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『山口揚平』が語る 新しい時代の生き方とオススメの本。 “お金に執着してはいけない”

(この記事は2019年に作成したものを再掲載しております。)

業界のトップを走る「プロフェッショナル」が薦める本とは?読書をもっと面白くする実名ソーシャルリーディングアプリReadHubが、独自インタビューをお届けするReadHubTIMES。コンサルティング会社で複数のM&A案件を担当し、その後独立。「シェアーズ」の事業売却を経て、今でも複数の事業の運営をコンサルティングする山口揚平氏。山口氏が貨幣の本質と次の時代への展望をオススメの本とともに紹介する。

早稲田大学政治経済学部卒。東京大学大学院修士(社会情報学修士)。
専門は、貨幣論、情報化社会論。1990年代より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと30歳で独立・起業。企業の実態を可視化するサイト「シェアーズ」を運営し、証券会社や個人投資家に情報を提供する。2010年に同事業を売却。現在は、コンサルティング会社をはじめ、複数の事業・会社を運営する傍ら、執筆・講演活動を行っている。専門は貨幣論・情報化社会論。

新しいものに踊らされると疲れてしまう

私は前回の記事で、「本質について考える際に本を活用した。」と言いましたが、私が考え、結晶化した「本質」については自著にまとめています。
新しい時代のお金の教科書』では、「お金」の本質についてまとめています。この本の一番のメッセージは「信は金なり」です。
というのも、お金の本質はどの時代においても、「信用」です。最近、仮想通貨や無国籍通貨など、様々な通貨が世の中に誕生していますよね。
でも、それに毎回踊らされているようでは疲れてしまいます。


最終的にお金はなくなる

「信用がお金の本質である」ことは、起源を紐解くとよく理解できます。
「お金」の起源は、物々交換だと言われていますが、本当はミクロネシアのヤップ島にあった「フェイ」という大きな石です。
当時にお金という存在がなかったものの、ものの流通は存在していたとされています。そこで、大きな石に「誰から誰に何を渡したのか」を記録していったのです。これをグローバルに展開したのが、分散台帳であるブロックチェーンです。
価値の移動が可視化されることで、個人の信用の記録が辿れるようになっているのです。

しかし、現在はお金が価値交換の媒介となっています。『新しい時代のお金の教科書』でも述べましたが、お金はより多くより早い価値交換を可能にしましたが、反対につながりや文脈が断ち切られてしまいます。
例えば、誰からも慕われるような人でも、凶悪事件の犯人でも、お金さえあれば基本的になんでも買うことができますよね。これは、個人としての信用は「記録」ではなく「記憶」だけによって認識されてきたからです。

逆に先ほども言ったように、すべての価値交換がブロックチェーンなどの記帳技術によって「記録」されるようになれば、いつでもその取引相手がどれだけ信用に足る人なのかを参照できるようになるのです。
そうすれば、お金を持つことの価値は現在に比べて、相対的に減少しますよね。その流れの中で、価値交換のやりとりはどんどん個人間で直接行われるようになっていき、最終的に「お金」という存在がなくなるのではないかと考えています。

「考えること」が求められる時代になる

「信用」がこれまで以上に重視される社会では、「考える」人が必要にされてゆきます。それに気づき、本にしたのが『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』です。

私は現在、1日に数時間だけ働く生活をしています。そこで重視しているのが「考えること」です。

情報や知識は人を効率的にしますが、それによって「固定観念」が植え付けらます。効率化はAIの得意とする領域ですから、知識や情報を使う職業はどんどんとAIに取って代わられるでしょう。私は、人間は「次元を超える、意識の所作(=考えること)」に集中してゆくべきだと考えています。

「考える」とは「概念の海に意識を漂わせ、情報と知識を分離・結合させ、整理する」ことです。アインシュタインが言った「あらゆる問題はそれが起こったことと同じ次元で解決することはできない。」という言葉の通り、より本質的に思考できるようにしていくことが、これからを生きていく私たちに求められているのだと考えています。

反対に物事を切り分けて考えるだけではなく、「全ては繋がっている」という方向に意識の可動域を広げることも大事です。それにオススメなのが『フーマンとの出逢い』という本です。

この本は、筆者フーマンと覚者と呼ばれる周辺の環境と溶け合わさっている人々による対話形式で進んでいくので本を開くだけでその意識を「感じる」ことができるのです。スピリチュアルの世界を知覚するのは難しいので、感覚的に捉え、楽しめるといいと思います。

お金に執着してはならない

最近、信用とお金を結びつけるものとして注目されているものとして、「クラウドファンディング」があります。

クラウドファンディングでは、そのストーリーに共感した人もしくは支援への対価が欲しい人がどれだけ多いかによって支援金額の総額が変わります。お金を支援されることは、「信用」されているか否かを知ることができる機会になっているとも言えます。

ただお金を持っていたからと言って、誰にでも会えるわけではないですし、何かをし始めた時にその「何か」が他人に評価されるまでには時間を要します。

よく私は「信用は貯めるのに3年、失うのに3分」と言います。だからこそ、人間関係のようにお金では買うことのできない「信用」がこれから重要になると考えます。

例えば、投資信託にお金を預けても利率は上限がありますが、信用は無限大に膨らみます。こう考えれば、誰かに「give」することを続けることがいかに有効で、逆にお金に執着することが、的外れかがわかると思います。

小学3年生のように過ごす

知覚することについては前に触れたと思いますが、私は自然のリズムのようなより抽象的なものをリスペクトしつつも知覚できるように、生活改善を続けています。
20代の頃には自分のことしか考えていませんでしたが、より社会全体に意識を向けられるように、特定の分野に限らず様々なことを学んでいます。
例えるのであれば、「小学3年生」のように生きる。ひなたぼっこしたり、庭掃除をしたりしながら、自分で思考してみたことを本に書いてみて発信するという生活です。

固定観念に囚われるとやはり思考もできないので、本を読むという点ではアートに関する本を読んでみると良いと思います。特に『芸術とは何か 千住博が答える147の質問』は一見の価値ありです。
千住博さんという日本画家の方が、「美」を楽しみながら「芸術とは何か」「人間とは何か」という本質に近づいていく内容です。浴びるように読むことで、自分のこれまでの固定観念をとらえ直す機会になると思います。

これまで当たり前だった「貨幣」の形は、近年ダイナミックに変化しています。ですが、いつの時代も「貨幣」の本質は「信用」です。であれば、その信用をどのように勝ち取っていくかが重要です。
これからの時代に物事の本質を捉えられるように、ぜひ固定観念に囚われずに「考える」ようにしてください。

※インタビューをもとに作成
インタビュー:青木郷師、文章:高井涼史


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