け出して夜の森に忍び込んだら、妖精たちを見つけたんだ。悪戯好きの妖精のせいで森は大混乱だったけど、すごく楽しかったよ。

夏は夜。
最終列車に揺られて微睡んでいた時に、星が尾を引いて夜空にツーッと流れるのを見ました。まるで天を駆ける列車のようで、ふと、

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