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文化の理解で個人がわかる『異文化理解力―相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』

 こんにちは、リードプロジェクトの藤原です。
 今回はアメリカやイギリスなど多くの国家に対する文化の違いについて探求した『異文化理解力―相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』について紹介したいと思います。私自身はそれほど異文化と接してきた経験はないのですが、そんな私でも「こういった違いがあるのか」と唸らされる一書です。たとえ同じ文化であっても個人差もあるので、人の理解が深まりますし読んで損はないと思います。


注意点

 本に書かれていることはすべてが正しいわけではなく、受け入れがたいものや理解が難しいものもあります。
 それでも1冊の本から役に立つ教訓を1つでも見つけられたなら、読者様の人生にとってプラスになるのではないでしょうか。

個人差だけで全部わかるわけではない

 ネガティブ・フィードバックに慎重なアメリカ人を見たらどう思いますか?控えめな性格をしたアメリカ人だと思う人が多いのではないでしょうか。しかしアメリカ人は人事評価で低い評価を伝えなければならないとき、ポジティブ・フィードバックを何度か話してから悪い点を伝える傾向があります。実は日本の文化から見るとまだ直接的なフィードバックなのですが、世界で見ると平均的で、直接的なネガティブ・フィードバックを好むドイツやフランスから見ると間接的に感じます。グループの前で批判されることすらある文化からすれば、アメリカの遠回しな言い方というのは、理解し難いものがあるわけです。
 では普段のアメリカ人も含みのある言い方をするのでしょうか?これはイメージ通り、アメリカ人はシンプルで明確なコミュニケーションを好みます。これを「ローコンテクスト」と呼ぶのですが、日本の文化である「ハイコンテクスト」…繊細で、空気を読む文化とは正反対のものです。移民が多く多文化の権化となった米国は他の文化にメッセージを伝えるために「ローコンテクスト」となり、島国であり実質的な単一民族である日本はその必要がなかったので「ハイコンテクスト」が育まれました。
 人を説得することについても文化が関わります。アメリカでは結論を先に言うよう訓練されていますが、フランスやイタリア、ドイツでは先に理論や複雑な概念を検討してから結論を提示することが好ましいです。これは教育に影響を受けている部分が大きく、アメリカの高校では徹底的な応用優先の学習をするのに対し、フランスでは原理優先の学習、例えば語学では文法を多く学ぶことが重視されます。文化によって最適なプレゼンテーションが変化するということです。
 このような文化の違いというのが歴然としてあるのですが、グローバルに仕事を行っている多くの人は個人の性格だと勘違いしてしまう傾向があるようです。おそらく私もこの本を読むまでは同じ考え方をしてしまったと思います。

 それは彼らが怠け者だからではない。善意ある人々の多くが文化の差について学ぼうとしないのは、個人差に注意していれば十分だと考えているからである。

『異文化理解力―相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』

 しかし実際は文化を把握することで相手に対する理解が速くなります。スムーズな信頼構築ができるようになり、仕事に良い影響をもたらしてくれるでしょう。もちろん個人差もありますが、あくまで文化に影響を受けた上での個人差だということです。

文化の違いを理解する8つの指標

 この本によると文化の違いは8つの指標で理解することができます。

①コミュニケーション…ローコンテクストVSハイコンテクスト
②評価…直接的なネガティブ・フィードバックVS間接的なネガティブ・フィードバック
③説得…原理優先VS応用優先
④リード…平等主義VS階層主義
⑤決断…合意志向VSトップダウン式
⑥信頼…タスクベースVS関係ベース
⑦見解の相違…対立型VS対立回避型
⑧スケジューリング…直接的な時間VS柔軟な時間

『異文化理解力―相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』

 まずは日本のカルチャーマップを見ていきます。

【日本のカルチャーマップ】
①ハイコンテクスト
②間接的なネガティブ・フィードバック
③応用優先
④階層主義
⑤合意志向
⑥関係ベース寄り
⑦対立回避型
⑧直接的な時間

 説得の指標が応用優先(結論を先に伝える文化)というのが少し意外でしたが、他の指標については納得できるものが多いです。他国の文化を理解する際、スタート地点になるのはこの日本の文化となります。参考として、ドイツのカルチャーマップも紹介すると、

【ドイツのカルチャーマップ】
①ローコンテクスト
②直接的なネガティブ・フィードバック
③原理優先
④中立(平等主義と階層主義の狭間)
⑤合意志向寄り
⑥タスクベース
⑦対立型
⑧直接的な時間

 となりました。日本とは直接的な時間(時間に厳しい)で共通していますが、合意志向については少し違いがあり、他の指標は正反対のものだらけです。直接的な物言いをするドイツと柔らかい言い方を好む日本、対照的ですね。しかしこういった文化を理解すれば、日本人とドイツ人が分かり合うときは速く訪れるでしょう。

最後に

 『異文化理解力―相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』では他にも「コミュニケーションやリーダーシップにおける文化の違い」など、異文化を理解できる内容となっています。気になった方は読んでみてはいかかでしょうか。

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